WEC Fuji

ポール獲得の小林可夢偉、驚速アタックで「トヨタが真剣にやってきたということを証明できた」

WEC富士の予選で驚異のアタックを見せ、ポールポジションを獲得したトヨタ7号車の小林可夢偉は、トヨタがベンチマークになっていることを誇りに思うと語った。

#7 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez

 WEC富士6時間レースの予選でポールポジションを獲得したトヨタ7号車の小林可夢偉は、トヨタがハイパーカークラスのライバルたちのベンチマークになっていることを誇りに思うと話した。

 1日を通して不安定な天候に見舞われた富士スピードウェイ。ハイパーカークラスの予選も、ほぼドライ路面でスタートしたものの終盤に雨が降ってくるという難しいコンディションとなった。

 そんな中で入念にタイヤを温めてアタックに向かったトヨタの2台。小林がアタックした7号車がポールポジション、ブレンドン・ハートレーがアタックを担当した8号車が2番手と、母国でフロントロウ独占を果たした。

 中でも小林のアタックは自身も驚くほどの速さ。昨年8号車が富士で記録したポールポジションタイム(1分29秒234)より1.4秒以上も速い1分27秒794を叩き出したのだ。

「フリー走行から路面コンディションが不安定で、正直予選シミュレーションというのが全くできていなかったですが、予選ではすごくクルマが良くて、思いっきりアタックできました」

 そう語った小林だが、2度目のアタックではセクター1&2でさらにタイムを短縮していた。しかしトラフィックの影響もあり、アタックは完遂できなかった。

 それでも小林は、トヨタGR010ハイブリッドが持つポテンシャルを十分発揮できたと予選を振り返った。

「最後プジョーがスローダウンしていてそれに引っかかってタイムが出せなかったんですが、タイヤの美味しいところは掴めたし、ちゃんとドライで走って昨年より良いタイムが出ました。気温が涼しい分何とも言えないですが、BoPの違いを考えてこのタイムが出るということは、クルマのポテンシャルをしっかり示すことができたなと思います」

「チャンピオンシップを考えても、まずトヨタとして予選の1ポイントを獲ることと、ライバルに獲らせないということが重要です。明日のスタートで前を抑えられるという意味でも非常にベストなポジションからのスタートかなと思います」

 一方で、フリー走行とは大きくコンディションが異なると予想される決勝に向けては、博打的な要素が残っていると小林は語った。

「正直タイヤのデグラデーションは温度でかなり左右されると思うので、まずは明日の温度にクルマのバランスをしっかりと合わせて、僕たちが制御できるレンジの中でクルマを転がすことができたら、うまくタイヤをマネジメントできると思います」

「そこから外れると運転ではカバーできなくなると思いますが、その温度でまだ今週走れていないので、ちょっと博打的な状態になる可能性はあると思っています」

「今日は今日、明日は明日になって考えてみないといけないっていうのが正直な状況です」

 今季はハイパーカークラスのエントリーが一気に増加した。それを迎え撃つ形となっている王者トヨタは、ここまで5戦4勝。そして富士の予選で、圧倒的な差を見せつけた。

 小林はこれこそ、”ライバル不在”と言われてきた中でもトヨタが研鑽を続けてきた証だと語った。

「(ホームの富士なので)期待されていると思うし、今まではトヨタしかいないと言われてきた中で、これだけマニュファクチャラーが帰ってきてもこれだけのパフォーマンスを見せられるのは、今まで僕らがのんびりやってきたわけではなくて、真剣にやってきたということを証明できているのかなと思います」

「今は僕らがベンチマークになっていると思うので、それを誇らしく思います」

 

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