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スーパーGT 第6戦 鈴鹿

決して余裕はなかった逆転劇、23号車ニスモ鈴木監督「1秒でも遅れていたら勝てなかった」

2020スーパーGT第6戦鈴鹿。GT500クラスで最後尾グリッドから逆転で優勝を飾った#23 MOTUL AUTECH GT-Rの鈴木豊監督が、大逆転につながったピットストップ時の状況を語った。

#23 MOTUL AUTECH GT-R

 鈴鹿サーキットで行なわれた2020スーパーGT第6戦。GT500クラスで最後尾から大逆転で優勝を果たした#23 MOTUL AUTECH GT-Rの鈴木豊監督は、1秒でもタイミング等がずれていれば手に入れることができなかった勝利だったと語った。

 予選ではQ1を担当した松田次生がダンロップコーナーで飛び出してしまい、スポンジバリアにクラッシュ。幸い松田に大きな怪我はなかったが、マシンは相当なダメージを受けたという。

「エンジンより前のものは全て交換しました。あとはコースオフした際にけっこうジャンプしたので床周りとか、リヤウイングも壊れていました。クルマにはかなりダメージがありましたが、今のクルマはすぐに交換できるように作業性を良くなっていますので、徹夜することもなく、日付が変わる前には(チームスタッフは)サーキットを出られました」

「何より良かったのは、(松田)次生の身体に問題なかったということです。メディカルチームの方が、その後(細かな)検査をしてくださる手はずまで整えてくれました。それで問題ないということが確認できて、我々も安心して次生に『レースに集中しろ!』と言うことができたので、それも良かったです」

 そう語った鈴木監督だが、決勝レースは最後尾からのスタートということで、優勝は難しいと考えていたという。ただ、セーフティカー(SC)出動の可能性に備えてピットストップの準備は常に行なっていた。そしてそこに、#52 埼玉トヨペット GB GR Supraがコース映像している映像が飛び込んできた。

 当時の状況を、鈴木監督はこう説明した。

「周りの状況も見ていましたが、タイヤのコンディションが良かったので、もうしばらくは(ピットに入らずに)いこうかなと思っていました。ただ、SCが入る可能性もあるので、いつでも入れる準備はしておきました。そうしたら、モニターに(52号車のアクシデントが)映ったので、『これは!』と思って、ピットに入れました」

「(その時、23号車は)スプーンを抜けたくらいの場所を走っていたとと思います。モニターに(52号車が)映ってから2~3秒の間に『ピットに入って!』と無線を入れましたね。そうしたら、我々がピット作業をし始めたくらいのタイミングでSCの宣言がでました」

 しかし、12号車の前でコース復帰できた大きな要因は、ピット作業でミスがなかったことだという。

「(作業が)もう1秒~2秒遅れていたら、12号車に先行されていました。我々と12号車は実力が非常に拮抗していたので、あの場面で先行されてしまうと抜くのは非常に困難だったと思います。1秒か2秒遅れただけで、ポジションは変わっていたと思います。今回は全てがうまくいったというか、タイミングも含めて我々に追い風が吹いてくれたという状況でした」

「あとトップに立ってから、次生がしっかりとポジションを譲ることなく、がんばってくれました。『これならいける(勝てる)な』と、見ていても安心できる状況でした。そういった意味では、“棚ぼた”ではあるんですけど、勝利に値する速さも持っていたのかなと思っています」

 最後尾からスタートしてトップでチェッカーを受けるというのは、まさに前代未聞の逆転劇。望外の結果に、鈴木監督も笑顔が絶えなかった。

「優勝できるとは予想していなかったですし、みなさんもご想像の通りです。口では大きいことを言いますが、最後尾から優勝というのは普通はないので、正直なところ……勝てるとは思っていませんでした。でも、クルマの速さにはある程度自信があったので、ウエイトハンデが厳しいクルマを抜いていくことができて、中団くらいにはいけるかなという気はしていました。でも、こういう結果になるとは思っていませんでした」

 これで一気にランキング3番手に浮上し、チャンピオン獲得の可能性も高まった23号車。ただ、残り2戦はウエイトハンデが軽減されることもあり、より厳しい状況の中で勝利を掴まなければならないと、鈴木監督は展望を語った。

「残り2戦になりますけど、今回のレースで見るとクルマは速かったですが、それはウエイトハンデの関係もありました。次戦はハンデが半分になる中で、いかにポイントを獲得していけるかということになります」

「やっぱりクルマの戦闘力としてはトヨタさん、ホンダさんの方が強くて、我々はまだ足りない部分があります。最終戦に向けては、正直厳しい状況になると思います。だからこそ、次のもてぎが非常に重要です。そこで少しでも差をつけておいて、最後の富士でうまくやれればなと思っています」

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