スーパーGTとの再びのタッグはあるのか? 独ADACが新カテゴリーの構想に言及「メーカーはDTMしか出られないクルマを作りたがらない」
スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイションの坂東正明代表と会談したドイツ自動車連盟(ADAC)のトーマス・フォスは、各自動車メーカーは単独のシリーズ向けの車両を作りたくないと考えているとして、今後他のシリーズとの共通規則を導入する可能性について含みをもたせた。
写真:: Masahide Kamio
スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表は、2月末にドイツ・フランクフルトでドイツモータースポーツ連盟(DMSB)、ドイツ自動車連盟(ADAC)の首脳陣を表敬訪問。その中では今後の新カテゴリーに向けて話もあったようだが、これについてADACのモータースポーツディレクターであるトーマス・フォスが語った。
スーパーGTは、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)との共通規則である“Class1”と呼ばれる車両規則を2020年に導入。スーパーGTでは現在も『スーパーGT GT500レギュレーション』としてこの規則が採用されているが、DTMは2021年からGT3車両をベースにしたカテゴリーに移行したため、両カテゴリーの協調路線は立ち消えとなっている。
ただ坂東代表は、将来的にコスト面や環境面の調整ができれば、欧州のメーカーも参画できる新たなカテゴリーが作れるのではないかと言う。まさにそういった点について、ADACと話をしたようだ。
坂東代表は以前、次のように語っていた。
「ヨーロッパが基本としているのはGT3車両のカテゴリーですが、その上には我々のやっている、かつて“Class1”と呼ばれていたGT500があります」
「これは量産車ベースの“グランドツーリングカー”の中ではトップに位置すると考えています。現状ではヨーロッパのどのメーカーもGT500はできないと思いますが、2028年以降に向けた新しい環境規則や安全規則の話し合いが進めば、GT3の上のカテゴリー、“ニューGT500”のようなカテゴリーが作れるのではないかと考えています」
「Class1は基本的にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)を運営するITR側からの提案で、そこに乗っかって一緒にやろうという話になりましたが、DTMのカテゴリー変更により、現在はスーパーGTが採用するスーパーGT GT500レギュレーションとなっています。ただ環境対策を講じることができて、コストが上がらないなら、GT3のもう一歩上のものが新たにできるのではないか……そう考えているのは皆同じです。そこを今後考えていきましょう、ということです」
この坂東代表との会談について、motorsport.comの姉妹媒体であるMotorsport-Total.comのインタビューに応えたADACのフォスは、会談の経緯について「日本語を勉強しようと思ってね」とジョークを飛ばす。そしてその後、こう続けた。
「独立した解決策はもはや意味をなさない」
「メーカーはDTMでしか走れないマシンを作らないだろう。IMSAやスーパーGT、もしくはオーストラリア(スーパーカー)だったりでも走れるクルマになれば、メーカーにとってもまた違った挑戦になる。だから(各プロモーターが)世界中で『あなたのところは何をやるんだ』と聞いて回っているのも頷ける」
「各メーカーは、プロモーターたちがFIAと一緒になって、将来の枠組みを提示してくれるのを待っている」
「メーカー側からは明確なシグナルが出ている。『我々はひとつの選手権に特化したマシンを作るつもりはないので、(プロモーター間で)同意してほしい』ということだ。これは今後に向けた課題のひとつだ」
このように語ったフォス。今後、複数のカテゴリーで使用可能なカテゴリーを新設するためには、その枠組み……特に環境対策に関する枠組みが重要になってくる。
現在自動車業界は電動化への推進の波が根強いが、スーパーGTでは“音のあるレース”を目指して、今季から従来の内燃機関にカーボンニュートラルフューエルを使用するという形をとっている。フォスは今後もモータースポーツにおいてはエンジンが主流になるだろうと考えているが、これらの課題について考え続ける必要があるのはどの国においても同じだと語った。
「彼ら(GTA)はこう言った。『スーパーGTは、ホンダ、ニッサン、トヨタの3社が互いに競い合うメーカー色の強いシリーズ。そのメーカーたちは持続可能性に目を向けていて、もっと環境に配慮していきたい。そしてそれは見せかけのものではなく、技術的にもリードしていきたい』と」
「これはモータースポーツにとってもチャンスだと言える。アメリカ人だってフランス人だって、もちろん我々ドイツ人だって、日本人と同じ課題を抱えているんだ」
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