【スーパーGT】ホンダ勢3台がランキング上位占め最終決戦に突入! しかし佐伯LPL「安心できる状況ではない」と油断せず
2021年のスーパーGTは、ホンダ勢の3台がランキング上位を占めた状態で最終戦富士を迎える。しかしホンダのラージ・プロジェクトリーダーである佐伯昌浩氏は、ライバルに逆転される可能性もあり得るとして警戒を緩めていない。
写真:: Masahide Kamio
ツインリンクもてぎで行なわれた2021年スーパーGT第7戦では、8号車ARTA NSX-GTが優勝。これにより、第8戦の富士を前にしたドライバーランキングは、1号車STANLEY NSX-GTの山本尚貴が60点でトップ、同じく1号車の牧野任祐が57点で2番手、そして3番手には野尻智紀、福住仁嶺(8号車ARTA NSX-GT/55点)、4番手には塚越広大、ベルトラン・バゲット(17号車Astemo NSX-GT/52点)が続き、ホンダ勢が上位を占める形となった。
もてぎ戦を前にした段階では、1号車のふたりがライバルに10点以上の差をつけており、レースの結果次第では最終戦を前にして山本のドライバータイトル連覇がほぼ確実となる可能性があった。しかし、1号車は予選で10番手に沈み、決勝でも得意のアンダーカット戦略を決めることができず、12位に終わった。
一方で前戦オートポリスを制した8号車は勢いそのままに、今回のレースでも優勝争いを展開。首位を走る12号車カルソニック IMPUL GT-Rに最後までプレッシャーをかけ続けた結果、最終周で12号車にガス欠症状が出たため、逆転勝利を手にした。17号車も決勝前のウォームアップでリヤカウルが破損するトラブルに見舞われながらも、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTのカウルを借りて命拾いし、レースでは8番手から着実に順位を上げて4位でフィニッシュした。
これでホンダの佐伯昌浩ラージ・プロジェクトリーダー(LPL)は、レースを総括して次のようにコメントした。
「今回はタイヤと燃費が鍵になったレースでした。前走車に引っかかることのない8号車と12号車のペースは安定しており、2台のマッチレースになりましたが、最終的には12号車のスローダウンで8号車の2連勝となりました」
佐伯LPL(左)と塚越
Photo by: Masahide Kamio
「17号車は他車に引っかかりながらも、しっかりと前に出るレースができて4位に入賞しました。残念ながら1号車はピットでライバルに前に出られた後、1リスダウン(=燃料流量リストリクター径が1段階絞られた状態)の影響もあってコース上で前に出ることができず、12位ノーポイントに終わってしまいました」
今回のもてぎ戦の結果を受けて、ランキングでは1号車、8号車、17号車という3台のホンダ勢が上位を占める形となった。計算上は36号車au TOM'S GR Supraの関口雄飛、坪井翔、12号車GT-Rの平峰一貴、松下信治、14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也、山下健太にも逆転の目が残されているため、ホンダ、トヨタ、日産の3陣営がタイトルを懸けて戦う構図となるが、ポイント的にはホンダ勢がかなり優位と言える。
しかし佐伯LPLは、今季ここまで6戦連続で入賞を記録してきた1号車が第7戦では流れを掴めず無得点となったことを引き合いに、最終戦に向けて油断することはできないと語った。
「ランキング的にはNSXが上位にいて優位に見えますが、今のスーパーGTは1ポイントを取るのも難しいカテゴリーになっているので、最終戦に向けて安心できる点差ではないと思っています」
佐伯LPLはそう語る。
「今回の1号車を見ても分かるように、レース展開によっては大きなトラブルがなくともノーポイントに終わる可能性があります。ノーポイントになってしまうと、ランキング5番手、6番手の車両が優勝した場合は逆転されますので、安心できる状況ではないと思います」
また佐伯LPLは、ホンダ勢がアドバンテージとしてきた燃費面でも、ライバルが差を縮めてきていると考えている。現に今回12号車は、最終的にガス欠症状が出てしまったとはいえ、8号車と共にGT500で最も早いタイミングでピットに入っていた。
「これ(早い周回でのピットイン)だけが最高の戦略とは限らないと思いますが、各車NSXにアンダーカットされないように色々戦略を練ってきたのだと思います」と語る佐伯LPL。最終戦富士に向けての展望に関しては次のように述べた。
「ストレートはトヨタ・スープラ勢が速いので、レース中は向こうの方が優位だと思います。ロングランのペースを安定させて、なんとか食らい付いてしっかりポイントをとれるレースにできればと思います。しっかり準備をして連覇を目指します」
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