スーパーGT 第8戦:もてぎ
今年もあと一歩王座に届かなかった17号車Astemo。最終戦はセットアップ噛み合わず「レースカーは生モノ……だから難しい」と担当エンジニア
2022年のスーパーGTでは最終戦までタイトルを争うも、ランキング4位に終わった17号車Astemo NSX-GT。田坂泰啓エンジニアは、あらゆるタイプのサーキットでセットアップのベースを見つけなければならないと語った。
戎井健一郎
公開日時: 2022/11/08 4:07
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

2022年のスーパーGTは、最終戦もてぎで2位に入った12号車カルソニック IMPUL Zの平峰一貴、ベルトラン・バゲット組がGT500チャンピオンに。最終戦での自力タイトルの可能性を残していた塚越広大、松下信治組(17号車Astemo NSX-GT)は5位フィニッシュとなり、ランキング4位でシーズンを終えた。
ここ数年、最終戦までタイトルの権利を残しながらも、あと一歩のところで王座には届いていなかった17号車。今季最終戦の舞台はホンダが得意とするもてぎ、しかも17号車はホンダのブリヂストンユーザーの代表としてもてぎで事前テストも行なっていただけに優位かと思われたが、公式練習では11番手、予選では10番手と苦しんだ。
「走り始めて、なぜか今回はテストの時よりグリップが薄いという話になりました。今回は(セットアップで)大きな事柄をいくつか試す予定でしたが……『なんでそうなるの?』と。この間(のテスト)とクルマも同じで気象条件もほぼ同じはずなのに……」
そう語るのは、17号車を担当する田坂泰啓エンジニア。事前テストと同じセットアップでマシンを持ち込み、そのパフォーマンスを確認した上で新たなセットアップを試そうとしていたようだが、予想外のグリップ不足にチームも慌てたようだ。
テストよりも若干低温なコンディションだったことから、ドライバーの松下も田坂エンジニアもウォームアップが不十分ではなかった可能性を指摘しているが、「難しいですね……レーシングカーは生ものですから」と田坂エンジニアは言う。
迎えた決勝レースでは、序盤に上位陣の接触などが相次いだこともあり、10周目にフルコースイエロー(のちにセーフティカーに)が出された時に17号車は4番手までジャンプアップしていた。リスタート直後の21周目に松下は、ヘアピンで12号車のバゲットをオーバーテイクしたが、バックストレートから90度コーナーへの飛び込みで抜き返されてしまった。田坂エンジニアは「やっぱりZはまっすぐが速いなと思いました」と振り返る。
その後松下は塚越に交代するも、上位陣についていくほどのペースはなく、17号車は結果的にトップから16秒遅れの5位でフィニッシュした。
田坂エンジニアは、もてぎのようなサーキットにおけるセットアップのベースを持ち合わせていないことが自身の課題だと語る。
彼は「うりゃーと(本人談)」踏ん張るコーナーがあるようなサーキット……例えばS字のある鈴鹿や、SPコーナーや大回りの最終コーナーを持つSUGO、さらにはオートポリスといったサーキットではセットアップの確たるイメージを持っている。実際今季は鈴鹿での2戦で共に2位、SUGOでは決勝で雨に翻弄されるも予選5番手、そしてオートポリスでは優勝を飾っている。一方でもてぎや岡山といったコースでは迷いが生じることもあるという。
「低速サーキットへのコンセプトも持っていないといけません。それを持てなかったのが敗因です」
「そこをちゃんとしないとチャンピオンを獲れないと痛感したので、来年に向けては気合いを入れて、低速サーキット用(のベース)を探します」
「先ほども言ったようにレーシングカーって生ものですが、ベースさえ持っていれば対応できると思います。そこを持っていないのが僕個人のダメなところだと思っています。中高速サーキットはイメージが沸きますし、外したとしてもリカバリーする自信がありますが、ここでは『どうすればいいんだ』と悩みながらレースウィークを過ごしました。空力では補えないメカニカルな部分で解決策を考える必要があると思います」
30年以上の経験のあるトラックエンジニアでも、未だ“答え”を探し続けているというのがモータースポーツの世界。「ない答えを探し続けるような仕事なので、疲れました(笑)」と笑う田坂エンジニア。シーズンが終わりほっと一息ついたのも束の間、王座獲得に向けて頭を悩ませる日々がまた始まっていく。
関連ニュース:
- 戦慄の追突事故。5号車マッハの冨林勇佑、31号車aprの中山から謝罪を受けたと明かす「前を見ていなかったと」|スーパーGT第8戦
- 100号車STANLEY、タイトル逃すも最終戦はポール・トゥ・ウインの完勝。しかしガス欠の危機迫る……山本尚貴「自分の経験をフルに活かした」
- スーパーGT、もてぎでカーボンニュートラル燃料のテストを実施。最終戦走ったばかりのマシンにすんなり適応も、ネックは“臭い”?
- 14号車ENEOS、3位表彰台でスープラ勢年間最上位を確保「最後に来年に繋がるレースができた」と山下健太も満足げ|スーパーGT第8戦
- 61号車スバル、ターボ系トラブルに苦しみ20位。連覇逃すもチーム一丸で乗り切った1戦に「満足している」と総監督|スーパーGT第8戦
















あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 スーパーGT、もてぎでカーボンニュートラル燃料のテストを実施。最終戦走ったばかりのマシンにすんなり適応も、ネックは“臭い”?
次の記事 タイトル逃したホンダ勢、今季唯一の誤算は雨のSUGO?「あそこが一番の敗因になった」
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment
More from
戎井健一郎

DENSO SARD、SUGO戦は今年も勝利まであと一歩届かず。「燃料の問題がなければ、優勝争いできたはず」とフェネストラズ
スーパーGT
スーパーGT
第6戦:SUGO
5 日前
DENSO SARD、SUGO戦は今年も勝利まであと一歩届かず。「燃料の問題がなければ、優勝争いできたはず」とフェネストラズ

タイヤ無交換で19番手から2位! GT300王座争い大量リードのリアライズ。しかしオリベイラ「こんな“ジョーカー”毎戦使うわけにはいかない」
スーパーGT
スーパーGT
第6戦:SUGO
6 日前
タイヤ無交換で19番手から2位! GT300王座争い大量リードのリアライズ。しかしオリベイラ「こんな“ジョーカー”毎戦使うわけにはいかない」

GT500ホンダ陣営、怒涛の3連勝でプレリュードは“シビック超え”。ランキングも2〜4番手に「最強パッケージに全力でチャレンジしていく」
スーパーGT
スーパーGT
第6戦:SUGO
6 日前
GT500ホンダ陣営、怒涛の3連勝でプレリュードは“シビック超え”。ランキングも2〜4番手に「最強パッケージに全力でチャレンジしていく」

More from
Real Racing

17号車Astemo塚越広大、タイヤマネジメントきっちり……SUGO戦で4年ぶり優勝「この後もしっかりと腰を据えて戦っていくのが大事」
スーパーGT
スーパーGT 7 日前
17号車Astemo塚越広大、タイヤマネジメントきっちり……SUGO戦で4年ぶり優勝「この後もしっかりと腰を据えて戦っていくのが大事」

ランク3番手から逆転王者目指す17号車Astemo、予選大苦戦の10番手。松下信治「チャンスはあるので諦めない」
スーパーGT
スーパーGT
第8戦:もてぎ
2022/11/05
ランク3番手から逆転王者目指す17号車Astemo、予選大苦戦の10番手。松下信治「チャンスはあるので諦めない」

【スーパーGT】デロイト トーマツがREAL RACINGのテクニカルパートナーに。交通安全など多面的なコラボレーションも
スーパーGT
スーパーGT 2022/03/15
【スーパーGT】デロイト トーマツがREAL RACINGのテクニカルパートナーに。交通安全など多面的なコラボレーションも
最新ニュース

ラッセル、コラピントのF1出場停止処分求める声に「厳しすぎる」 ガスリー&ノリスを巻き込んだクラッシュを擁護
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
3 時間前
ラッセル、コラピントのF1出場停止処分求める声に「厳しすぎる」 ガスリー&ノリスを巻き込んだクラッシュを擁護

WEC富士大逆転勝利のトヨタ。アンカー平川亮、アルピーヌの猛攻凌ぐ「普通に走れば、抜かれないと思っていました」
WEC
WEC WEC
Fuji
3 時間前
WEC富士大逆転勝利のトヨタ。アンカー平川亮、アルピーヌの猛攻凌ぐ「普通に走れば、抜かれないと思っていました」

「誇りに思える週末だった」ラッセル、バクー勝利で自信ついた! 残りレース全勝計画ブチ上げる
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
14 時間前
「誇りに思える週末だった」ラッセル、バクー勝利で自信ついた! 残りレース全勝計画ブチ上げる

WEC富士、レース終盤に衝撃のクラッシュ……マクラーレン720Sがメインストレートのガードレールに激突! その原因は”側面”スリップストリームだった!?
WEC
WEC WEC
Fuji
15 時間前
WEC富士、レース終盤に衝撃のクラッシュ……マクラーレン720Sがメインストレートのガードレールに激突! その原因は”側面”スリップストリームだった!?
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録