ハイパーカーのレースはLMP1時代と大きく違う? コンウェイ「追突される恐怖はなくなる」
トヨタのWECドライバーであるブレンドン・ハートレーとマイク・コンウェイは、ニューマシン『GR010』のレースは、LMP1マシンのころとは全く違うものになると考えている。
2021シーズンからFIA世界耐久選手権(WEC)に新たに導入されたLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定のニューマシン、『GR010 HYBRID』を発表したTOYOTA GAZOO Racing。ドライバーのブレンドン・ハートレーとマイク・コンウェイは、これまでとは戦い方が大きく変わると考えているようだ。
GR010はフロントにMGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)を搭載している。4輪駆動のハイブリッドマシンという点で言えば、先代にあたるLMP1マシン『TS050 HYBRID』と同じだ。しかし、LMH規定ではこれまでとハイブリッドシステムの運用方法が大きく異なる。
新たな規定では、時速120km未満でハイブリッドパワーを発揮することはできず、MGUと内燃機関の合計出力は680bhpを超えてはならないとされている。
そのため低速コーナーからハイブリッドパワーを使ってロケットのように加速していたTS050と比べ、GR010は加速力でもピークパワーでも劣る。一方、TS050は燃料規制によりストレートの途中で燃料カットされ、リフト&コースト(惰性で走行すること)を余儀なくされていたが、GR010は680bhpのパワーをストレートの最後まで使い、ブレーキングゾーンに飛び込んでいくことができる。
ハートレー曰く、他のマシンとのバトルや、トラフィックの管理方法がTS050の時代とは大きく異なるものになるという。
「トラフィックへのアプローチの仕方が、全く違うものになるだろう」
「LMP2やGTEのマシンも、ミラーに映る僕たちを見て適応しなければならないと思うよ」
「トップスピードはそれほど変わらないと思うけど、加速の仕方は大きく変わるだろう。以前は1000馬力あったからロケットのように加速して、その後はほぼ横ばいだった」
「今はブレーキを踏む前に減速するんじゃなくて、もっと従来のパワーカーブで、ストレート全部を使って加速していく」
「1000馬力を使ってコーナーからロケットのように飛び出してくるのはもう見られないけど、僕たちがブレーキングゾーンに飛び込んでいく姿が見られると思う」
トヨタのTS050は、ブレーキングゾーンの手前で減速を始めるため、LMP2やLM-GTE Amクラスなどの経験が浅いドライバーはそれに戸惑うシーンもあった。実際2017年のル・マン24時間レースでは、ニコラス・ラピエールがドライブするTS050が、LMP2クラスのマシンに追突されるというアクシデントも起きている。
コンウェイは、こうしたクラッシュはLMH規定では起きづらくなると考えている。
「間違いなく、僕たちが慣れ親しんでいたダイナミクスが変わることになる。トラフィックに関する考え方がもっと予測可能になり、それほど速く他のクルマと接近することもなくなるだろう」
「クルマのスペクタクルさは失われるかもしれないが、リフト&コーストのフェイズがなくなることで、ブレーキングが少し楽になると思うんだ」
「物事が少しずつ予測可能になっていくのは本当にいいことだ。ミラーを見ていても、追突されるかもしれないとパニックになることはもうないんだ」
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