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品質、レギュレーション、教育……WECの燃料管理の中心にあるモノ

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品質、レギュレーション、教育……WECの燃料管理の中心にあるモノ
執筆:
2019/09/13 12:26

WECの燃料サプライヤーを務めるTOTAL。彼らはその燃料を、どのように管理しているのか?

 燃料をどうチェックしているのか、そしてその結果はどうなったのか……そういうことについて、主に話を聞いた。もし燃料に異常があれば、レギュレーションに違反したり、スポーツに影響を及ぼしてしまうことになる。そんなことは滅多にないが……。

 しかし、生産を開始してから完成まで、そして梱包、輸送、供給、そしてチームが使用……その過程は、関係者にとって絶え間ないタスクが存在していることを示している。

 燃料をコントロールする目的はいくつかある。ひとつは、唯一の燃料サプライヤーであるTOTALとして、WEC(世界耐久選手権)およびELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)に供給される製品の品質と信頼性を確保することだ。またサンプルを厳正に検証することにより、チャンピオンシップの公平性を確保し、標準化されたパフォーマンス要素を適切に作動させる。

 しかし供給量は莫大だ。スパ6時間では1回のイベントで4万リットル以上を消費。ル・マン24時間レースともなれば、27万リットルを超えることになる。

参戦チームに、申し分ない製品を提供する

 この全てを知るために、トーマス・フリッチュに話を聞いた。若いフランス人エンジニアの役割は、TOTALの燃料がサーキットに到着した時、チームに提供するモノが生産時の基準に準拠していることを確認することだ。工場を出てからチームが使用するまでに製品の組成が変わってしまえば、「汚染」されたということになる。

「燃料管理に失敗したチームが最初にする答弁は、サプライヤーが適切な燃料を提供しなかった……ということだ」

 フリッチュはそう語る。

 かつては問題が生じたこともあったようだ。

「過去にそういうことを、F1で経験したことがある。厳格な管理は、我々を守るためのものでもある」

 そう語ったのは、TOTALのコンペティション・テクニカルマネージャーであるロマン・オブリーである。

「数年前のことだ。燃料が工場から出荷された後、モナコGPの会場に到着するまでの間に、ドラム缶に何かを追加するという、一部の人による悪意があった。途中でそれを確認することなどできなかった。モナコに着いた時に、それに気づいただけだ。同じ製品ではないということにね。それ以来、我々は自分たちを守ってきた。もうそういうことが起きることはないだろう」

クロマトグラフ……サーキットで燃料を”検証”

 品質管理の一環として、ドラム缶の密閉性は常に完璧であることが保証される。燃料はドラム缶に詰められる前に分析され、そのドラム缶は密閉された後にサーキットに運ばれる。到着すると、チームに引き渡される前に、トーマス・フリッチュによってランダムに検品されることになる。

「ル・マンでは、1台の分析器では大変だ。だから我々には、2台の分析マシンがある」

 彼はガス・クロマトグラフィーの装置の前でそう説明する。

「これは、耐用性をテストする機器の一部であり、実際に燃料が注入される。次に加熱され、カラムの中を通過する。これは約50mの長さがある」

 このカラムは中空になっており、スポンジのような空洞が存在する。多数の空洞が存在することで小さな分子は素早く通過し、大きな分子はそこに引っかかる。そのようにして、異なる燃料分子を分離するのだ。これにより、脳波図に似たグラフを手にすることができる。この得られた”クロマトグラフ”は、燃料の指紋とも言える存在だ。

「同じ指紋を持つ人間が2人と存在しないのと同じように、2種類の燃料は常に多少は異なる組成を持つため、クロマトグラフも同じにはならない」

 そうロマン・オブリーは説明する。

 作成されたこの”指紋”は、ル・マン24時間レースなど、イベント全体の参考になる。また、チームに供給される製品の公平性を確保し、品質管理の基盤としても機能する。

 なお燃料のドラム缶が、イベントの前にチームに割り当てられることはない。

「スパ6時間レースのようなイベントでは、4万リットルの燃料が必要だ」

 そうオブリーは語る。

「工場から出荷される時、ドラム缶がどこか特定のチームに指定されているというようなことはない。コースに到着すると、チームに対してランダムに供給される。特定のメーカーに合わせて設計されるわけではないのだ。また、燃料貯蔵庫からランダムに選択される。プロトタイプマシンか、その他のマシンかということについても、特別な差はない」

公平性と堅実性

 クロマトグラフィーのマシンは、2回のテストの結果をどう確認しているのだろうか?

