【スーパーGT】コースに留まるのが精一杯……防戦一方のレース強いられた笹原右京、この悔しさ糧に「絶対やり返したい」

スーパーGT第3戦鈴鹿の予選でフロントロウを獲得しながらも、決勝ではペースが上がらず9位に終わった16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT。後半スティントを担当した笹原右京は「コースに留まるのが精一杯」なほどフィーリングに苦しんでいたことを明かした。

#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

 鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第3戦。16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTは予選でフロントロウの2番手を確保したが、悲願の勝利を目指して臨んだ決勝は一転して悪夢のような展開となった。

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 レース序盤、ポールシッターである64号車Modulo NSX-GTのクラッシュにより、大湯都史樹がドライブする16号車はトップに浮上した。大湯は首位の座をキープしたまま20周目にピットインし、笹原右京に後半スティントを託したが、その笹原はペースを上げられず、コース上でも次々とオーバーテイクを許す状況で、16号車の後ろには常にライバル車による隊列ができていた。

 そんな中でも粘りの走りを見せた笹原は9位でフィニッシュ。苦しい状況の中でもチームにポイントを持ち帰って見せた。

「“しんどい”を通り越していました」

 笹原は、自らの担当スティントについて、苦笑いを浮かべながらそう語った。

「ファーストスティントから(タイヤが)結構しんどくて、ほぼミニマム(最少周回数)で(ピットに)入るしかありませんでした。たまたまセーフティカーに助けられて、なんとかトップのままピットに入れた……という状況でした」

Toshiki Oyu, Ukyo Sasahara, #16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

Toshiki Oyu, Ukyo Sasahara, #16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

Photo by: Masahide Kamio

「これを受けてセカンドスティントでは違うタイヤを選ばざるを得なかったのですが、結果的に換えたタイヤはファーストスティントのタイヤよりも厳しいタイヤでした」

「しかも、そのタイヤは皮むきができていなかったのでアウトラップが全然ダメで……自分の強みも活かせませんでした」

「良くなっていくと信じて走るしかありませんでしたが、現実はどんどん状態が悪くなるばかりでした」

 笹原はデグナーへの進入で挙動を乱してダートにマシンを乗せてしまうなど、ハンドリングにかなり苦しんでいると見られるシーンが散見された。実際にマシンはどんなフィーリングだったのか? そう尋ねると笹原は次のように答えた。

「コース上に留まるのが精一杯でした」

「グリップがなく、アンダーステアもオーバーステアも全部出ていました」

「ブレーキングの際もどこからでも抜かれそうでしたし、トラクションもありませんでした。どうにもできない感じでした。為す術もなく、ただボコボコにやられているボクサーのような感じでした」

「最後はもう『絶対譲らない』という意地だけで走っていました。でも、GT300のマシンをコーナーで抜くのも精一杯くらいで、少しでもコントロールを失うと即クラッシュしそうなくらいでした」

 タイヤ選択がうまくいかず、順位を落とした笹原。しかし仮に選んだタイヤがうまく機能したとしても、勝利を手にすることはできなかったのではないかと語る。

「他車と比べて、レースが課題だというのは明白でした。仮にタイヤチョイスが的確にできたとしても、(優勝を目指して)戦える位置にはいなかったのかなと思っています。100%タイヤ(の問題)という訳でもないし、クルマの方でも多少はできることがあったのかなと思います」

 インタビューには明るい表情で応える笹原だが、屈辱のレースを終えてのコメントの端々から、その悔しさが伝わってきた。彼は次戦SUGOに向けてはインターバルが短いため、マシンの開発やタイヤ戦略の面でできることは限られているとしながらも、この悔しさを忘れず、諦めずに戦っていきたいと語った。

「SUGOに関しては、こういうレースの後ですから、正直ポジティブなイメージを持つのが難しいところではあります。でも逆に言えば、あれだけ辛かったのによくポイント圏内で戻って来られたなと思っています。嬉しい結果ではないですけど、それはポジティブなことだったと思います」

「この悔しさはチームもダンロップさんも絶対忘れないと思うので、やり返したいですね。絶対諦めたくはないです」

 

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