WEC Fuji

トヨタ8号車の平川亮、鮮やかオーバーテイクで「”流れ”を変えられたと思う」

トヨタ8号車の平川亮は、WEC富士でのポルシェ6号車に対するオーバーテイクについて、流れを変えないといけないと感じていたと明かした。

松本 和己

編集: 2023/09/11 3:48

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#8 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid: Sebastien Buemi, Brendon Hartley, Ryo Hirakawa

 WEC富士を2位で終えたトヨタ8号車の平川亮は、ポルシェ6号車をダンロップコーナーで抜いた鮮やかなオーバーテイクについて、ポルシェに向いていた流れを変えたかったと語った。

 ポイントリーダーとしてホームの富士戦に臨んだ8号車。2番手からのスタートだったが、いきなり試練が襲った。多くのマシンがコースオフした混乱のターン1で、フェラーリ51号車から追突を受けてしまったのだ。

 幸いパフォーマンスに影響するようなダメージはなかったが、これで一時6番手までポジションを落としてしまった。

 8号車のスタートドライバーはセバスチャン・ブエミであり、このシーンをピットで見守っていた平川は、さすがに焦りを感じたという。

「焦りがなかったとは言えないですね。あそこまで落ちるとは思っていなかったし、フェラーリにちょっと当てられてダメージがあるかどうかという話もあって、その後リカバリーして追い上げる立場になるまでは不安な部分もありました」

 レースペースではトヨタ勢に分があり、8号車はレース開始から1時間を前に3番手までリカバリー。2番手7号車と共に、抜け出した首位ポルシェ6号車との差を縮めていった。

 トヨタ7号車は、レース折り返しとなる3時間経過時点でポルシェ6号車の背後にピタリとつけたが、6号車のケビン・エストレが粘りの走りで逃げ、7号車のホセ・マリア・ロペスは決め手を欠いた。前が詰まっている間に、そこに追いついたのが8号車の2人目としてマシンに乗り込んだ平川だった。

「6号車と7号車に追いついて、どうするのかとチームと話をしながら何周か走っていたんですけど、順位を入れ替えてチャレンジさせてもらいました」

 トヨタはタイヤが厳しくなってきた7号車と、まだ余力がある8号車のポジションを入れ替えたのだ。とはいえ、ポルシェ6号車の方が早めにピットストップする予定だったため、平川にはリスクを冒すなという指示が飛んでいた。

 しかし平川は、その直後にダンロップコーナーで鮮やかに6号車をオーバーテイク。レース開始から4時間が経とうという頃、スタート直後の1コーナーで主導権を失ったトヨタが、このレースで初めてリードラップを刻んだ。

 平川は、ポルシェ6号車がすぐにピットインすることは分かっていたものの、流れを変えなくてはいけないと感じていたと明かした。

「ポルシェがインラップだというのは分かっていたんですけど、『このままだとポルシェの流れになる。どこかでそれを変えないといけない』と僕は思っていました」

「チームからは『エストレが危ないからリスクを取らずに抜くな』と言われていたんですけど、自分的にはリスクは取っていないですし、あそこで流れが変わったと思います。チームの要望には従っていないので減点かもしれないですけど笑」

「チャンスがあったら行こうという感じではあったんですが、本当にその直前までは行くか行かないか決めていませんでした。だた、ちょっと(6号車の)ブレーキのタイミングが早いなと感じたので」

 チームの指示に従わなかったと話した平川だが、マシンに乗り込むのを待っていたトヨタ7号車のドライバー兼、チーム代表の小林可夢偉は平川にトライさせるようチームにプッシュしていたのだという。

「僕はもっと早く入れ替えろと言っていたんです」と小林は言う。

「僕たちは普段富士でレースをしているからどうやってバトルするかを知っているし、一発で決められると思っていたので、一回平川に行ってもらったら流れを変えられるんじゃないかなという思いがありました。それでもチームはどうしようと悩んでて、そこがレーサーとの違いですね。レーサーは判断が早いですから笑」

 平川にオーバーテイクを許した6号車がピットインした後、トヨタはワンツー体制でレースをコントロール。再び2台のポジションを入れ替えて7号車が優勝し、8号車が2位となった。

 この結果、トヨタがマニュファクチャラーズタイトル獲得を決めた上、最終戦バーレーンには8号車がドライバーズランキングでポイントリーダー、7号車が15ポイント差のランキング2番手で臨むことになる。

 バーレーンは8時間レースでポイント配分も多いが、仮に7号車がポール・トウ・ウィンを果たしても、8号車が2位に入れば、8号車がドライバーズタイトル連覇となる。またランキング3番手のフェラーリ51号車は31ポイントのビハインドであり、8号車がバーレーンで8位以下でない限り逆転はできない。

 小林は、バーレーンでチームオーダーを出して2台の順位をコントロールする必要はないと語った。

「そこはコントロールする必要もない。チームとしてはマニュファクチャラーズタイトルの方が大事だと思うし、それは獲ったから、普通にレースをするだけです。ドライバーズタイトルは流れ次第ですが、何もなかったら8号車だと思うので、バーレーンで良いレースをしたいなと思います」

 平川はチャンピオン連覇を強く意識しており、「速い方が勝つというのは明らかだし、ワンツーになるかもまだ分からないので……」と慎重姿勢。これには小林から、「そこはワンツーフィニッシュしようよ笑」とツッコミが入った。

 改めて平川は「ワンツーになるんで、8号車がチャンピオンです笑 勝つ勝たないは二の次で、個人的にはなんとしてもドライバーズチャンピオン連覇をしたいですね」と意気込んだ。

 

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