ロニー&松田組、待望の今季初勝利。ここからは「確実に得点するレース」でタイトル目指す
スーパーGT第3戦鈴鹿で優勝した#23 MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生とロニー・クインタレッリは、2年ぶりの勝利を手にした喜びを語るとともに、ここからのレースは着実にポイントを重ねていきたいと口を揃えた。
写真:: Masahide Kamio
「自分の最多勝記録よりも、早い段階で1勝、という目標を達成できたことが嬉しい」……松田次生
「次回のもてぎは楽な戦いにはならないと。確実にポイントを取るレースをしたい」……ロニー・クインタレッリ
開幕戦とシリーズ第2戦、富士で行なわれた2レースで、これまで見たことのないほど苦しめられていた#23 MOTUL AUTECH GT-Rが、ポディウムの頂点に戻ってきた。予選2位から常にトップ争いを繰り広げ、そのまま逃げ切るという力強いレース展開で。
優勝会見場に現れた松田次生は「ここまで苦戦してきましたが、今回はクルマのセットもタイヤもぴったり決まった感じです」と晴れやかな笑顔でこう答えた。ただし手放しで喜べる内容ではなかったとも語った。
「GT300のトラフィックに引っかかるとピックアップに悩まされたりするのが気がかりでした。それにロニーさん(ロニー・クインタレッリ)がセーフティカー明けで苦しんでいたように見えたので、僕自身もSCランではタイヤの温度を下げないように気を遣っていました」とベテランならではのレースぶりを覗わせた。
今年のGT-Rが苦戦していた理由のひとつが開催スケジュール。当初は東京オリンピックの会場となる富士スピードウェイは5月の1戦のみとされていた。そのことで「今年のクルマはダウンフォースを多めにするコンセプトで仕上げていました」と言うのだ。ところがふたを開けてみると、その富士で4レースも行なわれることになった。
「ダウンフォースを多くとった分、ストレートスピードが重視される富士では厳しかった」という松田だが、その反面で「だから鈴鹿ではダウンフォースが生かせるのではないか」とポジティブな考えに至ったようだ。
そんな松田はこれでGT500において通算21勝目。自身の持つ最多勝記録をまたひとつ伸ばすことになったのだ。だが、それ以上に、ロニー・クインタレッリとのコンビによる1勝が嬉しかった、と言う。
「ロニーさんとコンビを組んで、毎年のように1回以優勝していたのですが、昨年は未勝利に終わってしまいました。だから、今年は何とか早い段階で1勝したいと思っていたので、それが今回達成できたことが嬉しい」のだと。
今回の優勝により、次戦もてぎでは44㎏のウェイトハンデを背負うことになるのだが、ここでもポジティブシンキング。「もてぎは重くなりますが、今回、ポイントリーダーの36号車(#36 au TOM'S GR Supraの関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)がしっかりと3位表彰台に上っているじゃないですか。彼らにあやかって、僕たちもちゃんとポイントを稼ぐレースをしたいですね」。こうコメントして優勝会見を終えた。
そんな次生とコンビを組むクインタレッリは自分が担当した前半のスティントをこう振り返った。
「僕が履いていたタイヤは少しソフト目だったから温まりが速いはず。だから1周目に何とか64号車(伊沢拓也がドライブする#64 Modulo NSX-GT)を抜きたいと思っていました。それができれば、レースを優位に戦えるはず」
だがベテランの伊沢は巧みにブロックしクインタレッリの先行を許さない。そうこうするうちに後方からチャージしてきた#38 ZENT GR Supraの立川祐路にかわされてクインタレッリはポジションを下げてしまった。「あれは悔しかった」とクインタレッリ。だがミシュランの新しいタイヤを得た#23 MOTUL AUTECH GT-Rは大いにポテンシャルを引き上げており、立川を抜き返した。クインタレッリは「伊沢選手がGT300クラスの集団に苦しんでいる間にトップに立つことができました」と穏やかな表情でコメントしている。
ただし路面温度などのコンディションによるものか、それとも立川や伊沢をパスしたことが酷使に繋がったか「タイヤが少し厳しくなったので、本当なら27周くらいまで引っ張りたかったけれども、少し早めにピットインしました」と急遽作戦変更したことを告白した。新しいコンパウンドを採用したミシュランタイヤも心強かったが、次回のもてぎではウェイトハンデが気になるところ。「GT500はウェイトの感度が高いから、次回のもてぎは楽な戦いにはならないと思います。だから確実にポイントを取るレースをしたいですね」と、早くも狙いを定めていた。
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