WECオースチン決勝:ポルシェ4連勝。トヨタ、レース前半で健闘も及ばず

WECオースチン決勝が行われ、2号車ポルシェ919HYBRIDが4連勝を果たした。

 現地時間9月16日(土)、WEC(世界耐久選手権)WEC第6戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースの決勝が行われ、2号車ポルシェ919HYBRIDが優勝を果たした。

 米国テキサス州オースチンに位置するサーキット・オブ・ジ・アメリカズは天気予報通りの快晴。気温30度、路面温度32度という暑いコンディションの中行われた。

レース前半:ロペスvsロッテラー、可夢偉の猛進

 現地時間正午にローリング方式でスタートしたWECオースチン決勝。まず1号車ポルシェを先頭にLMP1各車は、第1コーナーをスムーズにクリア。予選の結果からトヨタがポルシェに差をつけられるかと思いきや、2号車ポルシェがオープニングラップの第3セクターでミスしたため8号車トヨタがその隙に2番手を奪い、さらにホームストレートで7号車トヨタが2号車ポルシェを交わしてポジションを上げた。

 トップの1号車ポルシェはトヨタ勢と姉妹車2号車ポルシェよりも好ペースを発揮。LMP1クラス3台に対しスタートから30分後に3~5秒差をつけた。途中7号車トヨタとLMP2クラス車両に軽く接触するアクシデントがあったが、大事には至らなかった。

 レーススタートから56分後、まずは2号車ポルシェがピットインしタイヤ交換と給油を行う。その翌周にトヨタの2台と1号車ポルシェが続いてピットイン。トヨタの2台はドライバー交代と給油を決行、一方の1号車ポルシェはタイヤ交換と給油、さらにドライバー交代とフルサービスを行なった。

 これにより8号車を先頭にトヨタの2台が1-2体制。1号車ポルシェはトップから4秒遅れてコースに復帰、2号車ポルシェは16秒遅れとなった。

 セバスチャン・ブエミから8号車トヨタを引き継いだ中嶋一貴は、新品タイヤを装着した1号車ポルシェに対し引けを取らないペースを発揮。姉妹車の7号車トヨタとの差をじわじわと開いていった。

 一方の7号車トヨタは背後の1号車ポルシェに追いつかれ、1回目のピットインから約30分後に激しいバトルを展開。トラフィックのある区間では1号車ポルシェのアンドレ・ロッテラーのテクニックが光るが、ホームストレートの立ち上がりで抜かれた7号車トヨタのホセ・マリア・ロペスが接触をも恐れないような意地の走りを見せてポジションを奪い返すなど、両者一歩も譲らない様子だった。このバトルはタイヤの新しいロッテラーが制し、2番手を確保した。

 ロペスはタイヤを消耗したせいかペースを落とし、背後からやってきた2号車ポルシェにも交わされて4番手まで順位を落とした。

 スタートから2時間後に2号車ポルシェがピットインし、ドライバー交代と給油を行った。その翌周に8号車トヨタと7号車トヨタが続いてピットイン。今回トヨタ陣営はフルサービスを行ってコースアウトした。

 さらに1周遅れて1号車ポルシェがピットイン、ドライバー交代と給油を決行した。一連のピット作業で3番手となった8号車トヨタはトップから16秒差、クラス最下位の7号車トヨタは28秒差をつけられた。

 新品タイヤを装着したトヨタ勢はタイヤ交換によってポルシェから離されたものの、ペースは良好で徐々に2台のポルシェに接近していった。特に7号車トヨタの小林可夢偉はポルシェ勢よりも1秒早い1分48秒台のラップタイムをコンスタントに記録。ピットインから30分後には8号車トヨタのステファン・サラザンの前に出た。

 さらに小林はトップから約15秒離された2号車ポルシェにも追いつき激しいバトルを展開。ピットインまでの数分間、2号車ポルシェにプレッシャーを与え続けたが、結局ポジションを奪うことはできなかった。

レース後半:ポルシェ、年間優勝のために必勝体制を敷く

 2時間45分が経過した時点でまず8号車トヨタが3度目のピットインを決行。その翌周に2号車ポルシェと7号車トヨタが連なってピットレーンに入っていった。フルサービスのポルシェに対し、トヨタ勢はドライバー交代と給油のみ行なってレースに復帰。これにより7号車トヨタが2号車ポルシェの前に出た。

 さらに遅れてピットインした1号車ポルシェがフルサービスを行う間、7号車トヨタはペースを上げて"アンダーカット"を狙うも、1号車ポルシェがギリギリのタイミングでコースに復帰。ポジションチェンジとはならなかった。

 その直後、バックストレート後のコーナーでLM-GTE車両がコースオフして激しくウォールにクラッシュ。クラッシュしたマシンは自走してピットに戻ったが、ウォールの修繕を行うためにセーフティカーが出動した。この作業には数分を要し、各マシン間のギャップが縮まる事となった。

 レース再開後、1号車ポルシェと7号車トヨタは非常に僅差であったが、予選でトップタイムを記録した1号車ポルシェのニール・ジャニが好ペースを発揮し、ライバルたちを突き放していった。一方の7号車トヨタは背後の2台に攻め立てられてられる状況に。

 3番手の8号車トヨタに順位を譲った後、2号車ポルシェとバトルを繰り広げた7号車トヨタだが、ホームストレートで交わされ、シケインでなんとか並び粘るものの結局2号車ポルシェに順位を明け渡すことになってしまった。これにより7号車トヨタは一気にクラス最下位となった。

