
スーパーGT第2戦富士500kmレースの予選でポールポジションを奪った#23 MOTUL AUTECH GT-Rの鈴木豊監督に、決勝に向けた意気込み、そして今季のGT-Rの強みについて訊いた。
スーパーGT第2戦富士500kmの予選で、GT500クラスのポールポジションを獲得したのは、#23 MOTUL AUTECH GT-Rだった。予選Q2でロニー・クインタレッリが記録した1分26秒871というタイムは、これまでのコースレコードを0.5秒も上回る驚異的なモノだった。
「正直想定外。特にロニーのタイムは、想像以上でしたね」
そう語るのは、NISMOの鈴木豊監督である。
「こういうことは年に何度かあるのですが、特に今回はロニーがクルマ以上のモノを引き出してくれたと思います」
開幕戦に続いてのポールポジション獲得となった#23 MOTUL AUTECH GT-R。マシンの戦闘力は、昨年に比べて大幅な向上を遂げているように思える。
「決して大きな変更をしたわけではありません。小さなところを満遍なく改良……できる限りのことをやってきました」
GT-Rのリヤタイヤ後ろの空力処理は、実に複雑である。路面と垂直方向に何枚ものフィンが取り付けられ、マシンと路面の間を流れる気流を整えているように思える。複雑さという面だけを言えば、NSX-GTやLC500とは一線を画している。
「リヤタイヤの後ろは、昨年のままです。これは、床下のダウンフォースを活かす処理です」
そう鈴木監督は説明する。
「色々な部分で、他社のマシンとは違うところがあると思います。これは、我々の空力のエンジニアが、日々努力してくれている結果だと思います」
走路外走行によってタイム抹消となってしまったが、予選では#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rも速さを見せた。つまりGT-Rとミシュランタイヤの組み合わせが、今回の富士には非常に合っているように思える。
鈴木監督曰く、今年の#23 MOTUL AUTECH GT-Rにとっての最大のアップデートは、ミシュランタイヤにあるという。
「我々23号車にとって今年一番の進化は、ミシュランタイヤの安定性というか、パフォーマンスの向上だと思います。そこがとても大きかったです」
鈴木監督はそう語る。
「まだレースを走っていないのでなんとも言えませんが、テストの手応えとしては、とても良いと感じています。昨年は一発のアタックでパフォーマンスを発揮できてもレースでは保たなかったり、その逆で一発のタイムが出なかったり……そういうことがありました。そのバランスをうまくとった、タイヤ開発ができたのかなと思っています」
決勝日は午前中は晴れているものの、午後には雷雨の可能性も示唆されている。そんな状況を乗り越え、好結果を目指したいと鈴木監督は意気込んだ。
「決勝は微妙な天候のようですね。開幕戦に続いてなんですが……そういう時に良いポジションからスタートできるということは、とても有利になります。そこを十分に活かして上位でフィニッシュして、開幕戦同様大きなポイントを獲れればと思います」
「予選では、GT-R勢は揃って良い結果を残せました。かなりの数のお客様がいらっしゃるとのことですので、日産ファン、GT-Rファンの皆さまに、4台揃って良いレースをお見せしたいと思います」
この記事について
シリーズ | スーパーGT |
イベント | 第2戦:富士 |
サブイベント | Qualifying |
チーム | NISMO |
執筆者 | 田中 健一 |