WEC上海決勝レポート:トヨタ8号車1周差圧勝も2号車ポルシェ王者に

世界耐久選手権(WEC)の上海6時間レース決勝が行われ、8号車トヨタTS050Hybrid(ブエミ、デビッドソン、中嶋組)が優勝を果たした。

 世界耐久選手権(WEC)の上海6時間レース決勝が行われ、8号車トヨタTS050Hybrid(セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン、中嶋一貴組)が総合優勝を果たした。このレースの結果、2号車ポルシェ919Hybridのティモ・ベルンハルト、ブレンドン・ハートレー、アール・バンバーが、2017年のドライバーズタイトル獲得を決めた。

速さを見せるトヨタ、序盤に1-2体制構築

 今年のWECも残り2戦。いよいよ大詰めである。レース結果によっては、各クラスのタイトル決定の可能性もある、重要な一戦である。

 前日に行われた予選でポールポジションを獲得したのは、7号車トヨタTS050 Hybrid。小林可夢偉がコースレコードを更新する素晴らしいアタックを見せ、最高のポジションを得た。2番手からは1号車ポルシェ919 Hybrid、3番手には8号車トヨタTS050 Hybridがつけた。つまりグリッド右側にトヨタ勢、左側にポルシェ勢が並ぶという格好だ。

 7号車トヨタは、ホセ・マリア・ロペスがスタートドライバーを担当。ロペスは好発進を見せ、1号車ポルシェの追撃を封じる。しかし一方、3番手スタートの8号車はタイヤの温度が上がらないのかペースが上がらず、1周目を終えるまで2号車ポルシェのオーバーテイクを許し、4番手に後退してしまう。なお、後方ではLMP2クラスの26号車G-ドライブ・レーシングが他車と接触し、スピンしてしまった。

 3周目にはタイヤが温まったのか、セバスチャン・ブエミがドライブする8号車が2号車ポルシェを抜き返して3番手に浮上する。ブエミはその後、周回遅れに捕まるなどしてペースが落ちた1号車ポルシェのニック・タンディに追いつき、13周目にオーバーテイクを完了。レース開始早々、トヨタが1-2体制を築く。

 またこの頃、LMP2クラスの31号車レベリオン・レーシングが、後方から来たLM-GTE Amクラスの77号車デンプシー-プロトン・レーシングに追突され、スピンしてしまうシーンもあった。

 16周目、7号車トヨタも周回遅れのマシンと接触してスピン。3番手に後退すると共に、ロペスはマシンにバイブレーションが発生したと無線訴える。ただペースに衰えは見られず、すぐに1号車ポルシェを抜き返すことに成功する。

 ただ7号車トヨタに抜かれた1号車ポルシェには、トラブルが発生していた。一気にスローダウンし、止まりそうな速度でピットを目指すことになった。ただ、システムをリセットしたことが功を奏したのか、速度が回復。ピットインすることもなく、レースに復帰していった。とはいえ、この時点で前を行くトヨタ勢からは1分以上の差をつけられることになってしまった。

 レーススタートから55分、30周を消化したところで、トヨタとポルシェのトップ3台が同時ピットイン。8号車と1号車は給油のみでピットアウトしたが、7号車は序盤のスピンの影響かタイヤを交換し、ドライバー交代も行った。乗り込んだのは小林可夢偉である。1号車ポルシェはその1周後の31周終了時点でピットインした。

 ピットストップでポジションを下げた7号車トヨタだったが、コース復帰後のペースはやはり群を抜いており、39周目には2号車ポルシェを抜いて2番手に復帰。再びトヨタの1-2体制となった。

LMP2とGTEクラスで相次ぐ接触

 ブルーノ・セナが乗り込み、レースをスタートさせた31号車ヴァイヨン・レベリオンは、LMP2クラスのトップを独走。1時間を経過した時点で2番手に20秒近い差を築いた。またLM-GTE Proクラスは2番手スタートの92号車ポルシェが、LM-GTE AmクラスはPPスタートの98号車アストンマーチン・レーシングが首位を行く展開である。

 レース開始から1時間20分が経過しようという頃、37号車ジャッキー・チェンDCレーシングと61号車クリアウォーター・レーシング、そして54号車スプリット・オブ・レースの3台がターン1で接触。54号車は右のドアが取れてしまうほどのダメージを負った。これで、関係した3台がピットイン。54号車はそのままリタイアとなってしまった。

 レーススタートから1時間50分、60周を走りきったところで、首位を走っていた8号車トヨタが2回目のピットイン。タイヤ交換、給油、ドライバー交代とフルサービスでコースに復帰する。続く周回では7号車トヨタもピットイン。先ほどのピットインでタイヤ交換とドライバー交代を済ませている7号車は、給油だけでコースに復帰し、8号車トヨタの前に立ち、首位に躍り出ることとなった。

 2号車ポルシェは先ほどのスティントよりも1周延ばし、7号車と同じく61周目に2回目のピットインを行った。この2号車ポルシェには、先日F1デビューを果たしたばかりのブレンドン・ハートレーが乗り込んだ。

 その直後、LMP2クラスの3番手を争っていた38号車ジャッキー・チェンDCレーシングと24号車マノーが接触。13号車ヴァイヨン・レベリオンに先行されることとなった。この事故の責任を問われ、24号車にはストップ&ゴーペナルティが科せられることとなった。

速さを見せるトヨタ。ポルシェ2台を周回遅れに

 レーススタートから2時間が経過した段階で、トヨタ勢2台が1号車ポルシェを周回遅れにする展開。67周目の1コーナーでは、7号車トヨタがタイトルの可能性を残す8号車に首位を譲る形で、トヨタの1-2体制は続いていく。