「オフシーズンの間には、多くの準備作業を行う。痕跡を残さないための燃料の温度を調べたりするのだ」

 トーマス・フリッチェはそう説明する。

「非常に正確なメソッドがあり、そのメソッドのフォローアップが完了している、我々の製造研究所に基づいている。私が検出したデータを研究所にあるものと比較し、分析時間の観点から可能な限り効率的になるよう、最適化する」

「ル・マン24時間レースの直前1週間の間に、約100回のテストを行った。1回のテストにかかる時間は10分未満だ。その後、デバイスを約5分間冷却する必要がある」

「これにより、15分ごとにサンプルを分析することが可能になる。これが、需要が高いル・マンに向け、TOTALが2台の分析装置を用意している理由だ。ル・マン以外の時には、1台がWECを担当し、もう1台がELMSを担当する。障害が発生した時の予備として、3台目のマシンが輸送されることもある」

 TOTALは技術サプライヤーとして、燃料をコントロールする役割を担っている。

「内部的な管理をするだけではない。燃料がサーキットに到着した時、ランダムに製品の品質管理を行う。その後、我々はFIAの分析部門にもなる。これはFIAとACOから委任された役割だ」

ドーピング検査に似ているが、重要な”教育”

 WECでは、予選またはレースが終わった後、ランダムに指定されたマシンのサンプルを抽出することになる。またル・マン24時間のレース中には、FIAとACO、そしてチームの代表者立会いのもと、3回にわたってサンプルが採取される。

「我々のため、FIAのため、そしてチームのためでもある。A〜Cのテストはいずれも、アンチドーピング検査と同じ原則だ」

「検証した最後に、燃料の製造および供給されたモノに対応しているということについての適合証明書を発行する。そしてもう一度、燃料の指紋が重ね合わされ、ファクトリーにあった基準と100%対応していることを確認するのだ。これは、チームが他のモノを使用したり、何かを加えていないことを確認するための方法だ」

 異常が認められたり、サンプルとの間に違いがあった場合、トーマスは”非準拠”の証明書を発行することになる。それが布告される前に、チーム、オフィシャル、そしてTOTALの間で意見交換が行われる。チームがこの結果に同意しない場合には、Bの分析が改めて行われるか、マシンから別のサンプルを採取することもある。

「重要なのは、愚かな決定を下さないことだ。昨年のオーストリアで、それを経験することになった。我々は燃料システムの異なる3箇所から、サンプルを採取した。そしてマシンに問題があることを確認するため、多くの試験を繰り返した。その時の目標は、彼らに何が起きているのかを理解することでもあった」

「我々は理由を見つけた。間違ったバレルが、燃料補給タワーに移されていたのだ。チームを苛立たせることは、常に不快なことだ。我々はパドックで、お互いのことをよく知っている。我々は罰するためにここにいるわけではない。助けたり、助言するためにここにいるのだ。例えば、燃料は水ではない。同じように扱ってはいけないんだ。我々はチームに対して、ドラム缶を直射日光の下で保管しないこと、そしてそうすれば危険が生じる可能性があることを説明するために、パドックでたくさんの仕事をした」

 燃料について妥協をすることのリスクについてチームに教育することは、トーマスとロマンの日々の仕事の一部である。

「日光の下に午後ずっと置いておくと、バレルの中で燃料が蒸発してしまうため、ドラムは変形してしまう。これを開けようとすると、シャンパンのボトルのように噴射してしまう。そして揮発した部分は失われ、燃料の成分は同じではなくなってしまう。軽い分子と重い分子のバランスは、同じではなくなってしまうのだ。気候条件は、燃料の品質に影響を与える可能性がある」

「こういうことは、軽い燃料量で走行することが多い予選の時にも見られるものだ。タンク内には、最も軽い分子が蒸発できるだけのスペースがある。それにより、タンク内にガスが充填されてしまうんだ」

「また燃料には、エタノールが含まれていることも覚えておく必要がある。エタノールは親水性なのだ。エタノールが水を溶解するには、空気中の水分で十分だ。したがって、水分測定も結果に影響を与える可能性がある」

「全体として、テスト不合格の割合は非常に稀だ。この種のミスは多くの場合、燃料管理の制度不足に関連している」

 TOTALの燃料成分の設定は、非常に高レベルである。

「我々の燃料とは違う汚染を0.1%から検出できるということが重要だ」

「ACOとFIAが関心を持っているのは、チャンピオンシップをプロフェッショナルなモノにするということだ」

 そうロマンは結論づける。

「我々がELMSでやっていること、それはサンプルをチェックする際に、チームが立ち会うことを奨励しているということだ。なぜなら、分析機器の清掃が適切に行われたかどうか分からないからだ。そのことを納得したふたつまたは3つのチームは、ほとんど慣例的に立ち会うようになった。ELMSは高度に専門化されたと言えるだろう」

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シリーズ WEC
執筆者 Contenu Sponsorisé