【スーパーGT】予選の不調を挽回し、ランキング首位に躍り出た1号車STANLEY。路面温度向上に合わせたタイヤ選択が奏功
スーパーGT第3戦鈴鹿で4位に入り、ランキング首位に浮上した1号車STANLEY NSX-GT。山本尚貴によると、第2スティントでのタイヤ戦略がうまくいったことがジャンプアップに繋がったようだ。
写真:: Masahide Kamio
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第3戦鈴鹿は、予選の段階ではブリヂストン(BS)タイヤユーザーが苦境に立たされていた。GT500クラスのトップ4はダンロップ、ミシュラン、ヨコハマの3メーカーが占め、前戦ウィナーでBSタイヤを履く1号車STANLEY NSX-GTは11番手でQ1敗退。同じくBSタイヤを履くトヨタ・GRスープラ勢に至っては5台全てがQ1敗退となってしまった。
これには、予選における路面温度が予想以上に低かったことが関係しているようだ。
BSは夏場のレースということもあり、路面温度が高くなることを想定したタイヤ持ち込みをしていたという。BSのMSタイヤ開発マネージャーを務める山本貴彦氏は同社のリリースの中で「今回持ち込んだタイヤの路面温度対応域では、予選で30度を少し超えるという状況は温度レンジの一番下でした」と語っている。特にスープラ勢はその中でもハードなコンパウンドを選択したため、苦戦を強いられた。
しかし迎えた決勝では予選よりも路面温度が10℃以上も上がり、BSにとってタイヤのパフォーマンスを発揮できる領域に入った。これにより、最終的にはBSユーザー全9台中6台が予選よりも上の順位でフィニッシュした。特に1号車は7つポジションを上げ、BS勢最上位の4位。チームランキングで首位に浮上し、ドライバーランキングでも山本尚貴がトップとなった。
山本によると、決勝のファーストスティントでチームが履いていたタイヤは、路面温度の低い予選で使っていたものということもあり、ソフトなコンパウンドだったという。しかし、牧野任祐からのフィードバックを受けて自身が担当するセカンドスティントはハードなコンパウンドを使用。これにより「楽しいレース」ができたという。
山本はチームのSNSを通してレースを次のように振り返った。
「レース前半、牧野選手がかなり苦しそうでした。これはチョイスしたソフト側のタイヤが路面温度に対してかなり柔らかいものだったからだと思います」
「彼のフィードバックから、後半のタイヤはハード側に切り替えた方が良さそうだと思い、内圧等も調整しました。牧野選手が的確なコメントをしてくれたおかげで、楽しいレースをすることができました」
「欲を言えば表彰台を獲得したかったのですが、そのことは次へのモチベーションに活かしていきたいと思います」
1号車の山本はレース中盤、ペースに苦しむ16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを先頭とするパックの中に入り、そこでライバルを次々とオーバーテイク。16号車も攻略して大集団から抜け出すと、こちらもペースの上がらない12号車カルソニック IMPUL GT-Rをとらえて4番手に浮上した。
12号車も1号車と同じブリヂストンユーザーであり、第2スティントではタイヤコンパウンドをソフトからハードにスイッチしていたという。しかしペースが落ちていったのは、1号車とは対照的だ。
#12 カルソニック IMPUL GT-R
Photo by: Masahide Kamio
これについて、12号者のファーストスティントを担当した松下信治はmotorsport.comに対し、同じタイヤ選択をした1号車とこれほどまでにペースの差があった理由はまだ分からないと語った。
「予選のペースはそれほど悪くありませんでしたが、レースペースは最悪でした」と松下は言う。
「最初から速さがありませんでした。1号車と同じタイヤを使っていたのに、リヤタイヤがオーバーヒートしていました」
「僕たちは(最少周回数でピットインして)アンダーカットに成功し、2番手につけていたので、平峰(一貴)選手は良い状況にいると思いました。僕はソフトなコンパウンドを使っていましたが、彼は硬めのタイヤを履いたので、デグラデーション(性能劣化)も小さくなり、良いラップタイムが期待できると思ったんです」
「でも問題はデグラデーションではなかったようです。他の日産勢から1秒も遅かったので……まだ分析中ですが、リヤのグリップがありませんでした」
「1号車は僕たちと同じタイヤコンパウンドだったのに、僕たちよりもずっと速かったんです。セットアップなのか、タイヤの内圧なのか……何かが間違っていたんだと思います」
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