レースレポート
スーパーGT 第4戦:富士

シビック・タイプR-GTが初勝利! 8号車ARTAと100号車STANLEYがワンツー。ランク首位au TOM'Sは粘りの7位入賞|スーパーGT第4戦富士

スーパーGT第4戦の決勝レースが富士スピードウェイで行なわれ、GT500クラスは8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT、GT300クラスは65号車LEON PYRAMID AMGが優勝した。

#8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT

#8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT

写真:: Masahide Kamio

 8月4日、富士スピードウェイでスーパーGT第4戦の決勝レース(77周)が行なわれた。優勝したのはGT500クラスが8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT(野尻智紀/松下信治)、GT300クラスが65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹)だった。

 前戦鈴鹿から2ヵ月のインターバルが空き、真夏の富士で前半戦最後のレースが行なわれた。フォーマットは初となる350kmだ。ピットイン回数の義務はなく各車1回ストップがセオリーとなるため、ピットウインドウ等を考慮しても戦略の幅は狭くなる方向と予想された。

 週末を通して晴天となった富士は決勝日も酷暑に見舞われ、14時半の決勝スタート直前には気温35℃、路面温度は56℃を記録した。

GT500クラス

 GT500のポールシッターとなったのは、8号車ARTA。今季デビューのシビックが、第2戦に続いて予選最速となった。2番グリッド、3番グリッドも100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTとホンダ勢が続き、トヨタ勢最上位は4番グリッドの38号車KeePer CERUMO GR Supra、日産勢最上位は6番グリッドの12号車MARELLI IMPUL Zとなった。

 クリーンなスタートとなり、上位陣に動きはなかった。トップの8号車ARTAはGT300のトラフィックを掻い潜りながら徐々にマージンを広げ、10周を終えた段階で2番手の100号車STANLEYに対して2.8秒の差をつけた。3番手は64号車Modulo、4番手は38号車KeePer CERUMOは変わらずだが、8番手スタートの14号車ENEOS X PRIME GR Supraが福住仁嶺のドライブで5番手まで上がってきた。

 8号車ARTAと100号車STANLEYが安定したペースで周回する中、3番手の64号車Moduloはやや差をつけられる格好に。その後ろでは21周目に38号車KeePer CERUMOを交わした14号車ENEOSが4番手に上がり、64号車の背後につけた。そして14号車の福住は26周目の最終コーナーで64号車をオーバーテイクし、表彰台圏内まで上がってきた。

 レース距離3分の1を消化してピットウインドウがオープンとなったが、最も早く動いたのは最後尾を走っていた3号車Niterra MOTUL Zで、29周目。これを皮切りに各車続々とルーティンストップに動いた。

 トップの8号車ARTAは34周でピットに入り、野尻智紀から松下信治に交代。2周前にピットインしていた100号車STANLEYの前でコース復帰した。その100号車の後ろには38号車KeePer CERUMO、14号車ENEOS、64号車Moduloと続いた。

 レース後半はトップ8号車ARTAと2番手100号車STANLEYの一騎討ちの様相を呈した。両者の差は一時2秒以内に縮まり、緊張感が高まった。ただその差は縮まりもせず広がりもせず、膠着状態で終盤に入っていった。

 結局8号車ARTAは終盤に100号車STANLEYとの差をセーフティな間隔まで広げることに成功し、トップでチェッカーを受けた。今季デビューのシビック・タイプR-GTにとっては4戦目での初優勝。しかも8号車、100号車のワンツーフィニッシュで決めた。3位は38号車KeePer CERUMOだった。

 ポイントリーダーの36号車au TOM'S GR Supraは74kgのサクセスウエイトを積んでいることもあり14番手スタートとなったが、今回もレースでの力強さを見せて7位フィニッシュ。坪井翔、山下健太組は4ポイントを加算してランキングトップの座をキープした。そして今回2位となった100号車の山本尚貴、牧野任祐組が4ポイント差のランキング2番手に浮上した。

GT300クラス

 GT300のポールポジションは開幕戦以来今季2回目となる65号車LEON。2番手以下には87号車METALIVE S Lamborghini GT3、4号車グッドスマイル 初音ミク AMG、777号車D'station Vantage GT3とGT3勢が続いた。ランキング上位につける2号車muta Racing GR86 GT、52号車Green Brave GR Supra GTは共に下位に沈んだが、お家芸のタイヤ無交換作戦での追い上げはあるかにも注目された。

 オープニングラップは65号車LEONが一気に飛び出し、87号車JLOC、4号車グッドスマイルがそれを追った。中団以降は序盤から波乱含みの様相で、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTが6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIとの接触で左リヤにダメージを負って緊急ピットイン(6号車には黒白旗掲示)。9号車PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMGと50号車ANEST IWATA Racing RC F GT3もトラブルに見舞われた。

 そこから20周ほど、上位の順位変動はなし。首位の65号車LEONは87号車JLOCに6秒の差をつけ、その5秒後方に4号車グッドスマイル、そしてそのすぐ後ろに777号車D'station、88号車JLOC Lamborghini GT3、56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが接近した。

 その後もトラブルの連鎖は止まらない。96号車K-tunes RC F GT3がガレージインし、25号車HOPPY Schatz GR Supra GTはダンロップコーナー出口でストップ。25号車の回収のため29周目(GT300先頭は26周目)にフルコースイエロー(FCY)が出されたが、それに伴ってピットレーンクローズとなる直前にトップの65号車LEONがピット滑り込み。タイヤ交換、ドライバー交代を含む作業のロスを最小限に抑えることに成功し、大きく得をした形だ。

 やはりと言うべきか、タイヤ無交換作戦を採るチームが出た。33周目でピットインした31号車apr LC500h GTはドライバー交代と給油のみでピットアウトし、上位争いを展開していた88号車JLOCの前でコース復帰したが、88号車をはじめとするフレッシュタイヤを履くライバルから猛攻を受けることとなり、順位を落とした。なおJLOCはこれまでのレースと同じく、負荷のかかるリヤタイヤだけを交換してピット作業を終えたようだ。

 レース後半まで長らくステイアウトを続けていたのが、タイトルコンテンダーの2号車mutaと52号車Green Brave。どちらもタイヤ無交換作戦を得意とするチームだ。43周で入ってきた2号車はタイヤ4輪交換を選択したが、翌周に入った52号車はピットボックスにタイヤを用意しながらも無交換。作業時間を短縮できた52号車はポイント圏内の8番手まで順位を上げ、残りは粘りのレースをすることとなった。

 後続に対して圧倒的なマージンを持っていた65号車LEONは危なげない走りでトップチェッカー。今季初勝利となった。2位は4号車グッドスマイル、3位は56号車リアライズだった。

 2号車mutaはタイヤ4輪交換作戦を功を奏して8位入賞。この3ポイントも効いて、堤優威/平良響組は65号車LEONの蒲生尚弥/篠原拓朗組を抑えて2ポイント差でランキング首位の座を守っている。一方、タイヤ無交換作戦の52号車Green Braveはポジションを落とした後、トラブルからかガレージインして入賞を逃した。

 

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