スーパーGT第2戦富士振り返り:初運用のFCYはレースを面白くした
2021年のスーパーGT第2戦富士では、FCY(フルコースイエロー)が初導入されたり、最終盤にドラマが起こったりと、実に見どころの多いレースとなった。そのレースを改めて振り返ってみる。
写真:: Masahide Kamio
5月29〜30日に予定されていたスーパーGT第3戦・鈴鹿は新型コロナ感染症の拡大に伴い、鈴鹿市に「まん延防止等重点措置」が適用されたために延期となった。第2戦・富士から1ヵ月が経過したが、改めてレースを振り返ってみる。
このレース一番のドラマは最終盤に起きた。110周レースも残り30分となったころ、コカ・コーラコーナーの手前でミッショントラブルのためにストップした車両があり、現場手前の2コーナーでは、黄旗が掲出されていた。
直後の96周目にはその車両をコース脇から安全な場所へ移動させるためにこの日3回目のFCY(フルコースイエロー)となった。FCYは約7分間続いたが、その間に2コーナーからの黄旗区間で、トップの8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺がバックマーカーを追い越してしまったことが発覚。これで8号車NSXにはペナルティが課せられるため、2位の36号車 au TOM’S GR Supraがトップに繰り上がり、そのまま優勝のはずだった。
しかしFCYが解除となった瞬間、36号車スープラは加速せずスローダウン。プロペラシャフトの破損だった。ここしばらく決勝レース中には見受けられなかったプロペラシャフトの破損。80km/hというFCYの速度制限は、プロペラシャフトに負担が掛からないような速度設定だったそうで、他車両はどれもそのトラブルは発生しなかった。しかし36号車スープラは不運だった。ドライバーは坪井翔。開幕戦も素晴らしいトップ争いを展開したものの2位フィニッシュで、今回はようやく優勝が目前に見えていただけに悔しいレースとなった。
FCYが解除された17時21分からチェッカーまでの18分間、トップ2台の車両が消え、4台によるトップ争いが演じられた。ゴール2周前には昨年最終戦で悔しい思いをした37号車KeePer TOM’S GR Supraが3位を奪うなど激しいバトルを見せてくれた。トップと4位の差がわずか1.552秒というのもすごいことだった。
このレースでは初めてFCYが運用された。昨年まではアクシデント等があるとセーフティカー(SC)導入となり、隊列を組み直して各車の差はグッと縮まってのリスタート。その直前にタイミングよくピットインし、まさかの逆転優勝というレースも一昨年と昨年に起きており、公平性を保つためには導入必須のシステムだった。しかし今回の公式練習でのFCYテストでも、速度を落とすタイミングを遅くする車両もあったようで、何人かのドライバーからはフェアではないという意見も聞かれた。これについてはちゃんと監視する必要があるだろう。
今後、入念なテストを行なった富士と鈴鹿ではFCYは適用されるようだが、テストを行なっていないSUGOやオートポリスでは電波がきちんと飛ぶのかも含め、しっかり確認をしていかねばならないとGTA定例記者会見で坂東正明会長は語っていた。早い時期にすべてのサーキットでFCYが実施されることに期待したい。
なおエンジントラブルのために序盤に白煙を吹いてリタイアとなった23号車MOTUL AUTECH GT-Rだが、スタート直後のビデオを見てみると、1コーナーで37号車KeePer TOM’S GR Supraに追突しており、これがトラブルの原因になった可能性もある。昨年2勝を挙げ相性の良い鈴鹿ラウンドが延期になったのは痛いだろうが、次に載せるエンジンの開発が少しでも進めばアドバンテージになるかもしれない。
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