トヨタGRカンパニー友山氏、TS050を試走「いつかWEC技術を市販車に」

GAZOO Racing companyのPresidentである友山氏がトヨタTS050 HYBRIDを数周テスト走行し、その感想について語った。

 12月10日、トヨタのファン感謝イベントであるTOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2017が富士スピードウェイで開催。トヨタはイベントの目玉のひとつとして、今シーズンWEC LMP1クラスに参戦したトヨタTS050 HYBRIDのデモ走行を披露した。

 トヨタTS050 HYBRIDが日本でレース以外の走行を行うのは初めてのことであり、今回のデモ走行を行うためにマシンを運用するドイツTMGのLMP1チームが来日した。

 イベント前日にこのマシンのテスト走行が行われたのだが、その際にGAZOO Racing CompanyのPresidentである友山茂樹氏が非公式でトヨタTS050 HYBRIDを数周走らせた。

 トヨタTS050 HYBRIDは操縦するために分厚いマニュアル本を読まなければならないほど操作が複雑であるため、ドライブするためには事前準備が必須だ。

 その友山氏の体験談について、motorsport.comは訊いた。

Toyota TS050 HYBRID, TMG
Toyota TS050 HYBRID, TMG

Photo by: Takahiro Masuda 

「とにかく緊張しましたね。(乗る前に)分厚い英語のマニュアル読みました。スタートする時はまずクラッチを切って、パドルにあるEVボタンを1秒以上押すんです。それからアクセルをあけるとすすすーっと進みだします。40km/hほどになるとクラッチを離すのですが、そこから『ガガガガッ』という音と共にエンジンが始動するんです。その後はレーシングカーなのでピットモードがあって、それを解除します。停車するときはその逆をやるんですよ」

「富士はRC-Fのカップカーで走った経験があるのですが、それよりもかなり下のギヤを使って、回転数を維持して走るようなスタイルで走るマシンですね。1回目は(小林)可夢偉さんから色々とレクチャーを受け、その後TMGのメンバーから指示を受けました。実はそのレクチャーを受けている間に緊張感が最骨頂に達してしまって、だんだん嫌になってきてしまったんです(笑)」

 始動手順からトヨタTS050 HYBRIDの複雑さが伺える。そのドライビングスタイルもハイブリッド車ならではだ。

「走っている間に電気が貯まっていくんですが、それを放出すると一気にトルクがかかります」と友山氏は語った。

「電気はブレーキ回生によって貯まっていき、急加速時に使われます。これは定常走行をするクルマではなく、常に急減速、急加速しながら走るようにチューニングしてあります」

「それがわかったのが1回目の走行の後でした。1回目の走行では電気を使い果たしてしまったんです。というのも高いギヤに入っている時に、低速ギヤ時と同じ走り方をしてしまったので、常にモーターを使っている状態になっていました。その結果、モーターが加熱してしまったので、冷却しなければならなくなってしまいました」

TS050HYBRIDテスト
TS050HYBRIDテスト走行

Photo by: Takahiro Masuda

  1回目の走行ではチームに"怒られてしまった"という友山氏。2回目の前には、小林とエンジニア、さらに脇阪寿一が加わって反省会を行ったようだ。

「2回目をやるのに少し臆してしまったのですが、みんなが励ましてくれました。その時は脇阪さん(が運転するRC-F)をペースメーカーにして走り、うまく走れたと思います。脇阪さんがRC-Fをベタ踏みしてていても、後ろで走っていて遅く感じましたし、余裕でしたね。クルマのスタビリティが高く、破綻するそぶりもありませんでした。RC-Fを邪険にするわけではないのですが、そこからもレベルの差を感じましたね」

 トヨタTS050 HYBRIDは回生エネルギーをうまく活用したドライビングスタイルを身につけなければならないが、コンピュータでアシストしていく方向性にあるという。しかし「完全に自動化してしまえばその乗り味がなくなってしまうため、残さないといけない」とも友山氏は語っている。

トヨタ・スポーツカーの方向性

GAZOO Racing company 友山茂樹社長
GAZOO Racing company 友山茂樹社長

Photo by: Motorsport.com

  今年の秋口にGAZOO Racing companyは、ロードカーブランドである『GR』を発表。友山氏自身が登壇し、今後トヨタのモータースポーツ活動を継続させるために、モータースポーツで培った知識を用いた市販車ラインアップを充実させていくと明らかにした。

 その友山氏が今回トヨタのモータースポーツ活動における大きな柱のひとつ、WECで戦うトヨタTS050 HYBRIDの乗り味を味わったということは、今後大きな意味合いが出てくることだろう。 

「WECでの技術を用いた市販車が出てくるまでには、もう少しかかりそうです」と友山氏。

「しかしトヨタのスポーツカーのあり方を示すものを近々出すつもりです。昔で言うLFAのようなものですね。しかしLFAの後に続くものがありませんでした。それとは違って、トヨタがどんなスポーツカーを作っていくのかというものの頂点をビシッとお見せするのがすごく重要だと思います」

「我々はカンパニーなので商品を出し続けなくてはなりません。そういった意味では今後面白い提案をしたいです」

 愛車として中古で購入したスープラを所有しているという友山氏。自身でチューニングしたスープラで通勤したこともあるというエピソードも語ってくれた。その愛車を「若い世代に見せたい」と語る友山氏が創り出す、新たなトヨタのスポーツカーコンセプトに今後注目したい。

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この記事について
シリーズ WEC
記事タイプ 速報ニュース