スーパーGT 第4戦:富士

FCYが出るかも……篠原とピットの好判断でLEONが30秒差の完勝! 黒澤監督「『燃料は本当にもつのか?』って300回くらい確認してしまった」

スーパーGT、GT300クラスの#65 LEON PYRAMID AMGは、速さのみならす完璧な判断を下したことで、富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第4戦を圧勝した。

Naoya Gamo, Haruki Kurosawa, Takuro Shinohara, #65 LEON PYRAMID AMG

Naoya Gamo, Haruki Kurosawa, Takuro Shinohara, #65 LEON PYRAMID AMG

写真:: Masahide Kamio

 スーパーGTの第4戦富士350kmレースのGT300クラスで優勝を手にしたのは、#65 LEON PYRAMID AMG。篠原拓朗から蒲生尚弥に完璧な形でバトンを繋ぎ、2位#4 グッドスマイル 初音ミク AMGに31.647秒もの大差をつける完勝だった。

 この完勝劇を実現させたのは、その速さもさることながら、ドライバーとチームの綿密なコミュニケーションにあったと言えよう。

 土曜日に行なわれた予選で、65号車LEONはポールポジションを獲得。決勝レースでも先頭のポジションをキープし、周回を重ねていった。

 そんな中25周目を周回していた篠原の目に、ある光景が飛び込んできた。同じGT300クラスの#25 HOPPY Schatz GR Supra GTが、ダンロップコーナーでストップしていたのだ。

 篠原はこれを無線でピットに伝え、そしてチーム監督でもあり、第3ドライバーとしても今回登録されていた黒澤はこれを聞くと、篠原にピットインを指示した。

 そして篠原がピットインすると、コースにはフルコースイエロー(FCY)が宣言された。この時点でピットレーンの入り口は閉鎖されるため、65号車はトップを走りながら、少ないロスタイムでピット作業を終えることができた。これにより安定したリードを築くことに成功。後続に大きな差をつけてトップチェッカーを受ける最大の決め手となった。

「とても嬉しいのひとことです」

 レース後、篠原はそう語った。

「スタートしてからのペースもよかったですし、後続のバトルも見ながら走ることができました。ブリヂストンさんのタイヤのパフォーマンス、チームのみんなが作ってくれたマシンの出来がよかったので、気持ちよく走れました。そして、運が良いタイミングでピットインできました」

 しかし非常にタイトなタイミングの中、絶好の形でピットインさせるという指示を下せたのはなぜなのか? 黒澤は次のように語った。

「事前にドライバーには、そのタイヤで走れる周回数だとか、どのくらいなら燃料はもつのかとか、そういうピットインのウインドウについては伝えてあります」

 黒澤はそう説明する。

「そういう時に何かあれば無線で言ってくれとも言ってあります。今回篠原選手からの無線を聴いて、そこでピットインさせても、燃料的に大丈夫なのかとエンジニアに尋ねたら大丈夫だということだったので、入れと指示をしました」

 篠原も当時のことについて、次のように振り返る。

「ダンロップコーナーに入る時にイエローフラッグが出ているのが見えました。そして、ダンロップコーナーに入った時に25号車が止まっているのが見えたんです」

「監督からの無線がなかったんで、僕の方から伝えたところ、『入れるなら入りましょう』という返答でした」

「僕はFCYのモニターとピット入り口のシグナルと睨めっこして、入れたら良いなぁ……と思っていたところ、入ることができました。本当にギリギリだったと思うので、運がよかったです」

 しかし黒澤監督としては、レースの最後まで心配は絶えなかったという。

「エンジニアには、レース中に300回くらい『燃料は足りるのか? 大丈夫だって言ったよね?』と尋ねましたよ。ギリギリでしたけど、計算で大丈夫だということになって入れたわけですから……でも『そう言ったじゃないですか!』と言われるくらい尋ねました」

「そして蒲生選手にセーブしてもらった部分もあります」

 篠原からマシンを引き継ぎ、フィニッシュを目指した蒲生は、無事に走り切れてよかったと安堵した。

「嬉しいですし、本当にホッとしたというのが正直なところです」

 そう蒲生は語った。

「FCYでピットインしたことで、かなりの差をつくることができました。後半はタイヤと燃料をセーブしながら、何も起きないように気をつけて走っていました」

「長かったですが、無事に走り切れてよかったです」

 

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