TMG新社長村田久武「ライバル不在でもWECに参戦する意義がある」

8月1日付けで新たなTMGの社長に就任した村田久武が、WECメキシコの敗因と来季以降の方針について語った。

 これまでトヨタ自動車・東富士研究所でTS050 HYBRIDのパワートレイン開発の責任者として働いていた村田久武が、81日付けでドイツ・ケルンにあるトヨタ・モータースポーツの最前線基地TMG(トヨタモータースポーツGmbH)の社長に就任した。その新ポジションでの初仕事がWECメキシコ6時間レースだった。結果を先にいうと、非常に厳しいスタートになった。

 結果は8号車が3位、7号車が4位だったが、2台のTS050 HYBRIDは共に優勝したポルシェ2号車から1周遅れだった。その理由を村田は次のように言う。

「メキシコシティは高地にあって気圧が低いので、ダウンフォースは普通の場所と比べて得にくいかもしれません。そのつもりでダウンフォースを付けてきたのですが、まだ足りなかったようです。ポルシェのリヤウイングを見ると、我々のクルマより遙かに立っていました。我々もそうすることは出来ましたが、そうするとクルマのバランスが崩れるので出来ませんでした」

「ダウンフォースが不足していたので、タイヤが当初の性能を発揮出来ませんでした。タイムが伸びなかったのはそのためです。また、ミシュラン・タイヤは作動領域が狭いので、今日のように気温が不安定だと上手く働きません。レース終盤になってポルシェと遜色ないタイムで走ることが出来たのは、タイヤが作動領域に入ったからです」

 村田はトヨタのレーシング・ハイブリッド技術を立ち上げて10年もの間その開発に携わってきた。WECにハイブリッド・ルールを持ち込んだのもトヨタだ。それだけにハイブリッド技術に対しては思い入れが強い。個々のレースでの勝利が最大の成果であることは理解しながらも、長い目でハイブリッド・レーシングの活動を続けたい意向だ。

 先日決まった2018年以降のWECに関しても、全力で技術開発を行いながら参戦する意向を示している。来年はポルシェの撤退でハイブリッド車はトヨタ1社の戦いになるが、村田はこう言う。

「我々がなぜWECでハイブリッドを使ってレースをやっているかというと、そこでハイブリッド技術を成熟させて量産車に反映させたいからです。ハイパフォーマンスのハイブリッド・スポーツカーなどが開発の視野に入っており、すでにプログラムは進んでいます。ですから、ライバルがいなくなってもハイブリッド・レーシングは続ける意味があるのです」

 しかし、今のままのLMP1クラスでいつまでも戦い続けることは無理があるかもしれない。

「確かにそうかもしれません。しかし、ハイブリッドという技術はあらゆる場所で使用可能です。WECが将来GT主流のレースになったら、我々は高性能ハイブリッドGTを投入するかもしれません。世界のレースの潮流がGTに向いているのは理解しています。ゆえに、我々も遅れないように取り組まなければと思っています。ただ、ハイブリッドGTクラスの誕生は今すぐというわけにも行かないでしょうから、いま現在我々はLMP1クラスでの参戦を予定しています。来年以降はLMPクラスがハイブリッド車を取り込んだひとつのカテゴリーになり、エンジン車とハイブリッド車の性能差を縮めてきます。ポルシェがいなくなっても新しいライバルが現れそうで、開発は休む暇がありません」

 村田の手腕に期待したい。

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 メキシコ
サーキット アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス
チーム Toyota Motorsport GmbH
記事タイプ 速報ニュース