苦渋の決断……つちやエンジニアリングが来季の参戦車両変更を発表
今年も各レースで存在感溢れる走りを披露したつちやエンジニアリングだが、彼らの代名詞的存在だった86マザーシャシーが見られるのは今季限りということになった。
写真:: Masahide Kamio
スーパーGT(GT300クラス)に参戦するつちやエンジニアリングの土屋武士監督は、これまで4年間使用してきた86マザーシャシーでの参戦を今季限りで終了し、来季は新しい車両を導入することを明らかにした。
2019シーズン最終戦が行われたツインリンクもてぎで、毎年チームとともに戦う『サムライサポーターズ』とのミーティングが行われ、そこで土屋監督の口から2020シーズンの参戦車両を変更することが明らかにされた。
今季は佐藤公哉を第2ドライバーとして起用し、「結果を残したい」という強い想いを胸にして臨んだ。特に予選では速さをみせ3度のポールポジションを獲得するも、決勝ではライバルの先行を許す悔しい展開に。第8戦もてぎも決勝18位に終わり、最終的なドライバーズランキングは19位と低迷してしまった。
ミーティングの冒頭で今季を振り返った土屋監督は今季の低迷ぶりを振り返り、集まったサポーターたちに次のように語った。
「今年は結果を残すと皆さんに言って臨んだのに、本当に悔しい思いを皆さんにさせてしまい、すみませんでした。ただ、2019年の終わりでひとつ区切りにして、2020年に向けて新しいスタートを切っていきたいと思いますし、この悔しい思いは次年度で爆発させたいなと思っています」
「本当にひと言『ごめんなさい!』。それが僕の本音です。ただ、この会を(来年に向けた)リスタートの場としたいなと思います」
サムライサポーターズのメンバーは普段から気心が知れている仲ということもあり、リラックスした様子で挨拶していた土屋監督だが、「重大発表がある」と明かすと、表情は一変した。
「端的に言うと、来年に向けて重要な変化があるので皆さんにお伝えしたいと思います。今まで使ってきた……マザーシャシーから、来年車両を変えて参戦します」
そう語った土屋監督は「すいません、あまりにも思い入れが強過ぎて……」と言葉を詰まらせ、会場はしばらく沈黙の時間が続いた。
新生つちやエンジニアリングとして2015年にスーパーGT復帰を果たし、5シーズンかけて苦楽を共にしてきた86マザーシャシー。「昨日の自分に負けない」というテーマを掲げ続けてきたつちやエンジニアリングだが、これから活躍を目指す若いドライバーや若いメカニックたちが日々成長をしていく中で、欠かすことができない存在だったのが25号車の86マザーシャシーだった。
強豪GT3勢に打ち勝って2016年にはチャンピオンを獲得したほか、2017年にはマシンが横転するクラッシュも経験するなど、25号車に関するエピソードは数限りなく存在する。
そういった想いが溢れ出てくるかのように土屋監督は涙を流したが、サポーターたちも彼の想いを理解しているかのように何も言わずに見守っていたのが印象的だった。
「ただ、やっぱり僕たちはレースを戦っていく上では勝たなければいけないので。新たなマシンと一緒に来年も戦っていきたいと思います」
「正直、こんな気持ちになるとは思っていなかったんですが、やっぱり結果が残せなかったことが悔しくて……。だからこそ、来年はしっかりと結果を出したいと思います。またよろしくお願いします」
そう語った土屋監督。気になる来季の車両については、改めて発表されることになるという。
なお、つちやエンジニアリングは11月23日、24日に富士スピードウェイで開催されるSUPER GT×DTM特別交流戦と併催されるGT300特別レースにエントリーするとのこと。#25 HOPPY 86 MCのラストランとなるという。
「この最終戦がスーパーGT公式戦としてはラストランでした。ただ、交流戦(でのGT300特別レース)に僕たちはエントリーをします。今回ここで発表させていただき、皆さんにこのクルマが走る最後のレースを観ていただきたいなと思います」
土屋武士監督(#25 HOPPY 86 MC)
Photo by: Tomohiro Yoshita
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