劇的展開で終幕したスーパーGT。2021年も「今季と同等の8戦開催予定」とGTA代表
スーパーGTを運営するGTアソシエイションの坂東正孝代表は第8戦富士で行なわれたGTA定例会見に出席。コロナ禍の中での開催となった2020年シーズンの振り返りと、未だコロナの影響の残る中ではあるが来季に向けた考えを語った。
Grid Action
吉田知弘
GT500クラスでは最終戦を迎える段階でも6台が自力優勝の権利を残しているという、史上まれにみる混戦となった2020年のAUTOBACS SUPER GTシリーズは先週末の第8戦「たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」で終幕した。残酷なまでに劇的なフィニッシュを迎え、新チャンピオンが決定したことは、すでに報じられた通りだ。
そのスーパーGT第8戦では、決勝日となった11月29日の日曜日に、スーパーGTでは恒例となったGTA定例会見が実施されている。今回の代表質問は新型コロナウイルスに関連しての来シーズンの展望と、車両規定についての2点だった。
『新型コロナウイルス禍の中、7月からの4ヵ月強で8戦を開催してきたスーパーGTのプロモーター代表としての現在の心境と、来シーズンについての考えをお聞かせください』
代表質問を行った日本モータースポーツ記者会(JMS)の高橋二朗会長からこう質問されたGTAの坂東正明代表は「おかげさまで当初の計画どおりに全8大会を開催することができました。この最終戦を無事に迎えることができたのは、スーパーGTに関わる方々全員の努力の結果だという気持ちです」と切り出した。そして「我々GTAは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努めながらレースを開催するための独自のガイドラインとロードマップを作成し、関係者の皆さんに実践してきていただきました」と続けた。
独自のガイドラインとロードマップの中では、例えば取材者に対しても、レースウィークが始まる2週間前から毎朝、体温をチェックしてオンラインで報告することが要求されていた。これまでになかったことで煩雑さを感じたのも事実だが、報告する人間がいれば、当然ながらそれをチェックする人間も必要になってくる。
実はドライバーやチーム関係者、オフィシャル、そしてメディア関係者も含めて約1500人分のデータが毎日のようにオンラインで届けられ、それを着実にチェックする。その作業の大変さを想えば、自分の体温を測ることを『煩雑だ!』などという不満など、とても言えたものではない。
9月には、その約1500人が一斉にPCR検査を受けている。経費は言うまでもないが、その場所と検査スタッフの手配を考えれば、GTAが実践してきたことの大きさが理解できるだろう。その大きさは、スーパーGTから、いやモータースポーツの世界から、絶対に感染者は出さない、というGTAの意思の高さでもある。
それはともかく坂東代表は「関係者の皆さんには大変厳しい内容を実践していただきましたが、スーパーGTでは感染症拡大の問題を出すことなく、ここまでやってくることができました。我々が行った感染予防を講じながらのイベント開催の在り方は、他のモータースポーツ・カテゴリーやファンイベントにも大きな影響を与えたと思っています」と括っていた。
一方、対コロナ、いやwithコロナの観点から来シーズンの展望については「来シーズンは、これまでと同様に全8大会の開催を予定しています」と明言。さらに「今年はスーパーGTの開催を断念せざるを得なかった岡山国際サーキット、スポーツランドSUGO、オートポリスの各サーキットでもレースを行います」と続けた。
そしてそのために「前回の第7戦もてぎ大会では、今大会のオーガナイザーである富士スピードウェイに加えてスポーツランドSUGOとオートポリスの方々に視察に来ていただき、そして今大会には岡山国際サーキットの方に来ていただいています」と来シーズンに向けての取り組みが粛々と行われていることも明かしている。
一方、海外の大会については「現在の状況からしますと開催は難しいだろうという見通しを持っています」としている。
本来のスケジュールから1年延期された東京オリンピックとの兼ね合いや、何よりも新型コロナウイルスの感染状況がどうなってくるかなど、まだまだ見えてきていない部分もあるが、坂東代表は「悪くても現在のレベルでは開催したい」と力を込めた。
現在のスーパーGTは入場者数を制限し、一部のファンサービスに対しても自己規制している状況だが、坂東代表は「各オーガナイザーには、観戦チケット販売などが現在のレベルであっても大会開催を成り立たせられるよう検討してもらっています」と現状を明かしたうえで「感染拡大防止を図りながらも、現在のレベルよりずっと多くのお客様にサーキットに来ていただいてレースを見ていただける仕組みを、各オーガナイザーと一緒になって考えていきたいと思っています」と締め括った。
次世代のGT500クラス車両規定の一端が
高橋JMS会長からの続いての質問は「第6戦鈴鹿大会での定例会見で、GT500クラスの車両規則は現行のものを2023年シーズンまで継続し、来シーズンについては開発を凍結する方向とお話しになりましたが、その後の進捗があればお聞かせください。また、2024年以降のGT500クラスの車両規則についてのお考えもお聞かせください」というものだった。
これに対して坂東代表は「GT500クラスの車両規則の変更は、これまでは3年に一度のペースで行ってきましたが、これを4年に一度に変えようとしています」と明言した。
つまり、今シーズンから導入されている現行の内容の“Class1規定”は2023年シーズンまで運用するということになる。そして「来シーズンはエンジンや空力といった領域での開発を凍結します。そして、来シーズンの前半4戦での状況を見て、開発凍結を解除した方が良いと判断されるところがあればそう対応するという方向で、GT500クラスに参戦している各自動車メーカーと話し合っています」と語り、トヨタと日産、ホンダの3メーカーと協調していることも明かしている。ちなみに、「2022年シーズンに向けて開発凍結を解除した領域については、次の2023年シーズンではそのまま継続して使う」ということで話が進んでいることも明らかにされている。
またこれまでは各メーカーが相談しながら、比較的自由に行ってきたオフシーズンのメーカーテストについては「原則的にGTAがすべてコントロールするものとして、シーズン中のテストも制限する方向です」としながら、その一方で「自動車メーカーやタイヤメーカーのテストができるだけ一緒に行われるようにしていきたいと思っています」とも。
また気になる2024年シーズン以降のGT500クラスの車両規則に関しては、詳細の検討はまだこれからとしながらも「環境への配慮が大きく入ったものになります」との方向性を示していた。そして「今大会でのセーフティカーには天ぷら油の廃油を再利用したものを10%混合したバイオ燃料を使用しています」と現状での施策も紹介していた。そして「こうしたところからスタートして検討を重ねていき、2024年シーズン以降のGT500クラスの車両規則の根幹となる部分は来年中には決めたいと思っています」と締め括っていた。
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