 2時間15分が経過した段階で、LM-GTE Proクラスは92号車ポルシェが97号車アストンマーチン・レーシングを抜き、トップに浮上した。しかしその直後、メインストレートで92号車が突然スローダウン。1コーナーを直進してマシンをグラベルにストップしてしまう。どうやらエンジントラブルのようだ。これでこのレース最初で最後のフルコースイエロー(FCY)が宣言される。

 このタイミングを活用し、トップ4台がピットインを行う。

 24号車マノーには、再びペナルティが科せられた。コースオフから復帰する際に安全確認を怠り、97号車アストンマーチンと接触した責任を問われたのだ。これにより、10秒のストップ&ゴーペナルティを強いられることになった。

 レース開始から約3時間20分というところで、8号車にはこの日初めて中嶋一貴が乗り込んだ。このピット作業により7号車が首位に浮上したが、すぐにタイトルを争う8号車に首位を譲った。

 残りまもなく2時間20分という時点で、LM-GTE Proクラスの首位争いに動きがあった。それまで首位を走っていたのは91号車ポルシェだったが、これを67号車フォードGTがオーバーテイク。長らく攻防が続いていたが、ついに首位が入れ替わった。首位を明け渡してしまった91号車の後方には66号車フォードGTも接近し、LMPクラスのマシンが抜いていく隙を突いて66号車がオーバーテイクを完了。フォードGT勢が1-2体制となった。

 残り2時間を切った段階で、首位を走っていたのは8号車トヨタ。7号車トヨタに約8秒の差をつけ、さらに2号車ポルシェをも周回遅れとした。まさに独走状態である。LMP2クラスは38号車ジャッキー・チェンDCレーシング、LM-GTE Proクラスは67号車フォードGT、LM-GTE Amクラスは98号車アストンマートンがそれぞれクラス首位につけている。

ロペス痛恨の接触! サスペンション破損でトヨタ1-2崩れる

 残りまもなく1時間半。ピットストップを終えLMP2クラスの4番手に後退していた38号車ジャッキー・チェンDCレーシングには、ホーピン・タンが乗っていた。そしてターン1で26号車G-ドライブ・レーシングのインに飛び込んだ際、26号車のニコ・ミューラーが後方からの接近に気付かない格好でターンインしてしまい、両者接触。激しくスピンしてしまう。38号車には大きなダメージはなかったが、26号車の右リヤがパンクしてしまう。26号車はこの責任を問われ、ピットストップ時の10秒加算ペナルティが科された。

 コースに復帰した38号車はその直後に77号車デンプシー-プロトン・レーシングに行く手を阻まれ、あわや接触というシーンもあったが、事なきを得た。そしてその後、他のマシンがピットインした事で、クラス首位に返り咲く事が出来た。

 残りまもなく1時間という頃、LM-GTE Proクラスの上位争いにも動きがあった。フォード2台に抜かれてクラス3番手に落ちていた91号車ポルシェだったが、後半にフレッシュタイヤを温存していたこともあり、ペースを上げて再びフォード勢に接近。66号車を抜いてクラス2番手に再浮上した。

 LMP2クラスの首位も入れ替わった。スピンがありながらも首位を維持していた38号車ジャッキー・チェンDCレーシングの背後に、ブルーノ・セナが駆る31号車レベリオン・レーシングが接近。38号車が周回遅れのGTマシンを抜くのに手間取った隙を見逃さず、奪首に成功した。

 残り55分という段階でLMP1クラスの各車が最後のピットイン。それぞれのマシンの間には大きなスペースがあるため、順位の入れ替わりはなかった。

 しかし残り40分、ロペスのドライビングで2番手を走り、チェッカーを目指していた7号車トヨタが、LM-GTE Proクラスの首位争いをしていた91号車ポルシェと接触。この事故で7号車は左のリヤサスペンションを破損してしまう。この修復作業には13分あまりを要し、4番手までポジションを落としてしまった。

ポルシェ2号車、ドライバーズタイトルを獲得

 レース終盤、白熱したのはLMP2クラスの3位争いである。残り20分という段階で不足分の燃料を補給するためピットストップを行った38号車ジャッキー・チェンDCレーシングの後方に、ネルソン・ピケJr.がドライブする13号車レベリオン・レーシングが張り付く。チームオーナーのジャッキー・チェンも、ガレージ内で必死の声援を送り続ける。しかし残り10分、ピケJr.がオーバーテイクを完了し、勝負ありとなった。

 結局8号車トヨタが、2号車ポルシェに1周の差をつけてトップチェッカー。3位には1号車ポルシェ、4位には7号車トヨタが入った。

 この結果により、2号車ポルシェのティモ・ベルンハルト、ブレンドン・ハートレー、アール・バンバーが今季のドライバーズタイトルを獲得するとともに、ポルシェもLMP1クラスのマニュファクチャラーズタイトル獲得を決めた。

 LMP2クラスは31号車ヴァイヨン・レベリオンがトップチェッカー。2位36号車シグナテック・アルピーヌ、3位13号車ヴァイヨン・レベリオンが入った。LMP2クラスのタイトル決定は、最終戦に持ち越しとなっている。

 LM-GTE Proクラスは、67号車フォードGTが優勝。以下91号車ポルシェ、51号車AFコルセが入った。AFコルセは71号車も6位に入ったことで、フェラーリのマニュファクチャラーズタイトル獲得を決めた。

 LM-GTE Amクラスは、98号車アストンマーチン・レーシングが優勝。89号車ガルフ・レーシングが2位、77号車デンプシー-プロトン・レーシングが3位に入った。LM-GTE Amクラスのタイトル決定も、最終戦持ち越しである。

→FIA世界耐久選手権上海6時間レース決勝結果

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 上海6時間
サブイベント Sunday race
サーキット 上海国際サーキット
記事タイプ レースレポート