繰り上がりで2年連続PP手にした61号車スバル。搭載ウエイト89kg……昨年より60kg重いマシンでの激走に総監督も驚き
スーパーGT第6戦SUGOの予選でGT300のポールポジションを手にした61号車SUBARU BRZ R&D SPORT。ライバル、そして昨年の自分たちと比べてもかなり重いマシンで臨んだ中での好結果に、チームも驚きを隠せないようだ。
写真:: Masahide Kamio
スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦の予選で、GT300クラスのポールポジションを獲得したのは61号車SUBARU BRZ R&D SPORTだった。トップタイムを記録していた96号車K-tunes RC F GT3の再車検不合格→タイム抹消による繰り上げポールではあるが、61号車が圧巻のパフォーマンスを見せたことには変わりはないだろう。
というのも、第5戦鈴鹿を終えてランキング3番手につける61号車が搭載するサクセスウエイトは89kg。サクセスウエイトの上限は100kgだが、彼らは上限に近い足枷を付けられた状態でポールを手にしたことになる。2年前には100kgウエイトで予選2番手を獲得したこともあるだけに、スバルにとって重くなったBRZからパフォーマンスを引き出すのはお手の物といったところか。
また昨年のSUGO戦との比較も興味深く、予選で1分17秒479をマークしてPPとなった61号車の当時のサクセスウエイトは54kg。今回と比べると35kgも軽い。そして厳密にはBoP重量も異なるため(昨年は25kg、今回は50kg)、車両重量で言えば60kgもの違いがある。そんな中で今年、山内英輝は1分17秒691というタイムを叩き出したのだ。もちろん、路面温度など諸条件の違いは考慮すべきだが……。
「驚きましたね!」
まだ96号車のタイム抹消が発表される前、小澤正弘総監督に話を聞くと彼は開口一番そう話した。
「もしかしたらギリギリポール争いに行けるんじゃないかなという話はみんなでしていたんです。それができるパフォーマンスは出せても不思議じゃないよねと。ただ正直、ここまで上手くハマるとは思ってもみませんでした」
予選前には大掛かりなセットアップ変更も行なっていたようだ
Photo by: Masahide Kamio
SUGOは大きく回り込むようなコーナーが多く、タイヤが“踏ん張る”必要のあるシチュエーションが多い。車両の重量が増えると、タイヤには“踏ん張る力”がさらに求められる訳だ。
そうした状況下でスバルが掴んだPPは、タイヤサプライヤーのダンロップとの開発の賜物だという。
「高荷重をかけた時にしっかりグリップが出るタイヤの開発を、去年から今年にかけて色々やってきました。そこで上手く開発もできたので、重くなっても意外とパフォーマンスが落ちないという状態が作れていますね」
「重量が上がった分を(タイヤで)受け止められるようになったのは良い方向で、レースでのタイヤの落ちに関しても良い方向には行っています。(第4戦)富士で後半のレースペースが良かったのも新しいタイヤのおかげで、それが活きてこのSUGO戦でも速く走れたのだと思います」
ポイントリーダー浮上、ひいてはタイトル連覇に向けて絶好の位置からスタートする61号車。しかし、小澤総監督は第7戦オートポリスが終わるまではタイトル争いの行方は見えてこないだろうと慎重な姿勢を崩さない。
現在ランキング1番手、2番手につけているのは共にGT-R勢(56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rと10号車TANAX GAINER GT-R)。小澤総監督はGT-R勢の強みについて解説しつつ、スバルとしては「逃げ切るレース」をしていく必要があると語った。
「やはり、GT-Rはパワーウエイトレシオもかなり小さくパワーがあるマシンなので、決勝レースでも(ペースが)落ちにくいということがあります」
#61 SUBARU BRZ R&D SPORT, #11 GAINER TANAX GT-R
Photo by: Masahide Kamio
「(GT-Rは)タイヤが落ちてボトムスピードが下がってきても、加速でタイムを稼いでいけます。要するに、バトルしていても戦いやすいということです。バトルのしやすさで言うとやはりGT3の方が上ですし、中でもGT-Rはしっかりトラクションのかかる非常に良いクルマだなと思います」
「しかも56号車や10号車、11号車(GAINER TANAX GT-R)はセッティングも上手いので、ロングランになると上位に上がってくると思います」
「ウチが上位に残れるパターンは、とにかく逃げ切ること。今回の決勝レースもそのパターンに上手くはめ込んでいければいいかなと思います」
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