8号車ARTA、第6戦SUGOでの2年続けてのピットミスにドライバーからも危機感「全員の意識の問題」
スーパーGT第6戦SUGOで、ピット作業中のタイムロスで大きくポジションを落とした8号車ARTA NSX-GT。昨年のSUGO戦もピットでのミスから勝利を逃しただけに、ドライバーたちも危機感から厳しいコメントを残した。
写真:: Masahide Kamio
スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦。8号車ARTA NSX-GTの野尻智紀と福住仁嶺にとっては昨年のリベンジを期して臨んだ大会だったが、むしろ昨年のレースを想起させるようなミスで勝負権を失う格好となった。
8号車は昨年、第5戦として開催されたSUGO戦でポールポジションを獲得。優勝候補筆頭として決勝レースを迎えたが、タイヤ交換の際に外したタイヤが平置き出来ておらず、ドライブスルーペナルティを受けた。それをきっかけにピットウォールではドライブスルーの消化を巡って様々な誤解やミスが生じ、結果として福住は何度もピットレーンをスルーする羽目に。結果は2周遅れの10位だった。
そんな昨年のリベンジ、そして今季のタイトル争いに生き残るべくSUGOに乗り込んだARTAだったが、レースウィーク初日からマシンがまとまらず、予選はQ1敗退。決勝は9番グリッドからスタートすることとなった。
しかし、ドライコンディションでスタートしたレース序盤に雨が降り始めたため、各車はステイアウトするか、ウエットタイヤに交換するか頭を悩ます展開に。ARTAにとっては戦略次第で形勢逆転も狙える状況であった。そして15周終了時にピットに駆け込んだ8号車だったが、作業に手間取り大きくタイムをロス。中継映像では、ジャッキが降ろされ発進しようとした8号車の左リヤタイヤがはまっておらず、クルーが元のピットボックスに押し戻す映像が映し出されていた。
どうやらARTA陣営は、こういった状況下でのピットストップ時にはタイヤ交換とあわせて短時間の再給油も行なうというルーティンになっていたようだが、それについて第4戦富士からチームに合流した伊与木仁エンジニアと認識の擦り合わせができておらず、これがピットボックス内での混乱を呼んだようだ。伊与木エンジニアも「コミュニケーションのミスです。もっとコミュニケーションを取って戦略の統一をしなければいけませんでした。そこが反省点です」と語っている。
コースに復帰した時はクラス最後尾に落ちていた8号車。当時ステアリングを握っていた福住仁嶺は「ここまでグダグダになるのも、正直言葉が見つからないというか……」と語り、厳しいコメントを残した。
「昨年のこともあったので、こういうことを今の時点でやっているというのは、チームとしても考えて欲しいところです」
「良いチームというのは、混乱した時にこそ(その強さが)表れると思います。僕たちも良くなってきたことも多いかなと思っていましたが、まだまだ厳しい状況だなと思いました」
その後福住はウエットタイヤで周回を重ねるも、水量の少ない路面でプッシュしたこともあり早い段階でフロントタイヤの摩耗が進んでしまい、レース折り返しを待たずして2度目のピットストップを行ない野尻に交代した。福住は混乱するレースにおいて状況を把握するのが難しかったため、もう少し無線でのインフォメーションが欲しかったと本音をこぼした。
「無線などもなかったので、自分が今どの立ち位置を走っているかなど、その時のレース状況も把握できていなかったので、ストレスのかかる状況でした」
「周りがウエットタイヤを履いていなくて、今タイムを稼がないといけない状況なのかなとも思っていました。そういった情報が僕には全くなかったので、プッシュし過ぎてしまったかなと思います」
#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTと対峙する8号車。雨の中厳しいレースとなった
Photo by: Masahide Kamio
8号車は既にラップダウンということもあり、野尻に交代後も大きく状況を好転させることはできず13位に終わった。昨年は終盤戦の連勝でタイトル争いに絡んだ野尻と福住だが、現在2戦を残して首位と33点差のランキング10番手であり、次戦オートポリスでは表彰台以上の成績を残さないと最終戦までタイトルの可能性を残すことができない。
まさに崖っぷちの状況で第7戦オートポリスに臨む8号車。野尻はチーム全員が意識を高め、厳しさを持ってレースに臨む必要があると危機感を口にした。
Nirei Fukuzumi, Tomoki Nojiri, #8 ARTA NSX-GT
Photo by: Masahide Kamio
ピットでのタイムロスについてコメントを求められた野尻は、次のように語った。
「チーム全員の意識の問題もあると思います。過去を振り返っても、似たようなミスが何度かあるので、その辺りを改善しないとその先はないと思います。この先何が起きるのかという想定が足りない、という感じですかね」
「(第2戦)富士での優勝はすごく複雑な中での優勝だったので、次はきちんと勝ちたいと言ってから、もうあと2戦になってしまいました。オートポリスは昨年優勝しているとは言え、気持ちの面でもドライバーだけでなくチーム全員が同じような厳しさを持ってレースを戦わないといけないと思います」
また福住も、チーム全員が改めて気を引き締め、その中で自分自身もできることをやっていきたいと語った。
「オートポリス戦も全然甘くないと思っていますが、それよりも自分たちがまずちゃんとレースをしないといけません」
「ここ数戦はミスなどが増えてきちゃっていると思うので、チームをしっかり引き締めて、僕自身も言える部分は言っていって、良い走りをしないと結果には繋がらないと思います」
「みんながみんな自分たちの仕事を考えながらやれば結果はついてくると思います。色々考え過ぎても焦りにつながるかもしれませんが、目の前の問題点には焦らずに取り組んでいくしかないと思います」
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