WECトヨタ、開幕戦セブリングの性能調整は「大打撃」。ハイブリッド出力が”時速190kmから”に制限
WECを戦うトヨタは、ハイブリッドパワーを使える最低速度が引き上げられたことについて、大打撃だと表現している。
写真:: Paul Foster
セブリング1000マイル(3月18日決勝)でシーズンが開幕するFIA世界耐久選手権(WEC)。開幕戦に先立って公式プレシーズンテスト”プロローグ”が2日間行なわれたが、ハイパーカークラスに参戦するトヨタの2台は、8号車が総合9番手、7号車が総合15番手となった。
トヨタ勢は、ラップタイムを追い求めずにセブリング初走行となるGR010 HYBRIDのセットアップとデータ収集に専念したとしているが、LMP2マシンが記録したトップタイムから1秒強、ハイパーカークラスをリードしたアルピーヌA480にコンマ6秒の差をつけられた。
テストを終えて、TOYOTA GAZOO Racing ヨーロッパのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンがコメントを発表。セブリングに向けて発表された、ハイパーカークラスの新しいBoP(性能調整)でハイブリッドによるアシストが可能となる速度が変更された影響が大きいと話した。
GR010 HYBRIDはフロントアクスルに200kWの電気モーターを搭載している。しかし、一定の速度以上でないとハイブリッドパワーを使った四輪駆動では走行できない。ハイパーカー初年度の2021年は、この値がドライコンディションで時速120km、ウエットでは時速140kmに固定されていた。
今季からはこれがBoPで調整されることになり、セブリングではドライ、ウエット共に時速190kmまで引き上げられたのだ。
「190にもなると四輪駆動の機能性が明らかに損なわれるのは事実だ」と、バセロンはmotorsport.comに語っている。
「性能の面では大打撃だ。大きな影響があるんだ」
バセロンは、GR010が四輪駆動でコーナーを抜けられるのは、セブリングではターン1と最終コーナーのターン17だけだと認めた。
「エイペックスでの速度を見れば分かる。そう結論づけるのは簡単だ」
一方でバセロンは、ハイブリッドパワーを展開できる速度が引き上げられたことで、タイム的にどれだけの影響があるか言及を避けた。
「もし私が数字について言い始めたら、BoPについてのコメントに繋げられてしまうので、それは避けたい」
また、彼はBoPが再度変更される可能性はあるのかという質問についても、同様に言及を避けている。
「現在のBoPシステムには、ロビー活動は通用しない。完全に客観的なモノだからだ。それについて話す意味はないと思う」
「クルマには厳密な計測機器が搭載されており、すべてが可視化され、利用可能だ。そのデータがどのように使われるかについて、私はコメントする立場ではない」
BoPは公開されていない文書によって管理されており、先日公開されたBoPは特にプロローグについて言及されておらず、「ハイパーカークラスの、セブリングでの競技用BoP」と題されていた。
トヨタのGR010は、ハイブリッド以外にもマイナス調整を受けている。昨年最終戦と比べて30kg最低重量が増加し、使用できるエネルギー量も1スティントあたり909MJから898MJへ変更されている。
2023年からはLMDh車両がデビューし、多くのライバルたちがWECやル・マン24時間レースに参入してくるはずだ。トヨタは厳しい性能調整を受けながらも”王者”としてそれを迎え討つべく、新体制でハイパーカー2年目のシーズンに臨む。
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments