“世界の舞台”WECを目指す平川亮に、星野一義監督が愛のあるエール「俺のところは早く卒業して、ステップアップしなさい!」
TEAM IMPULの星野一義監督は、トヨタからのWEC参戦を目指す平川亮に対し、このチャンスを活かしてステップアップして欲しいと語った。
平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、星野一義監督
Masahide Kamio
スーパーフォーミュラにcarenex TEAM IMPULから参戦する平川亮は、9月にスペインのカタルニア・サーキットで行なわれる TOYOTA GAZOO RacingのWEC(世界耐久選手権)チームのテストに参加する。平川にとってGR010 HYBRIDをドライブするのはこれで2度目となるが、本人曰く「おそらく今後に向けたオーディションも含めてやると思う」とのことで、来季以降のドライバー選考にも関わる重要なテストになるとみられる。
平川はこれまで、「世界の舞台で戦いたい」という意思を公言しており、2017年にはELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)に参戦。F1に挑戦してみたいと語ったこともある。そして今は、将来的なWECレギュラー参戦に意欲を見せている。
そんな平川を2018年からスーパーフォーミュラで起用しているcarenex TEAM IMPULの星野一義監督は、平川が世界へと羽ばたくチャンスを手にしていることについて、寂しさはありながらもそれ以上に嬉しさを感じているようだ。
「俺のところは早く卒業して、ステップアップしなさいと(言っている)。俺はそういうタイプだからね」
スーパーフォーミュラ第5戦が行なわれるツインリンクもてぎのパドックで、星野監督はそう語った。
「そうやって、(TEAM IMPULに)来た人が次から次へと卒業してくれたら嬉しいじゃないですか」
「もちろん、ずっと(チームに)いてくれた方がいい。でも平川のために、『俺のことは心配するな、ステップアップしなさい』という気持ちです。トヨタもその窓口を作ってくれているし、こんなチャンスはない。今日も『その路線から外れないように思い切りやれよ』と励ましたところです」
「平川のステップアップに対して僕がブレーキかける訳ないですよ。大いに良いことです」
現役時代は“日本一速い男”と呼ばれ、ル・マン24時間レースやデイトナ24時間レースなど、世界の舞台でも活躍した星野監督。耐久レースの厳しさも身をもって知っている。
Kazuyoshi Hoshino, TEAM IMPUL
Photo by: Masahide Kamio
「24時間レースは40時間くらい寝ないでやるわけですよ。そうすると一番怖いのはミスだったりします。だからミスをしないように、1、2割力を落としながら走らないといけない」
「(ル・マン24時間が行なわれるサルト・サーキットは)コースが1周13kmもある訳だから、場所によって条件も違う。ホームストレートでは2速で走らないといけないくらい(ウエット)なのに、ユノディエールに行くと完璧なドライで、今度は300kmオーバーで走ったり……色んなことがある訳ですよ」
「でも、そういうのは自分で勉強しないといけないし、どういう条件でも一番速いというのがプロの仕事です。ドライバーにとって必要なのは、何に乗っても速いこと。ツーリングカー、フォーミュラ、ル・マン……何乗っても一番でなくちゃダメ」
「『俺もそうやってやってきたから、お前にもできるよ』と思います。平川にはその素質があると思うし、彼は器用ですから」
先日行なわれた2021年のル・マン24時間では、トヨタが4連覇を達成。今後最高峰クラスには多くのライバルメーカーの参戦が予定されているため、競争はますます激化していくものと思われるが、平川には今、“ル・マンで勝てるマシン”で戦うチャンスが巡ってきていることは確か。星野監督は「今はトヨタが(ル・マンで)勝てるポジションにある訳だから、すごくチャンスですよね。登りつめてほしいし、頑張ってほしいね」と目を細めていた。
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