新マシン登場でGT300勢力図は一変? 前年王者高木真一「周りがすごく速くて焦った」
新型コロナウイルスの影響で開幕延期が続くスーパーGTだが、昨年のGT300王者である高木真一は今季のライバルたちの速さに危機感を感じている様子だった。
写真:: Masahide Kamio
世界的に感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響により、開幕が大幅にずれ込んでいるスーパーGT。シーズン前のテストも岡山国際サーキットで3月14日~15日に行なわれた公式テストしか消化できていないが、その中で垣間見えたのが“GT300クラスの勢力図の変化”だ。
2020シーズンのGT300は新型マシンを導入するチームが多い。メルセデスAMG GT3ユーザーの各チームは新型の2020スペックに変更した他、土屋武士監督率いるつちやエンジニアリングも86MCからポルシェ911 GTRに車両をスイッチした。さらに#9 PACIFIC NAC D’station Vantage GT3と#60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3はミシュランタイヤを装着する。
ドライバーラインアップを見ても今年は話題が多く、GT500で2度のチャンピオン経験を持つ柳田真孝が#2 シンティアム・アップル・ロータスに加入したのをはじめ、クリストファー・ミース(#21 Hitotsuyama Audi R8 LMS)やニッキー・ティーム(9号車)など、ヨーロッパで活躍する各メーカーのワークスドライバーの参戦も決まった。
それに対しチャンピオンチームである#55 ARTA NSX GT3は高木真一の新パートナーとして大湯都史樹が加入。GT300クラスの今季参戦チームが集まって行なわれた岡山公式テストに臨んだ。
2日間とも天候が不安定で各チームとも予定していたメニューがこなせない状態だった。それでもテスト終了後に高木に状況を訊くと、収穫は少なからずあったという。
「今回のテストは雨上がりの状態が多くて、そこは大湯の練習になったので良かったです」
「本来ならタイヤテストをやりたかったんですけど、路面がなかなか乾かなかったことで、全部伸び伸びになってしまいました。あとは気温も低かったので『このコンディションで(テストを)やってもしょうがないよね』というのが僕たちの見解です。だからタイヤテストという部分ではほとんど何もできなかった……という状態です」
「あとセットアップの部分に関してはこのクルマで1年かけてやってきたことを踏まえて、昨年の開幕戦の時のデータと比較したり、見直すことができましたね」
「もともと大湯に練習してもらうというのが今回のテストでの予定だったんですけど、なかなか天気が良くならなくて、もう少しドライの路面で走らせてあげたかったなというのが本年ですね」
それでも高木はライバルの速さには驚きを見せていた。
「ちょっと(周りの)みんなが速いな……と思いましたね」
「今年は新しい車両も登場していますし、D’stationさん(7号車)はミシュランを装着しました。同じ状況でみんなが(タイムを出しに)いけている中で、僕たちはそこまでいけないという状況もあって、焦りはありました」
「ライバルがより増えたなという感じです。そういう意味ではうかうかしていられないというか……初心に戻って頑張っていかないといけないなと思いましたね」
そう語った高木だが、今季の55号車の体制が大幅に変わったことも「初心に戻らなければいけない」と感じている要因でもあるという。昨シーズンはNSX GT3導入初年度だったにも関わらず全戦でポイント獲得する安定した活躍を見せた55号車。それを下支えしていた一瀬俊浩エンジニアが今年、#18 UPGARAGE NSX GT3に移籍した。これも今季の戦いに少なからず影響すると高木は考えているようだ。
「昨年チャンピオンに貢献してくれたエンジニアの一瀬がアップガレージ(18号車)に行っちゃったので、(体制面では)イチからやらなければいけないんですよ。だから大湯の面倒も見なきゃいけないし、エンジニアも育てていかないといけない。チーム作りも今年は最初からやっていかないといけないです」
「あと今年からGT300はウエイトハンデが1ポイントあたり3kgに変わります。それも僕たちに良い方に転ぶかどうかはやってみないと分かりません。その辺も考えながらやっていかなければいけないですね。その分、GT300は誰にでも(勝つ)チャンスが出てくるので、落ち着いてレースを戦っていきたいなと思います」
ライバルの戦闘力がアップしたのに対し、自チームは体制を変更しイチからスタート……GT300連覇に向けて危機感を募らせていた高木だが、その中でも昨年通して得られた“経験とデータ”は間違いなく役に立つと力強く語った。
「このクルマは今年アップデートもないので、ポテンシャルとしては昨年のままではありますが、逆に1年戦ってきたデータが僕たちにはあります。昨年は全てのことが初めてで、各コースでも色々なセットを試しながら手探りで進めていたところもありました。そこの良かった部分と悪かった部分は分かっているので、昨年よりはもう少しアベレージを上げて各レースを戦えるのかなと思います」
「ただ、そのアベレージを上回るパフォーマンスを周りが見せてくるとちょっと辛くなるなという感じです。ただこのクルマが得意としている部分もあるので、その辺をしっかりと見極めながらやっていきたいです」
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