スーパーGT坂東代表、新予選方式を説明「環境対策でタイヤセット数を削減……その中で面白く見える形を模索した」。GT300は引き続きグループ分けへ
スーパーGTを運営するGTアソシエイションの坂東正明代表が大阪オートメッセでスペシャルステージに登場。前日に発表されたばかりの新しい予選方式導入の意味などを説明した。
2024年シーズンからスーパーGTに導入されることが発表された新予選方式について、スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)の坂東正明代表が、大阪オートメッセで行なわれたトークショーで説明した。
2月9日、スーパーGTに新たな予選方式が導入されることが発表された。これは予選Q1とQ2のタイムを合算してスターティンググリッドを決めるというもので、予選で使えるタイヤも1セットに制限される。これによりドライバーには、アタックラップながらもタイヤマネジメントをすることが強いられるのは間違いないだろう。
発表から一夜明けた10日から、インテックス大阪を舞台に始まった大阪オートメッセのスーパーGTスペシャルステージに、GTAの坂東代表が登場。坂東代表自らステージに上がりトークショーを行なうのは、大阪オートメッセ初日の定番イベントとなっている。
ここで坂東代表は、新しい予選方式を導入した理由について、次のように説明した。
「スーパーGTとしては、環境のことも考えなければなりません。その中で、速く走れるタイヤではなく、長く走れるタイヤを作って欲しいと、タイヤメーカーさんとお話をしてきました」
そう坂東代表は言う。
「そして、2022年からタイヤの持ち込み本数を徐々に減らし、今回目標としているところ(300kmレースでのドライタイヤの持ち込みセット数が昨年の5セットから4セットに削減)までセット数を減らすことになりました」
「持ち込みセット数が4になり、土曜日の午前中に走って、午後の予選をやって、そして本番の300kmレースを走る……それをどんな格好にすれば一番面白く見えるかということを考え、そして今回のカタチ(予選でのタイヤ1セット制限と、タイム合算)になりました」
坂東代表はこれまで常々、将来にわたって”音の出るレース”を続けていきたいと強く主張している。そしてそれを多くのファンに楽しんでもらうためには、環境対策を行なうことは避けて通れないと説明する。
「多くのお客様に来ていただくためには、そういうことをやっていかなきゃいけません。本当は何も考えず、音の出るレースをやり続けていきたいですが、今のモータースポーツはそういう環境にはいないんです」
「例えばF1で鈴鹿サーキットに(3日間合計で)20万人もの人が集まれば、その人たちが集まってくる時に排出する二酸化炭素、そして環境面のことをしっかりやりなさいと言われます。そういうイベントを続けていくためには、受け入れなきゃいけない部分もあるんです。そうして、より多くの人に楽しんでもらえればと思っています」
とはいえ、予選を戦うドライバーたちの苦労が増すのは当然だろう。Q1を走るドライバーは新品タイヤを使えるが、そこで使い切ってしまっては、Q2担当のドライバーに皺寄せがいくだけ。合算で争うこととなれば、タイヤの”美味しいところ”を取っておいてあげなければいけない。
スペシャルステージに同席した昨年のGT500クラス王者である坪井翔(#36 au TOM'S GR Supra)は、新方式の予選ではQ2を担当したいと語った。
「僕は後(Q2)の方がいいです」
そう坪井は言う。
「Q1はみんな新品なので、イコールコンディション。そこでの順位は、パフォーマンス差が明確になってしまうじゃないですが。でもQ2では、各車それぞれ状況が違うので、タイムが出なくても『Q1でタイヤを使いすぎちゃったのかな』と思ってもらえると思いますからね」
「僕は言われたことには従って、一生懸命スーパーGTを盛り上げていきたいなと思います」
motorsport.comが取材したところによれば、GT300クラスは今年も予選が2グループに分けられる形になるが、若干方式が変わりそうだ。
昨年まではQ1各組上位8台のマシンがQ2に進出し、ポールポジションを争った。この形は今年も変わらないようだが、Q1下位のマシンがグリッド下位を決めるためのQ2を走ることになるという。つまりGT300クラスの予選は、Q1のA組とB組、さらにQ2上位組とQ2下位組という4セッションで争われるという格好になりそうだ。そうなれば、全グリッドがQ1とQ2の合算で決まるという原則には合致するわけだ。
ただ詳細については、まだ協議の途中という部分も多々あるという。
なおこの合算方式の予選となっても、リアルタイムで順位や合算タイムがすぐに分かるように、システムにも改修が加えられているという。坂東代表は大阪オートメッセで次のように説明した。
「実況する皆さんにも、そしてファンの皆さんにも、合算タイムがすぐに分かるように、モニターやテレビ画面の表示を対応させています。これには、巨額に費用がかかりましたよ」
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