38号車ZENT、またもチェッカーに届かず。戦略とドライビングミスを反省点に挙げる石浦、立川は「言葉がない」
スーパーGT第5戦鈴鹿でチェッカーを受けることができなかった38号車ZENT CERUMO GR Supra。歯車が噛み合わなかったレースを石浦宏明が振り返った。
写真:: Masahide Kamio
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第5戦。38号車ZENT CERUMO GR Supraは終盤にガレージインし、そのままレースを終えた。
38号車はここ数戦、何かに取り憑かれたかのようにトラブルが続発している。第3戦鈴鹿では公式練習と決勝で相次いでトラブルに見舞われ、1基目と2基目のエンジンが使用不可に。第4戦富士は3基目エンジン投入によるペナルティを消化した後、追い上げを目指していたが電気系統のトラブルでリタイアに終わった。
今回こそは好結果を、という意気込みで臨んだ第5戦は予選で5番グリッドを獲得。決勝前のウォームアップ走行はセンサートラブルで一切走行できず心配されたが、無事決勝のグリッドに着くとそこからは優勝争いを展開した。
立川祐路が最初のスティントを担当し、26周目のピットインで石浦宏明にバトンタッチ。石浦はトップを走る16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTにピタリとつきプレッシャーをかけていたが、50周目にGT300車両のクラッシュによりセーフティカーが出動。これによりピットレーン入口は閉鎖となり、義務付けられている2回目のピットイン(給油)を消化していない38号車のすぐ後ろには、既に給油義務を消化したライバルがつけるという圧倒的不利な状況に追いやられてしまった。
レース再開と同時にピットインした38号車は、2回目の給油を終えて石浦が続投。何とか追い上げを図ろうとしていたが、GT300車両をかわそうとした際に130Rでコースオフし、エアクリーナーを汚してしまったことで緊急ピットインを余儀無くされた。結果的にチェッカーを諦めた38号車。またも噛み合わないレースウィークとなってしまった。
石浦はチームのプレスリリースでレースを振り返り、自分たちのすぐ後ろを走っていた17号車Astemo NSX-GTがセーフティカー出動の直前にピットインした時、それをカバーしてピットインするべきだったとして、戦略面でも反省点があると語った。
「立川選手から序盤アンダーステアだと聞いていたのですが、ピットイン前にまわりよりもペースが良さそうだったので、同じタイヤでコースインしました。ピットアウトしてすぐにフィーリングも良く、トップ争いできる感触があったと思います」
「僕のスティント序盤でもどんどん抜いていけましたし、16号車とのバトルでは引っかかっている状況でしたが、実質17号車との戦いになると思っていました。17号車がアンダーカットした時点で僕たちも動くべきで、そういうやり取りも無線で行っていたのですが、そこでセーフティカーが出て優勝の権利を失ってしまいました。そこは反省点が大いにあります」
「また自分がGT300を抜くときに130Rで下(フロア)を打ってしまい、コースアウトして戻るときに芝を吸ってしまったようで、エアクリーナーに詰まってしまいました。自分のミスなので反省しなければいけませんが、結果的に完走できませんでした」
「応援してくれている皆さんに申し訳なく思っています。唯一の救いとしては良いレースができていたことなので、次戦、しっかり最後まで戦いたいと思います」
また立川は、今回も結果を残すことができなかったことに対して、「言葉がない」と繰り返した。
「正直、言葉がないです。ウォームアップでもトラブルが出ていましたしね」
「決勝レースでは、それでもクルマがきちんと走ってくれて、速さはあり手ごたえも感じられました。タイヤもうまく機能して追い上げることができていました」
「最初のスティントを担当しましたが、そこで手ごたえもあり、後半にいくほどフィーリングも良くなっていたんです。第2スティントでも石浦選手が良いレースをみせてくれていました。今日は勝てるレースだったと思っています。それがセーフティカーで台無しになってしまいました」
「運だけで片付けるわけにはいかないですね。直前にピットに入っていたライバルもいるわけで、戦略も必要だと思います。それができていなかった部分が正直あると思っています。繰り返してしまいますが、正直、言葉がないですね」
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