【スーパーGT】最終戦直前! GT500タイトル争いをおさらい。NSX勢が上位独占も3メーカー全てにチャンスあり
富士スピードウェイで行なわれるスーパーGT最終戦を前に、GT500クラスでタイトル獲得の可能性が残されているドライバーを紹介。
写真:: Masahide Kamio
2021年のスーパーGTも、11月28日に富士スピードウェイで行なわれる最終戦を残すのみとなった。GT500クラスでは、最終戦を前にした段階で6チーム/11名のドライバーにチャンピオンの可能性が残されている。
2021年スーパーGT:ドライバーズランキング(第7戦もてぎ終了時点)
順位 | ゼッケン | 車両名 | ドライバー | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | STANLEY NSX-GT |
山本尚貴
|
60 |
2 | 1 | STANLEY NSX-GT |
牧野任祐
|
57 |
3 | 8 | ARTA NSX-GT |
野尻智紀 福住仁嶺 |
55 |
4 | 17 | Astemo NSX-GT |
塚越広大 ベルトラン・バゲット |
52 |
5 | 36 | au TOM'S GR Supra |
関口雄飛 坪井翔 |
44 |
6 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R |
平峰一貴 松下信治 |
43 |
7 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra |
大嶋和也 山下健太 |
40 |
※予選ポールポジション : 1pt
※1位:20pt、2位:15pt、3位:11pt、4位:8pt、5位:6pt、6位:5pt、7位:4pt、8位:3pt、9位:2pt、10位:1pt
まず、現在ポイントリーダーにつけているのは、1号車STANLEY NSX-GTの山本尚貴。第4戦もてぎで勝利を飾るなど、60ポイントを獲得している。なお相方の牧野任祐は開幕戦を欠場した影響で、57ポイントのランキング2番手となっている。1号車は最終戦も山本、牧野のペアでエントリーしていることから、山本が急遽欠場するなどのイレギュラーが起きない限り、牧野にタイトル獲得の可能性は残されていない。
牧野を挟んでランキング3番手につけているのが、8号車ARTA NSX-GTの野尻智紀と福住仁嶺。前半戦は速さを結果に結び付けられないレースが続いていた彼らだが、第6戦オートポリス、第7戦もてぎを連勝し、獲得ポイントを55まで伸ばした。そして52ポイントでランキング4番手につけているのは、第2戦富士の勝者である17号車Astemo NSX-GTの塚越広大とベルトラン・バゲット。このようにランキング上位はホンダ勢が独占している。
しかしトヨタ陣営、日産陣営のドライバーにも逆転タイトルの可能性が残されている。優勝こそないものの安定してポイントを積み重ねてきた36号車au TOM'S GR Supraの関口雄飛と坪井翔は、44ポイントでランキング5番手。第5戦SUGOのウイナーであり、第7戦もてぎも最終ラップにガス欠に見舞われるまでトップを走った12号車カルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴と松下信治は、43ポイントでランキング6番手。そして開幕戦ウイナーである14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也と山下健太が40ポイントでランキング7番手につけており、ここまでのドライバーにタイトルへの望みがある。それでは、それぞれのタイトル獲得条件を見ていこう。
#14 ENEOS X PRIME GR Supra, #36 au TOM'S GR Supra
Photo by: Masahide Kamio
36号車の関口/坪井組、12号車の平峰/松下組、そして14号車の大嶋/山下組に関しては、共に優勝が最低条件。その上でホンダ勢の3台(1号車、8号車、17号車)が下位に沈むことを期待しなければならず、厳しい状況と言わざるを得ない。ただ開幕戦岡山や第3戦鈴鹿のように、コンディションや展開次第ではトヨタや日産が上位を独占する可能性もあり得る。富士はスープラとの相性が良いサーキットとも言われているため、どちらかといえばトヨタ陣営には勝機がありそうだ。
ランキング4番手につける17号車の塚越、バゲット組に関しては、3位以上(PP獲得の場合は4位以上)が逆転タイトルの最低条件となる。これも厳しい条件ではあるが、仮に優勝した場合は1号車が3位以下あればタイトル獲得となる。前回の富士戦を制している17号車にとっては、今回もその勢いを維持できるかが鍵となる。
そして8号車の野尻、福住組に関しては、予選で1号車以外のマシンがポールポジションを獲得した場合、決勝では自力でタイトルを決められる可能性が残る。つまり、優勝すればライバルの結果に関係なくチャンピオンが確定する、ということだ。なお、2位に入った場合は17号車が3位以下&1号車が4位以下で、3位に入った場合は17号車4位以下&1号車5位以下でタイトルとなる。また、逆転王者への最低条件は6位以内だ。ここまで波に乗っている野尻、福住組が3連勝で奇跡の大逆転ドラマを生み出すかに注目だ。
#1 STANLEY NSX-GT
Photo by: Masahide Kamio
一方、第5戦以降ポイントリーダーの座を守ってきた1号車の山本としては、優勝はもちろんのこと、ポールポジション&2位でもタイトルを自力で獲得することができる。優位な立場であることに変わりはないが、前戦もてぎで今季初のノーポイントに終わった点は気がかりだ。これまでは予選で下位に沈んだ際も、燃費を活かした“アンダーカット戦術”で大幅に順位を上げていた1号車だったが、終盤戦にかけてはライバル勢も燃費面で進歩を遂げており、第7戦もてぎでは各車がかなり近いタイミングでピットインしたため、1号車はピット戦略でジャンプアップを果たせなかった。
これに関しては小島一浩監督もチームのリリースの中で、「これまでの戦い方と同じくして他車より早めのピットインを行ない、アンダーカットによるポジションアップを狙ったのですが、今回は同時に多くのクルマがピットインしたことから、うまく活用することができませんでした」とコメントしている。
ただ今回の富士戦では、サクセスウエイトのみならず、前戦は1号車が唯一制限を受けていた燃料流量リストリクターからも解放される。今季ここまでの7戦で6度予選Q1落ちとなっている1号車だが、最終戦では確実にQ2に残り、上位グリッドを確保することがポイントになるかもしれない。
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