 しばらくしてトップから12秒差の8号車トヨタが4度目のピットインを決行。彼らはタイヤ交換と給油を済ませ、ブエミから中嶋へとマシンを引き継いだ。翌周に7号車トヨタがピットイン、こちらもフルサービスを行う。

 2号車ポルシェがトヨタ勢に続いてピットインする中、1号車ポルシェは数周ピットインを遅らせた。彼らはピット作業を済ませた7号車トヨタを交わしラップダウンさせた後、ようやくピットイン。ポルシェ勢はドライバー交代と給油を行った。

 4度目の一連のピットインが完了し、残り2時間をきった段階でトップの1号車ポルシェは2号車ポルシェに15秒差、さらに8号車トヨタに30秒差をつけた。その後ポルシェの2台は安定したペースを発揮。タイム差に変動はないままレースは進行していった。 

 セッション残り1時間17分のところで、8号車トヨタがピットイン。翌周に7号車トヨタが続き、それぞれフルサービスを行なった。その後2号車ポルシェ、少し開いて1号車ポルシェが続々とピットインし、ラスト1時間に備える。

 ピット作業を済ませた1号車ポルシェは、ちょうど2号車ポルシェの前でレースに復帰。初めのコーナーで少し強引に2号車の前に立ちはだかった1号車ポルシェだが、結局2号車ポルシェに順位を譲った。

 3番手の8号車トヨタがポルシェ勢を追うも、2号車ポルシェもそうはさせまいとしてペースを上げたため、15秒の差は縮まらなかった。

 前回のピットインで給油時間を短めにしたトヨタ陣営は残り40分をきったところで、8号車トヨタをピットインさせて最後の給油とドライバー交代を行う。その5分後、7号車トヨタと2号車ポルシェ、1号車ポルシェが立て続けに最後のピットインを行い、スプラッシュ・アンド・ゴーを決行した。ここで1号車ポルシェの方が2号車ポルシェよりも4秒早くピット作業を済ませたため、1号車ポルシェがトップに浮上した。

 その後1号車ポルシェが好ペースで走行。2号車ポルシェに6秒差つけてトップに立っていたがレース残り5分の段階でホームストレートで1号車ポルシェがスローダウン。2号車ポルシェにポジションを譲ったことでポルシェはチャンピオンシップ必勝体制に。結局トヨタ勢に25秒差以上をつけ、最後ポルシェの2台がほぼ並んでチェッカーフラッグを受けた。

 2号車ポルシェはル・マン24時間レースからの4連勝を決めた。1号車ポルシェは2位、8号車トヨタが3位という結果となった。

 LM-GTEはフェラーリとポルシェ、アストンの三つ巴

 LMP2クラスは36号車シグナテック・アルピーヌが最後アクシデントに見舞われるも、今季初優勝を飾った。

 予選でクラス首位だった36号車シグナテック・アルピーヌは、レース序盤で37号車ジャッキー・チェンDCと熾烈なトップ争いを繰り広げた。残り15分の時点でトップを走行していた36号車シグナテック・アルピーヌだが、左リヤライトが点灯していないことがレーススチュワードから指摘され、レース終了までにピットでの修理を命じられるという緊急事態に。

 レース残り10分のところでチームはリヤアッセンブリーの交換を決行。ただ、もともと2番手の13号車レベリオンに約1周の差をつけていたため、36号車シグナテック・アルピーヌがそのままポジションを守りきってトップチェッカーを受けた。

 終始熾烈な争いを見せた31号車レベリオンと38号車ジャッキー・チェンDCだが、レース終盤では3番手争いを繰り広げ、結局31号車レベリオンが表彰台の一角を獲得した。

 LM-GTE Proクラスは、フェラーリとポルシェ、そしてアストンマーチンによる三つ巴の戦いが繰り広げられた。

 セッション序盤は95号車アストンマーチンがストレートでの速さを武器にリードしていたが、中盤はフェラーリの2台が台頭。さらに92号車ポルシェもフェラーリの2台に割って入って優勝争いを繰り広げた。

 結局レース残り10分のところでトップにつけたのは51号車フェラーリ。しかし最後の最後で突然パンクチャーに見舞われてしまい、緊急ピットインを決行した。1本だけタイヤ交換した51号車フェラーリは、急いでピットアウトするも2番手の92号車ポルシェに背後つけられ、首位の座を明け渡してしまうかに思われたが、なんとか最後までポジションを守りきって優勝を果たした。2位は92号車ポルシェ、3位はレース中盤でトップを走った71号車フェラーリがつけた。

 LM-GTE Amクラスは98号車アストンマーチンが逆転優勝を飾った。

 レースの全般をリードしていたのは、澤圭太らがドライブする61号車クリアウォーター・レーシング(フェラーリ)だった。セッション序盤でドライブを担当した澤は98号車アストンマーチン・レーシングや54号車スピリット・オブ・レーシング(フェラーリ)と軽く接触しながらも、トップに浮上。

 さらに54号車が単独スピンを喫し、86号車ガルフ・レーシング(ポルシェ)がオーバーシュートしたことでライバルが減り、61号車クリアウォーター・レーシングはその間にリードを広げた。途中のセーフティカーで後方車とのギャップが解消されてしまうもトップを維持していく。

 61号車の今季初勝利が見えたかと思われたが、残り1時間のところでピット信号違反を指摘され、1分のピットストップペナルティが科されてしまう。これでポジションを落とし、代わりに首位に浮上した98号車アストンマーチンが優勝。61号車クリアウォーター・レーシングは2位という結果に終わった。

【関連ニュース】

コメント
コメントを書く
この記事について
シリーズ WEC
記事タイプ レースレポート