シューマッハー、WEC富士での表彰台獲得にしみじみ「開幕時点でアルピーヌのマシンは最悪だった」自身としてもF2以来
ミック・シューマッハーは、今季“最悪のマシン”を改善してWEC富士戦で表彰台を獲得したアルピーヌを賞賛した。
富士スピードウェイで開催された世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間耐久レース。決勝ではアルピーヌの36号車A424 LMDhが3位表彰台を獲得した。
ニコラ・ラピエールやマシュー・バクシヴィエールと共に36号車アルピーヌのドライバーを務めるミック・シューマッハーは、2024年からハイパーカークラスに新投入されたA424がシーズン当初は“最悪”だったと振り返り、マシンを改善したチームを賞賛した。
36号車アルピーヌは富士戦で序盤から苦しい状況が続き、フリー走行では僚機35号車に比べて後れを取り、予選ではハイパーカークラス18台中の15番手に甘んじた。
しかし決勝レースで36号車アルピーヌは挽回し、優勝したポルシェ6号車963 LMDhから42秒遅れの3位でフィニッシュを果たした。
アルピーヌは今季からWECハイパーカークラスにLMDh車両で復帰したものの、ル・マン24時間レースでは2台が揃って信頼性トラブルが発生して早々にリタイアを喫するなど、苦しいシーズンが続いていた。
しかしアルピーヌは、第7戦でクラス復帰後初めての表彰台を獲得。最終スティントを担当したシューマッハーは、アルピーヌがこの短期間でパフォーマンスを引き上げたことに感銘を受けたと語った。しかし11月の最終戦バーレーンに向けて、チームにはまだやるべきことが残っていると強調した。
「今回は大変だった」とシューマッハーは言う。
「僕の意見では、今年はこれまでで最悪のマシンでスタートしたと思う」
「僕らは本当に(マシンと)格闘していたし、僕らの方は全く自信がなかった。35号車は少し良くなっているようだ」
「36号車は、なぜだか少し苦戦していた。それにも関わらず、35号車と比べてペースがあった」
「だから、まだやらなければならない課題が沢山ある。もし何か違うことがあるのなら、僕らの方で少し調べなければならない」
「でもその一方、この結果には本当に満足している。35号車も一時は優勝を狙っていた。選手権参戦初年度としては、すごいことだよ」
#36 Alpine Endurance Team Alpine A424: Nicolas Lapierre, Mick Schumacher, Matthieu Vaxiviere
Photo by: Andreas Beil
富士での表彰台は、シューマッハー個人としてもFIA F2でタイトルを獲得した2020年以来の表彰台登壇となった。ハースからF1に参戦していた2年間での最高成績は6位だったのだ。
シューマッハーはレース序盤から好ペースを発揮し、スタートから2時間でトップ10圏内に36号車を押し上げた。
レース後半にセーフティカーが出動した後、シューマッハーは再びマシンのステアリングを握り、残り10分を切ったところでノーマン・ナトーが乗るJOTAの12号車ポルシェから3位を奪取した。
シューマッハーは久しぶりにコース上で「とても楽しめた」と語ったが、表彰台を掴むためには「本気で戦わなければならなかった」と感じていたという。
「良かったね。このために僕らは本当に、本当に頑張った」とシューマッハーは言う。
「チームはレース中、戦略面で素晴らしい判断を下してくれて、ポテンシャルを発揮できた」
「接戦もあった。WECでの戦い方に自信がついてきたよ。こんなに激しいとは思っていなかったけど、これらのマシンはかなり頑丈だからね」
「古き良き時代のカートみたいだ。かなり楽しかった。表彰台に登ったのはかなり久しぶりだ」
36号車とは対照的に……
#35 Alpine Endurance Team Alpine A424: Jules Gounon, Ferdinand Habsburg-Lothringen, Charles Milesi
Photo by: JEP / Motorsport Images
シャルル・ミレッシとフェルディナンド・ハプスブルク、ジュール・グノンが乗る35号車アルピーヌはレース終盤まで3番手につけていたが、ミレッシが走行中にLMGT3クラスに参戦するTF Sportの81号車コルベットZ06 GT3.Rと接触。ドライブスルーペナルティを科されて後退し、36号車が表彰台に転がり込んだ。
35号車は最終的に7位でフィニッシュ。アルピーヌはダブル入賞となった。
ミレッシは81号車コルベットと接触したことの責任を認めつつも、ペナルティが重すぎると感じていると説明した。
「コルベットとの接触で、僕は何もできなかった。彼は左右に動いていて、僕は彼がどこに行くのか分からなかった。僕がアウト側から行こうとしたら、ギリギリのところで彼が動いたんだ」とミレッシは言う。
「彼にぶつかってしまったのは僕の責任だし、もちろんペナルティを受け入れる必要がある。起こったことに対しては少し厳しいけど、僕らはそれを飲み込むしかない。僕のミスだ。僕がミスを犯したことで、表彰台を逃してしまった」
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