WECアルピーヌ、F1復帰にこだわるミック・シューマッハーに理解示すもチーム残留を希望「やっぱりF1はF1だけどね……」

アルピーヌは、ミック・シューマッハーにWECチームに残留するよう説得中だが、シューマッハーはあくまでF1復帰のわずかな可能性に固執しているようだ。

Podium: #36 Alpine Endurance Team Alpine A424: Mick Schumacher

Podium: #36 Alpine Endurance Team Alpine A424: Mick Schumacher

写真:: Andreas Beil

 WEC(世界耐久選手権)のハイパーカークラスを戦うアルピーヌは、来季のドライバーラインアップにミック・シューマッハーを残せるように全力を尽くしているようだ。

 今季からLMDh車両のA424を2台投入してWEC最高峰クラスに挑戦しているアルピーヌは、36号車のドライバーのひとりに元F1ドライバーのシューマッハーを起用している。ただその一方で、シューマッハー本人はF1復帰を熱望しており、2025年に向けた最優先事項はグランプリシーンへのカムバックだと何度も公言している。

 シグナテック・アルピーヌのチーム代表であるフィリップ・シノーは、そういった状況にありながらも、チームはシューマッハーの残留に向けて積極的に対話を行なっていると語った。

 シューマッハーを残留させられる自信はあるかという質問に対し、シノーはこう答えた。

「何と言えばいいか難しいが、私はそう(残留)して欲しいと思っている」

「彼に対しては、我々にとって共に戦うことが非常に重要なポイントだとすぐに伝えたし、その辺りは強く言っているところだ」

「ただ、今我々の手にあるものは何もない。F1はやはりF1だからね。もう少し待つ必要がある。近いうちに何かしらの知らせが届くことを願っている」

 アルピーヌはWECと並行してF1にも参戦している。彼らはハースへの移籍が決まったエステバン・オコンの後任として、シューマッハーをF1チームに迎え入れることも検討していた。しかしながら、最終的には育成ドライバーのジャック・ドゥーハンにシートを与えることで決着した。

 アルピーヌのモータースポーツ部門の責任者で、F1とWECの両プログラムを統括するブルーノ・ファミンはmotorsport.comに対し、今年のシューマッハーのパフォーマンスに感銘を受けたと語った。

「ミックにはとても満足している。彼はとてもいい仕事をしてくれた」とファミンは言う。

「彼の耐久レースへの適応は驚くべきもので、とても速く、優秀だ。シングルシーターのドライバーにとって(適応が)難しいのは誰もが知るところだ」

「そして特に彼に関しては、今年の初めからどのようにしてF1シートを獲得するかに焦点を当てていたし、今もそうだ」

「ただそれはさておき、彼はしっかりこのプログラムに集中している。オースティンでは、レース中の彼の速さを再確認した」

「私はミックにとても満足しているし、この関係を続けられるチャンスがあるのなら大歓迎だ」

 2021年、2022年の2シーズンにわたってF1に参戦したシューマッハーにとって、近い将来F1に復帰できる可能性は低くなってしまっている。特に来季のシートに関しては、実質的にザウバーの1席しか空いていない状況だ。

 来季もシューマッハーを引き留めるためにアルピーヌにできることは何かと問われ、ファミンはこう答えた。

「より良いチームになること。ただ、(シューマッハーの残留に向けては)チームがどうこうという話に限らないがね」

「ミックの最優先事項は(F1復帰の)チャンスがあるかどうかだが、そこにはもうひとつのシートしか残っていない」

「最終的にどのような決断になるだろうね。我々からしたら(シューマッハーが残留するなら)ハッピーだよ」

 ファミンもシノーも、シューマッハーがF1復帰の道を見つけられなかった場合は、アルピーヌとの関係を継続して欲しいとの意向を明らかにした形だ。シノーはこう続ける。

「共に良い仕事ができたと思う。彼のパフォーマンスレベル、速さ、取り組みの姿勢には満足しているし、彼もその仕事ぶりに納得しているんじゃないかな」

「彼がF1に行けなかったら、我々は共に仕事を続けていくことになるだろう」

 また当のシューマッハーは、先日行なわれた富士戦で殊勲の3位表彰台を獲得し、F2時代以来となるポディウムに登ったが、チームの躍進と来季のレース計画は関係がないとして、次のように述べていた。

「今はただただ表彰台に満足している」

「今後何が起ころうとも、将来のことは今年のどこかで決まればいいと思っている。それが分かり次第、プレスリリースを出して知らせたいと思っている」

「ただ当然、希望はF1だ。僕が小さい頃から夢見てきたところだからね。でもWECで走れることも本当に素晴らしいことだと感じている」

 

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