やっぱりリヤウイングは必要? プジョー9X8、ウイング搭載の2024年仕様をポール・リカールでテストか

プジョーは、LMH車両である9X8の2024年仕様をポール・リカールでテストしたが、アップデートされたマシンにはリヤウイングが搭載されているようだ。

#94 Peugeot Totalenergies Peugeot 9X8: Loic Duval, Gustavo Menezes, Nico Muller

 プジョーは、2024年シーズンに向けたテストをポール・リカールで行なった。そこで全面改良されたLMH車両9X8と思われるマシンが目撃された。

 9X8はリヤウイングを持たないプロトタイプ車両として開発された。しかし今回ポール・リカールで目撃された車両は、9X8の特徴的な縦3本ラインのリヤライトと共に、リヤウイングを搭載している。

 SNS上では、車体全体がブラックに塗られた9X8の画像や、ポール・リカールのターン3からターン7を走行している動画が拡散されている。

 

 これにはプジョーの公式Xも『9X8が見つかっちゃったね! もうオフィスは休暇に入ったけど、近日中に素晴らしい画像を公開すると約束するよ』と投稿している。

 9X8のリヤウイングは他のハイパーカーと比べると控えめで、あまり目立たない。エンドプレートも、他のLMHやLMDhマシンに見られるような大きなモノではない。

 

 プジョー9X8の進化は、単にリヤウイングを取り付けただけではないだろう。車両コンセプト全体がひっくり返ったのだ。これはトヨタGR010ハイブリッドと同様、9X8が元々、現在とはまったく異なるレギュレーションの下で開発されたことに起因する。

 北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権と、WECを主宰するACO(フランス西部自動車クラブ)によって、LMHとLMDhの技術的収束が決定されたのは、プジョーがすでに開発を終えていた2021年のことだった。

 この変更の結果、LMH車両は当初の意図よりも大幅に少ないパワーで走ることが求められた。

 そのため、トヨタはGR010の空力最適化とタイヤサイズの変更を2021~2022年に済ませている。これによりGR010のタイヤ幅は前後13インチから前12.5/後14インチに変更されている。

 プジョーは2023年も前後13インチ幅のタイヤを使っていたが、今回のアップデートでトヨタや他のマシンと同じサイズに変更されているようだ。

 当時、トヨタはマシンの変更にいわゆる開発用ジョーカーを使う必要がなかったが、プジョーも同様かどうかは現在のところ不明だ。

 いずれにせよ新しいタイヤサイズに対応するため、リヤアクスルにかかるダウンフォースを大幅に増やす必要があり、新しいリヤウイングがその一部を担っているはずだ。

 プジョー9X8は2022年のシーズン途中、モンツァでデビューした。1年目は数々の信頼性問題に悩まされたが、性能調整も追い風に2023年のル・マン24時間レースでは数時間にわたってレースをリードした。

 そしてデビューから1年後のモンツァで初の表彰台を獲得。ただシーズン終盤の富士とバーレーンは期待外れの結果に終わっている。

 フロアで大部分のダウンフォースを稼ぐというコンセプトであるがため、サーキットによって大きくパフォーマンスが左右されていたプジョー9X8。今回のアップデートで、より万能なマシンに変貌を遂げるかもしれない。

 

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