高星大クラッシュで赤旗中断、SC先導で終了。波乱のレースは8号車ARTA大逆転勝利|スーパーGT第2戦富士:GT500決勝
赤旗中断が2回発生したスーパーGTの第2戦富士。GT500クラスを制したのは、#8 ARTA NSX-GTだった。
スーパーGTの第2戦富士450kmレース決勝が行なわれ、GT500クラスは赤旗中断2回の大波乱のレースを8号車ARTA NSX-GTが大逆転で制した。
今年もゴールデンウィークの真っ只中に開催されたスーパーGT第2戦。決勝日も晴天に恵まれ、富士スピードには陽光が燦々と降り注いだ。このレースは2度の給油ピットインが義務付けられるなど、戦略の幅がとても広く、戦前にはなかなか勝負の行方が見通せない、そんな難しいレースになることが予想された。
スターティンググリッドは、ポールポジションが#19 WedsSport ADVAN GR Supra、2番手が#24 リアライズコーポレーション ADVAN Zと、ヨコハマタイヤ勢がフロントロウを独占した。しかし、1周を終えて帰ってくると、その様相は一変する。
1周目を先頭でクリアしたのは、4番手スタートだった#37 KeePer TOM'S GR Supra。2番手には#3 CRAFTSPORTS MOTUL Zがつける結果となった。そして2周目に入るとすぐ、#36 au TOM'S GR Supraが3号車CRAFTSPORTを抜いて2番手に。なんとヨコハマタイヤ勢の1-2から、トムスの1-2に一気に変わったのだ。
一方でフロントロウスタートの2台は徐々に順位を落としていき、#100 STANLEY NSX-GTと#8 ARTA NSX-GTのホンダNSX-GT勢2台にも先行されてしまった。24号車はその後もペースが上がらず、さらにポジションを下げていった。
トムスの2台に3号車CRAFTSPORTを加えた3台は、後続を引き離して1パック状態となっていくが、徐々に3号車が遅れていく。そしてトムス勢2台の同門バトルへと発展……19周目の最終コーナーでは、36号車auトムスが一旦先頭に立つも、メインストレートでは37号車KeePerトムスが抜き返し、順位は変わらない。
24周、メインストレートで#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがリヤタイヤから白煙を上げてピットイン。それと時を同じくして、36号車auトムスが遂に37号車KeePerを交わし、先頭に立った。
GT500クラスで最初に動いたのは100号車スタンレーNSX。26周を走り終えた段階でピットインし、タイヤ交換と給油だけでなく、山本尚貴から牧野任祐へとドライバー交代も済ませた。#12 カルソニック IMPUL Zも同じタイミングでピットに戻り、やはりフルサービスである。
28周を終えた段階で、首位を走っていた36号車auトムスもピットイン。坪井翔がマシンを降り、ジュリアーノ・アレジが乗り込んだ。首位を争っていたもう1台のトムス37号車は、35周を終えたところピットへと滑り込んだ。
この37号車は、3号車CRAFTSPORTSの直前でコースに復帰。3号車は執拗にプレッシャーをかけるもオーバーテイクには至らなかった。
トムス勢らがピットに入ったことで、首位に立っていたポールシッターの19号車ウェッズは、41周を走り切ったところでピットイン。これで#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra以外の全車が、1回目の義務を消化したこととなった。
43周目、GT300クラスのマシンがアドバンコーナーで大クラッシュし、FCYが宣言された。この時ピットで作業を行なっていたのが、39号車サードである。これは彼らにとっては絶好すぎるタイミング。最後尾スタートから、一気にトムス勢に次ぐ3番手に浮上することとなった。
ただSCが解除されることなく、赤旗中断。クラッシュ地点の修復作業が行なわれることになった。
長い赤旗中断の後、16時半過ぎにレース再開。しかし、まだ折り返し地点を超えたばかり……残り48周のレースとなった。
再スタートでは、36号車auトムスが逃げ、2番手37号車KeePerトムスに39号車サードがプレッシャーをかける状況となった。しかしターン1で37号車KeePerトムスが36号車auトムスのインに仕掛けるという展開となる。しかし両者オーバーランしてしまい、漁夫の利を得る形で39号車サードが首位へ。3号車CRAFTSPORTSが2番手となった。
ただ39号車サードのペースは上がらず、後方には5台のマシンが数珠繋ぎ。大接近戦が展開される。
58周目から59周目に向かうメインストレートで、3台がスリップストリームを使い合い、1コーナーへと向かっていった。そんな中、39号車サードが前を行くGT300クラスのマシンを避けたところ、2番手の3号車CRAFTSPORTSが避けきれずにスピンし、大クラッシュを喫してしまう。車両がバラバラになり、モノコックのみが残るほどの衝撃だった。
これですぐさま赤旗中断。幸いにも、乗っていた高星明誠はマシンから無事に救出されたが、グランドスタンド前のガードレールは大きく損傷したため、この修復のために長い中断時間が取られることになった。
事故現場にはタイヤバリアが並べられ、1時間以上の長い中断を経て、18時10分からレースが再開された。ただレーシングスピードでの再開はなく、セーフティカー先導のままチェッカーが振られた。
これで39号車サードが大逆転優勝を達成し、2位に37号車KeePerトムス、3位が#8 ARTA NSX-GT……となったかに思われた。しかし、39号車サードには、赤旗中断中に作業規定違反があったと判断。さらに2番手でチェッカーを受けた37号車KeePerトムスにも36号車auトムスに対する接触の責任があるとして、ペナルティが科されることになった。
この結果、3番手でチェッカーを受けた8号車ARTAが優勝。2位は36号車auトムス、3位は#12 カルソニック IMPUL Zという結果になった。
結局100周予定のレースが62周で終わってしまったため、今回のレースでの獲得ポイントは半分ということになった。
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