WEC開幕戦はポルシェ&キャデラックが有利? トヨタ、新たなライバルのアドバンテージを警戒

トヨタは、来月にセブリングで開催されるWEC開幕戦において、LMDh車両で参戦を開始するポルシェやキャデラックがわずかに有利だと考えているようだ。

#02 Chip Ganassi Racing Cadillac DPi: Earl Bamber, Alex Lynn, Richard Westbrook, #7 Porsche Penske Motorsport, Porsche 963, GTP: Mathieu Jaminet, Michael Christensen, Nick Tandy

 来月にセブリングで開幕するFIA世界耐久選手権(WEC)。チャンピオンチームであるトヨタは、LMH規定の車両であるGR010ハイブリッドをアップデートし、3年目のハイパーカークラスに臨むが、開幕戦では新たなライバルたちがわずかに有利だと考えているようだ。

 今季はフェラーリが『499P』、バイコレスが『ヴァンウォール・バンダーベル680』とLMH車両をそれぞれデビューさせる他、IMSA開幕戦のデイトナ24時間レースでLMDh車両のデビューを済ませたポルシェやキャデラックが参戦し、WECのトップクラスは一気に群雄割拠の状態となる。

 なかでもトヨタは、ポルシェやキャデラックを警戒しているようだ。というのも、レギュレーション変更により今季からタイヤウォーマーを使用できなくなるからだ。

 こうした面であまりデータを持っていないトヨタに対し、ポルシェとキャデラックはすでにデイトナでの24時間レースで冷えたミシュランタイヤがどのように機能するのか豊富なデータを持っている。またキャデラックはDPi車両のときからのデータも揃っているのだ。

 さらにポルシェとキャデラックは、先週実施されたIMSA主催の合同テストでセブリングを走行しており、同地で行なわれるWEC開幕戦に向けてデータを積み重ねているのだ。

 トヨタのチームディレクターを務めるロブ・ロイペンは、メディアの取材に次のように語った。

「先週はタイヤのテストと、タイヤヒーティングシステムなしでのテストを行なった。この2回のテストで多くの経験を積むことができたと思う」

「あとは自分たちが補うしかないと思う。キャデラックもポルシェも、ここでは少し優位に立っているかもしれないので、追いつく必要がある」

「ゆえに、我々は宿題を済ませた。あまり気にしすぎることはないだろう。彼らがそこで優位に立つなら、我々はプッシュする必要がある」

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ代表のジョナサン・ディウグイドは、デイトナ24時間に出場したことがポルシェにとって有益であったことを認めている。

 ポルシェがトヨタとWECのトップクラスで戦うのは2017年のLMP1時代以来となるが、トヨタの過去の経験も有利に働くため、セブリングに向けてポルシェが純然たる優位性を持つことはないともディウグイドは考えている。

 ディウグイドは「レースで走るたびに、できる限り多くのことを学んでいる」と述べた。

「我々がデイトナでのテストとレースから得た利点が何であれ、他のメーカーも以前のシーズンにWECでレースをして得た利点を持っている」

「レースは非常にダイナミックで予測不可能なものだ。ある組織やプラットフォーム、あるグループが優位に立てば、他のグループのチームが持っているモノとバランスが取られることになるんだ」

「デイトナでは、同じ問題に対して様々なアプローチで取り組んだマシンによって、素晴らしいレースが展開された。WECのチャンピオンシップはふたつの異なるプラットフォーム、つまり2種類のレギュレーションが同じ問題にアプローチしているんだ」

「だからより多くのメーカー、チームとレースをして、それがどのように積み重なっていくか、見る機会があるということに興奮している」

 トヨタのコメントに対し、ゼネラルモーターズのスポーツカー・レーシングマネージャー、ローラ・クラウザーは、セブリングのコースの特異性を強調し、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイのロードコースとほとんど共通点がないと説明した。

「デイトナは、セブリングやWECの他のサーキットとは全く違うコースです」

「マシンを走らせるたびに学ぶことはありますが、特にセブリングではまた学び続けることがあります。私たちの多くはそこでテストをしました。セブリングはマシンの信頼性を確認するのに最適な場所ですから、レースが終わったときにどんな状況になっているか、ワクワクします」

 
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