フェラーリ、WEC参戦継続に重要なのは「自社でマシンを100%開発できること」と明言。LMDhの存在に疑問視?
WECの将来の形はどんなモノになるのか? 今はLMHとLMDhの2種類の規格が存在するハイパーカークラスはどうなるのか?
フェラーリは、WEC(世界耐久選手権)ハイパーカークラスの将来は、新レギュレーションによって各メーカーが自社で車両を製造できるかどうかにかかっていると語る。
WECのハイパーカークラスには現在、LMHとLMDhという2種類の規格のマシンが走っている。これを統一するための議論が様々な関係者の間で進められており、早ければ2030年にもこの新しいレギュレーションが導入される可能性がある。
フェラーリはLMH規定に準拠したマシンを開発し、WECのハイパーカークラスに参入した。このLMH車両は開発の自由度が高いが、ハイパーカークラスに挑む多くのメーカーは、市販のハイブリッドシステムを搭載するLMDh規定での参戦を選んでいる。
フェラーリは昨年のル・マン24時間レースの際、ハイパーカークラスへの参戦を2029年まで延長することを決めたが、その次の新規定に関する現在の協議結果を待っている状況だ。
協議の進捗状況について尋ねられたフェラーリ耐久チームのグローバル責任者であるアントネッロ・コレッタはmotorsport.comイタリア版に対し、「いずれかの規格に集約するのは、現在のレギュレーションが導入されて以来、常に議題となってきたことのひとつだ」と語った。
「ふたつのプラットフォームが存在することには、何のメリットもない。将来に向けて単一のプラットフォームにすることが、すべての関係者にとっての最善の策だ」
「フェラーリには独自の考え方がある。LMHレギュレーションに準拠し、現在行なっているようにマシンを100%自社で開発し続けることができれば、我々はこの選手権に参戦し続けるだろう」
「我々にとっては、マシンを100%自社開発できることが最優先だ。LMDhのように何らかのコンポーネントが共有可能となっても、それは各チームがそれぞれの戦略に基づいて判断することになるだろう。しかし我々にとっては、マシンを100%自社開発することが不可欠だ。これが基本だ。単一のプラットフォームと、マシンを100%自社開発できる能力だ」
「その他の詳細は、後から決めればいい。駆動方法……つまり四輪駆動にするのか、あるいは二輪駆動にするのかを明確にすることが、間違いなく重要になるだろう。現状ではこれがふたつのプラットフォームを区別する要素となっている」
最近ではポルシェとランボルギーニが撤退し、アルピーヌも2026年シーズンを最後にWECから去る。にもかかわらず、ハイパーカーカテゴリーには複数の新規参入メーカーが加わっており、依然として活況を呈している。
ジェネシスは今年からこのカテゴリーに参戦。フォードとマクラーレンも、2027年から参戦をスタートさせる。しかしこれらはいずれもLMDh規格を採用する。アストンマーティン(2025年)とイソッタ・フラスキーニ(2024年)はLMH規格を採用しWECに挑んだメーカーだが、いずれもハイブリッドシステム非搭載であった。
Antonello Coletta, Head of Ferrari Endurance and Corse Clienti
写真: Davide Cavazza
LMDh規格で参戦するチーム数が増加していることについて尋ねられたコレッタは、次のように語った。
「よく見てみると、WECから撤退した、あるいは徹底を予定しているブランドは、いずれもLMDhを採用したチームだ。ポルシェにランボルギーニ、そして撤退予定のアルピーヌもだ」
「一方でLMHのトヨタ、プジョー、フェラーリ、アストンマーティンは、シリーズに残っている。この話の背景には、多くの誇張された言説や駆け引き、そして政治的な議論が含まれていると思う」
「まず第一に、このプログラムが持続可能なモノであるかどうかを評価する必要がある。LMHクラスのブランドは、この点を保証していると思う。でもLMDhの場合はそうではないかもしれない。当初熱意はあったものの長期的なビジョンに欠けており、それが一部のメーカーにとって問題になっている。ただ多くのメーカーが参戦し、観客動員数という点でこの選手権の成功を確実なモノにしてくれることを、大変嬉しく思っている」
LMDhもLMHも、一度ホモロゲーションを取得すると、その後の開発はEvoジョーカーシステムによって制限される。アップグレードを行ないたい場合、各メーカーはアップグレードを申請し、承認を得る必要がある。
当初各メーカーは、マシンを開発した後最初の5年で、5つのEvoジョーカーのトークンを使うことが認められていた。しかし現行のレギュレーションが2029年まで延長されたことで、各メーカーは追加のアップデートを行なう機会を得た。2026年のテクニカルレギュレーションには、苦戦しているメーカーを救済するために追加のトークン使用を申請できるという新たな条項も含まれている。
しかしコレッタは、現行システムによるコスト上昇の可能性を軽視した。
「私の見解では、問題ではないと思う」
そうコレッタは語った。
「私のチームが事業計画を作成した際、規則で認められている通り、Evoジョーカーのトークンを既に持ち込んでいた」
「3年から5年の事業計画を作成する場合、当然ながらすべての変動要因を考慮に入れる必要がある。我々はそれを考慮に入れたし、他のメーカーも同様だ。もしそうしていないメーカーが、それを選手権からの撤退の理由に使っているのであるば、それは言い訳であって、本当の理由ではないと思う」
「Evoジョーカーを使える可能性をペナルティの対象にするのは、私は馬鹿げていると思う。しかもフェラーリは、最もEvoジョーカーの支出が少ないチームだから、競争が激化する中で何が起きるか予測できないとはいえ、コストを抑えるためのひとつの方法だと考えている」
「しかしEvoジョーカーの存在は以前から明記されていたわけだから、それを考慮せずに開発計画を立てておいて、後になってから不満を言うのはおかしいと思う」
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