WEC 富士6時間

ウイングレス脱却も、苦戦続くプジョー。来季に向け、さらなるアップデート必要か評価進める

プジョーは4月に9X8をアップデートしたばかりだが、WECで競争力を高めるためにはさらなる改良が必要だと認識しているようだ。

#94 Peugeot Totalenergies Peugeot 9X8: Paul Di Resta, Loic Duval, Stoffel Vandoorne

#94 Peugeot Totalenergies Peugeot 9X8: Paul Di Resta, Loic Duval, Stoffel Vandoorne

写真:: Andreas Beil

 世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラスに参戦しているプジョーは、上位との差を縮めるため、2025年にLMH車両の9X8にさらなるアップグレードを導入することを検討している。

 プジョーは今季途中、第2戦のイモラからリヤウイングを搭載した改良型9X8を走らせているが、来季に向けてさらにエボジョーカーを使用してマシンを改善する必要があるかどうかを判断するため、今季残りの2戦でマシンのポテンシャルを完全に把握したいと考えている。

 プジョーのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニーは、ハイパーカークラスでのプジョーの状況を改善するために何をすべきかと尋ねられ、次のように答えた。

「今はマシンのパフォーマンスを見ているところだ。だが何か発見があるまでは、マシンの改善に必要なのが何なのかを知るのは難しい」

「我々は色々なことを検討している。マシンの評価を進め、改善すべき多くのポイントを特定し始めた。特にこの2レースはそのために非常に重要だった」

「セットアップで解決できないことがはっきりすれば、最終的にはエボバージョンの投入やジョーカー使用を検討することになる」

 2023年に9X8をデビューさせたプジョーは、5年間に許された5つのエボジョーカーを使用し、マシンを改良した。

 ただ、ジョーカーがどれだけ使用されたか公開はされておらず、他メーカーにも共有されていない。今季に向けてフロントタイヤの幅を狭く、リヤタイヤの幅を広くした変更でジョーカーが使用されているかも分かっていない。

 トヨタも、同様のタイヤサイズの変更を2021年から22年にかけて行なっており、LMDh車両とLMH車両の規則を収束させるプロセスの結果、LMH車両の最低重量が削減されたため、この切り替えが必要になったと説明した。

 エボ・ジョーカーの使用はルールメーカーであるACO(フランス西部自動車クラブ)とFIAに申請する必要があり、その裁量で許可される。

 シーズン途中のジョーカー使用でウイングレスから脱却したプジョー9X8だが、これまでのところ8位以上の結果を残せていない。前バージョンの9X8は昨年のモンツァで表彰台を獲得した他、今季の開幕戦カタールでも2番手チェッカー(後にガス欠で失格)を受けている。

 ジャンソニーは、プジョーがエボ・ジョーカーを使用することを決定した場合、どの時点でその可能性があるかは未定だとしながらも、2月下旬にスタートする2025年シーズンに新バージョンのマシンで臨む可能性は否定しなかった。

「それもオープンだ」

「何がパフォーマンスをもたらしてくれるかを懸命に検討している。これから年末にかけての調査結果次第で、どうするか決めることになる」

「(変更の範囲について)全体像が見えてくるまでは何とも言えない」

「何かをする前にどれだけ待つことができるか、そして素早く何かをすることでどれだけ得ることができるのか、そのバランスが必要だ。来月(のテストで)、サーキットで何を見つけるかにかかっている」

 ジャンソニーは、「目標は11月末までに明確なイメージを持つことだ」と付け加えた。

「自分のやっていることに100パーセント自信があるなら、2〜3週間で設計し、3〜4週間でパーツを製造し、テストすることができるような、迅速で簡単な変更にする可能性もある」

「それは2、3ヵ月の周期だ。もっと長くかかる選択肢もある。答えるのは不可能だ」

 
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