クラス優勝できず悔しさも……木村武史「世界のステージに宮田莉朋を立たせる”ミッション”をこなした自分を褒めたい」
ケッセルレーシング57号車の木村武史は、WEC富士でクラス優勝できなかった悔しさを覗かせながらも、宮田莉朋のWECデビューに一役買った自分を褒めたいと語った。
WEC富士でLM-GTE Amクラスで3位となったケッセルレーシング57号車の木村武史は、クラス優勝に手が届かなかったことに悔しさを滲ませつつも、宮田莉朋の世界デビューに一役買った自分を褒めたいと話した。
予選5番手となった57号車のスタートドライバーを担当した木村は、ターン1のイン側でスピンした車両が迫ってきたものの、これを間一髪回避。これは予め無理をするドライバーがいるはずだと予想していたのだという。
「あれは想定していました。ずっとイン側を見ていました。ぶつかるなと思っていたので最初からアウト側に相当逃げていて、当たらなくて済みました。結構上手に逃げられましたね」
木村はその後、ブロンズドライバーの中でも屈指の速さを誇るキャデラック33号車のベン・キーティングや、アイアン・デイムス85号車のサラ・ボビーに次ぐ速さでラップを重ねていった。
これには、宮田から教わった富士でのセクター3の走り方も効いていたようだ。
「1分40秒0台で走れていたので、かなり良かったと思います。見ての通り、他のクルマのストレートスピードがかなり速くて、コーナリングが重要なフェラーリというのはジェントルマンとしてはすごく難しいと思うんですが、自分なりに結構なペースで走れたと思います」
レース中盤を担当したスコット・ハファカーが他車から追突され、10秒ほどのタイムロスを喫したものの、マシンにダメージがなかったのは不幸中の幸いだった。
表彰台が狙える位置で宮田にマシンを託すと、宮田はこれがWECデビュー戦なのにも関わらず、フェラーリのファクトリードライバーらと遜色ない走りを披露した。
しかし木村は、マシンにトラブルが発生しており、終盤はパワーが出ない状況だったと明かした。
「(宮田が)素晴らしい走りをしてくれたんですけど、ポルシェ(GRレーシング86号車)とやり合っていたくらいからエンジンが調子悪くなっちゃって……クランクシャフトの油圧が上がってストレートスピードが出なくなってしまいました。そこから彼のペースが出せなくなってしまったので、それはちょっとも申し訳なかったかな」
「とはいえファクトリードライバーのダビデ・リゴン(クラス優勝したAFコルセ54号車)の方が1枚上手だったので、順位は変わらなかったかなという感じがしましたね」
57号車は54号車から19秒遅れの2番手でチェッカーを受けた(レース後にフルコースイエロー中の減速違反でペナルティを受け3位に降着)。木村は54号車のブロンズドライバーであるトーマス・フロールには勝っていたという自負があるだけに、悔しいという思いが残ったようだ。
「(トロフィーは)それなりに重く感じます。ただやっぱり優勝したかったですね。そんなにすごい喜びという感じではないかな。トーマス・フロールには予選でも決勝ラップでも勝ったので、そこに負けているのはチーム力としてまだ何か足りないのかなと素直に思います。彼らも押し出されたりしていたので、それでも負けるというのはまだ敵わないところがあるなと感じました」
一方で宮田の走りについては、木村自らが参戦をオファーし、宮田が戦える状態でバトンを渡せたことに自分を褒めたいと、木村は語った。
「(宮田は)やっぱり世界に通用するドライバーだというのは誰が見ても分かるので、こういう機会に彼が輝けて良かったと思うし、そういう土俵というかここまでの結果が出せて良かったですよね」
「私も彼にお願いして、参戦につなげられたことについて自分を褒めたいと思います。ああいうステージに彼を立たせるというのが、今回の私のミッションのひとつだったので、それは達成できたと思います」
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