WECタイトル争いの天王山。トヨタ、ホームの富士で重量増&パワー削減も……ポルシェ&フェラーリ相手に負けられぬ戦い

WEC富士に向けた性能調整が発表された。ホーム戦を迎えるトヨタは、重量増と最高出力の削減を受けている。

#8 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid: Sebastien Buemi, Brendon Hartley, Ryo Hirakawa

#8 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid: Sebastien Buemi, Brendon Hartley, Ryo Hirakawa

写真:: JEP / Motorsport Images

 全8戦で争われる世界耐久選手権(WEC)も残りは2戦。今週末に行なわれる第7戦富士はタイトル争いにおいても重要な一戦となる。

 何と言っても、トヨタにとってはホームレース。7号車のマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組がタイトル争いを演じている(コンウェイはル・マン欠場のため権利なし)だけに、ここで勝利し、ランキング首位のポルシェ6号車(ケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ヴァントール)との12ポイント差を縮めておきたいところだ。

 前戦オースティンでは、7号車は素晴らしいレースペースを発揮し、後半に首位を走行。勝利を目前としていたが、黄旗無視のドライブスルーペナルティを受けて2位に終わった。

 発表された富士戦の性能調整では、オースティンから車両重量が5kg増の1070kgとなっている上、最高出力(時速250km以下)は4kW少ない493kWに定められている。一方で、時速250km以上の速度域での出力が調整されるパワーゲインの項目は4.6%から5.4%へと増加している。

 前述のように、ランキング首位に立っているのはポルシェ6号車。優勝は開幕戦以来できていないものの、他の3戦で2位に入り、ル・マン24時間レースで4位となるなど安定した成績を残している。

 そんなポルシェのLMDh車両である963は、富士で4kgの軽量化を受け最低重量が1049kgに。最高出力は3kW増の512kWとなっている。一方で、パワーゲインは前戦比マイナス0.5%の調整となっている。

#51 Ferrari AF Corse Ferrari 499P: Alessandro Pier Guidi, James Calado, Antonio Giovinazzi

#51 Ferrari AF Corse Ferrari 499P: Alessandro Pier Guidi, James Calado, Antonio Giovinazzi

Photo by: JEP / Motorsport Images


 タイトルコンテンダーはトヨタ7号車、ポルシェ6号車だけではない。ル・マン24時間レースを制したフェラーリ50号車(アントニオ・フオコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)だ。この3人はトヨタ7号車のふたりと同ポイントで並んでいるのだ。

 前戦オースティンでも、カスタマーの83号車も加えて一時トップ3を独占する速さを見せたフェラーリ499Pは、あまり性能調整を受けずに富士でのレースに臨む。重量1055kg、最高出力500kWはオースティンと変更なしだ。唯一変更されているのはパワーゲインで、前戦からマイナス0.6%の1.3%となっている。

 シーズンを通して、予選を中心に速さを発揮してきたフェラーリ499Pと、レースで強さを発揮してきたポルシェ963という強敵を相手にするトヨタは、富士を得意としており、これまでの10戦中9勝という非常に良い成績を残している。まさに三つ巴の戦いがみられそうだ。

 マニュファクチャラーズ選手権の争いもこの3メーカーが接近しており、現在首位はトヨタ。とはいえ11ポイント差でポルシェがそれを追っており、さらにそこから8ポイント差でフェラーリが3番手。こちらも熾烈な戦いとなりそうだ。

 昨年のWEC富士では、なかなかオーバーテイクができない状況もみられたが、今季から性能調整の項目に加わったパワーゲインで変化が起きるだろうか。

 調整内容からすると、高速域で5.4%の出力アップとなるトヨタが、他のマシンについていくことができれば、ストレートエンドでオーバーテイクしやすくなっている可能性は考えられる。

 この3台の他、最も大きな調整を受けているのがプジョー9X8。重量が7kg軽量化さら1030kg、出力はプラス4kWの513kWとなっている。一方でパワーゲインはマイナス0.7%され、マイナス1.9%とされている。

 またLMGT3クラスのことも忘れてはいけない。18台が走るこのクラスには、小泉洋史、木村武史、佐藤万璃音の日本人ドライバー3名が走っている上、スーパーGTやスーパー耐久で日本のファンにもお馴染みの、Dステーション・レーシングも戦っている。

 タイトル争いの天王山となるWEC富士は、9月13日(金)から走行がスタートする。

WEC第7戦富士 ハイパーカークラス性能調整

マシン 規定 最低重量 最高出力 パワーゲイン 最大エネルギー
トヨタGR010ハイブリッド LMH 1070kg(+5) 493kW(-4) 5.4%(+0.8) 908MJ(+2)
ポルシェ963 LMDh 1049kg(-4) 512kW(+3) 0.2%(-0.5) 908MJ(+1)
フェラーリ499P LMH 1055kg 500kW 1.3%(-0.6) 901MJ
アルピーヌA424 LMDh 1042kg(+1) 518kW(+3) -3.7%(-0.5) 907MJ
BMW MハイブリッドV8 LMDh 1037kg 515kW(+2) -1.2%(-0.3) 907MJ(+1)
キャデラックVシリーズ.R LMDh 1036kg(-1) 520kW(+2) -0.8%(-0.2) 909MJ(+2)
ランボルギーニSC63 LMDh 1030kg 520kW -0.1%(-0.1) 910MJ(+2)
プジョー9X8 LMH 1030kg(-7) 513kW(+4) -1.9%(-0.7) 903MJ(+1)

()内の数字は前戦比

 

前の記事 フェラーリの不服申立てが却下され、WECスパの結果が正式確定。裁判所はルールの明確化を促す
次の記事 ヒョンデ、LMDh車両を開発し、耐久レース参戦の意向を表明。目指すはWECか?

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本