WEC Fuji

Dステーション777号車、一時クラス首位も10位。藤井誠暢「苦しい現状でベストなレースができた」来季の参戦はエントリーできるか次第に

WEC富士で一時クラス首位を走りながら10位に終わったDステーション・レーシング777号車の藤井誠暢は、来季のLMGT3参戦についてエントリーが認められるか次第だと語った。

#777 D'Station Racing Aston Martin Vantage AMR: Satoshi Hoshino, Casper Stevenson, Tomonobu Fujii

 WEC富士をLM-GTE Amクラス10位で終えたDステーション・レーシング777号車の藤井誠暢は、苦しい状況の中でもベストなレースができたと語り、来季のLMGT3クラス参戦についても現状を明かした。

 他のマシンがブロンズドライバーでスタートする戦略を採る中、予選3番手からスタートした777号車はゴールドドライバーの藤井がスタートを担当。スタート直後のターン1で1台交わして2番手になると、その後セーフティカーが出動した。

 藤井はリスタート後もターン1でオーバーテイクを決め、クラス首位に浮上。ハイペースでリードを広げていった。ピットストップ後は、星野敏にバトンタッチ。星野は粘りの走りで長くクラス首位を保っていたものの、途中でペースが落ち、徐々にポジションを下げてしまった。

「トップに立ってからは、当然マージンを作るのが大事なので、プッシュをして20秒くらいマージンを稼ぎました」

 そう藤井はmotorsport.comに語った。

「想定より気温が高かったのでリヤタイヤの内圧が高くてオーバーステアに悩まされたんですが、ペースはぼちぼちでした」

「星野選手の最初のスティントは、他のブロンズの選手と比べても良いペースで走れてトップを守れました。次のスティントは途中でちょっとした接触があったりとか、ピックアップみたいなものでタイヤが急にグリップしないと感じる時があって、そこで結構ペースが落ちて中々回復しなくなってしまい、大きくロスしてしまいました」

「とはいえ、ハイパーカーも多く混雑している中で大きなミスなく担当スティントを走りきってくれたので素晴らしかったです」

 今季は、シーズンを通じて3チームがLM-GTE Amクラスでアストンマーチンのマシンを使っているが、BoP(性能調整)の影響もあり、軒並み苦戦を強いられている。BoPが再調整された第3戦スパ以降は多少マシとなり、スパやル・マンで25号車のORT BY TFスポーツが表彰台を獲得しているが、777号車はスパとモンツァで大クラッシュを喫しており、かなり苦しいシーズンとなっている。

 予選では星野の見事なドライビングで3番手と上位に食い込んだ777号車だが、レースではそうした苦しさが出てしまったと藤井は言う。ただ、彼はBoPも含めてそれが今の実力だと話した。

「レースになると今年のアストンマーチン勢の状況なりのタイムと結果になるなというのが終わってみた感想です。一言でいうとずっと苦しいです」

「ただそれは言ってもしょうがないし、今回はそれが実力だったということです。昨年のBoPだったらフェラーリと互角に戦えたんですが……まあでも、与えられた状況の中ではベストなレースができたかなと思います」

「最終戦バーレーンは8時間のレースですけど、元々FRのマシンでストップ&ゴーが得意ではないので、富士よりも相性は悪いと思います。苦しいとは思いますが、今までのベストリザルトが出せるように頑張りたいと思います」

 バーレーンはシーズン最後のレースというだけではなく、WECにおけるGTE車両最後のレースでもある。来季からはGTE規定の車両ではなく、GT3のマシンを使ったLMGT3クラスがスタートするのだ。

 LMGT3のグリッドがどうなるか、状況が少しずつ見え始めてきている中、Dステーション・レーシングのアプローチはどうなっているのか聞くと、すでにエントリーの準備は整っているのだと藤井はいう。

 ただLMGT3クラスのエントリー台数は、ハイパーカークラスの参戦台数、メーカー数にも左右される。Dステーションの参戦が実現するかどうかは、エントリー枠を確保できるか次第となるようだ。

「元々チームのマネージングディレクターをやってこのプロジェクトを始めるという交渉をイギリスとかでやってきた中で、どうしても日の丸の、Dステーションのエントリーとして世界選手権、ル・マンに出るということがしたかったんです」

 そう藤井はDステーション・レーシングのWECプログラムについて語った。

「それが星野さんの夢のひとつでもあるので、それを叶えたかったというのが僕の想いです。この3年間、WECを日本のエントリーで戦って、結果は良い時も悪い時もありましたが、我々の存在をアピールできたし数年前の目標は達成できたかなと思います」

「来年に向けては、ハイパーカークラスに参戦するマニュファクチャラーは各2台(のエントリーが保証される)という噂になっていますけど、Dステーション・レーシングが残れるかというのはオーガナイザーではないので分かりません」

「でも我々はアストンマーチンと深いパートナーシップを結んでいるし、もしアストンマーチンの枠があった場合にうちが残れる可能性は高いと思っています。そうなった時は日本のエントラントとして、WECのチャレンジをしたいと思います」

「エントリーセレクションが10月から11月にあるので、それに選ばれないとエントリーはできません。まずそれに挑むための準備は全部終わっています。いま一緒にやっているTFスポーツはコルベットに移りますが、エントリーできた場合にどういう環境・パッケージでやるかもほぼ決めてはいます」

「まずは今、エントリーがどうなるかが一番重要です。頑張りたいと思っています」

 

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