
トヨタは、来季からWECのLMP1クラスに”サクセス・ハンディキャップ”を導入するという計画を支持することを表明した。
FIAとフランス西部自動車クラブ(ACO)は、世界耐久選手権(WEC)のLMP1クラスを戦うトヨタとプライベーターの競争力の差を埋めるため、2019/20年シーズンに”サクセス・バラスト”による性能調整を行うことを検討しているようだ。
これまでLMP1クラスではEoT(技術均衡値)による性能調整を行い、ハイブリッドシステムを搭載するトヨタと、非搭載のプライベーター勢のパフォーマンスを近づけ、僅差のバトルを生み出そうとしてきた。
しかしその試みは、成功しているとは言いがたく、物理的限界からこれ以上プライベーター勢のマシンのパフォーマンスを上げることが難しくなってきている。
来季、成績に応じてマシンの重量を増やす、サクセス・バラストが性能調整に組み込まれることになれば、トヨタにとってはこれまで以上に厳しい戦いになると思われる。
しかしトヨタ・モータースポーツ(TMG)のテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは「我々はFIAとACOと共に、それに取り組んでいる。それは協力であり、コラボレーションだ」と述べた。
バセロンは「EoTに完全に満足している者はひとりもいない」と強調し、レース結果に基づいてハンディキャップを設けるというアイデアを支持すると話した。
「そのアイデアはEoTをベースとし、ハンディキャップを加えるというものだ」
バセロンは、単にマシンにバラストを積んで重量を増やすのではなく、様々な要素で調整を行うことになる予定であり、単純なサクセス・バラストにはならないだろうと明かした。
「我々はサクセス・バラストではなく、サクセス・ハンディキャップに取り組んでいる」
「ウエイトではできることに限界がある。ハンディキャップとすることで、重量や燃料流量、使用するエネルギーなどの、いくつかの要素を組み合わせることができる」
「ハンディキャップが、各マシンのギャップより大きい必要がある。それが、フィールドを収束させる方法だ」
バセロンは、2014年から3年間シトロエンがWTCCを制した例を挙げた。
「そこ(WTCC)ではサクセス・バラストが50kgまでだった。しかしシトロエンと他のマシンの差はそれ以上あったので、機能しなかった」
また、バセロンは『あえて手を抜いて、レースに勝たないようにする』ことがないような仕組みのハンディキャップを考えることも重要だと考えている。
「サクセス・ハンディキャップの原則は、成功に応じてハンデをつけるということだ。成功を収められなければ、ハンデを負うことはない。それが、各車の間隔を縮めることになる」
バセロンは、このハンディキャップ・システムがWECの通常のレースには適用されるものの、ル・マン24時間レースには適用されないと主張した。
この記事について
シリーズ | WEC |
チーム | Toyota Gazoo Racing WEC |
執筆者 | Gary Watkins |