WEC第4戦ニュルブルクリンク:ポルシェ1号車が今季初優勝。トヨタは首位争いに加われず
WEC第4戦ニュルブルクリンクが行われ、1号車のポルシェ919ハイブリッドが総合優勝を果たした。

6時間に渡る高速バトルは、ポルシェとアウディの大接戦に終始した。優勝はポルシェ919ハイブリッド#1号車。2位にほぼ1周の差を付けてゴールした。2位、3位にアウディ、4位にもポルシェ。トヨタは5位、5位に入ったが、トップ争いにはまったく付いていけなかった。まるで別クラスのようなレースに甘んじ、残念ながら完全に蚊帳の外だった。ル・マンで見せた速さはすっかり影を潜めた。
ニュルブルクリンクのグランプリコースは1周4.309km。13ものタイトなコーナーのあるコースで、高速のル・マンと違いクルマには大きなダウンフォースが要求される。ル・マンにローダウンフォース仕様のクルマを持ち込んでピカイチの速さを誇ったトヨタ。ニュルブルクリンク用にハイダウンフォース仕様を仕立ててきたが、同様の仕様を持ち込んだポルシェ、アウディに比べてスピード不足は明らかだった。
予選でもトヨタはライバルから1秒遅れの5、6番手グリッドしか獲得出来なかったが、レース仕様では盛り返しが期待された。プログラムをレースに向けて組み立て、タイヤの温存までして臨んだ6時間の長丁場。しかし、序盤からポルシェ、アウディのスピードに付いていけなかった。
レースは序盤から#7アウディがリードし、#1ポルシェ、#8アウディ、#2ポルシェが僅差で続いた。トヨタの2台はその背後を追走するが、スタート後1時間の時点で#5号車がトップから21秒、#6号車が30秒近い差を付けられる苦戦の展開だった。トヨタ失速の理由はタイヤ選択の間違いとも考えられた。高い路面温度を見込んで高温用ソフトタイヤでスタートしたが、性能が十分に発揮出来なかったか、グリップが得られず、コーナーばかりかストレートでもタイムが伸びなかった。そのせいで序盤にライバルに差を付けられた。もちろんタイヤばかりではなく、中嶋一貴によれば「クルマのダウンフォースも十分ではなかったかも知れません」ということだ。中盤からはトヨタもタイム的にライバルに遜色のない走りを見せたが、序盤に開けられた差を詰めることはできなかった。
結果的に、#5号車は優勝車から1周遅れの5位、#6号車はGTマシンとの接触やエンジン関連部品のトラブル修復に時間を要し、4周遅れの6位が精一杯だった。
アウディ2台、ポルシェ2台で展開されたトップ争いは熾烈を極めた。4時間を過ぎた頃、トップを走る#2ポルシェがGTマシンと接触、ドライブスルーのペナルティを取られて後退した。代わってわってトップに立ったのは#1ポルシェ。以降、#1ポルシェは最後までレースをリードし、6時間レースが終了した時点では2位の#8アウディに50秒以上の差を付けていた。
#1ポルシェが独走で視野から消えた後、激しい2位争いが#2ポルシェと2台のアウディの間で行われ、遅いGTマシンの群を縫いながらの戦いに接触も発生、ヒヤリとする場面も何度かあった。クルマの性能としてはポルシェとアウディは高い次元で拮抗しており、後はドライバーの根性戦の様を呈したレースが続き、見る者も手に汗を握った。#2ポルシェと#7アウディの接戦、2台のアウディのチームメイト同士の戦いて……そこにはメーカー間の戦いより、ドライバー個人の戦いの厳しさが見て取れた。
今回のレースの結果、マニュファクチャラーズ選手権ではポルシェが164点、アウディが129点、トヨタが97点になり、ポルシェの総合力が際立ってきた。
なおLMP2クラスは#36号車シグナテック・アルピーヌが、LM-GTE Proクラスは#51号車AFコルセが、LM-GTE Amクラスは#98号車アストンマーチン・レーシングがそれぞれ優勝を果たしている。
次戦は9月3日のメキシコ戦。オートドローモ・エルマノス・ロドリゲスで6時間レースが行われる。
Cla | # | Drivers | Car | Class | Laps | Gap |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ![]() ![]() ![]() |
Porsche 919 Hybrid | LMP1 | 194 | |
2 | 8 | ![]() ![]() ![]() |
Audi R18 | LMP1 | 194 | 53.787 |
3 | 7 | ![]() ![]() |
Audi R18 | LMP1 | 194 | 54.483 |
4 | 2 | ![]() ![]() ![]() |
Porsche 919 Hybrid | LMP1 | 194 | 1'37.324 |
5 | 5 | ![]() ![]() ![]() |
Toyota TS050 Hybrid | LMP1 | 193 | 1 lap |
6 | 6 | ![]() ![]() ![]() |
Toyota TS050 Hybrid | LMP1 | 190 | 4 laps |
7 | 13 | ![]() ![]() ![]() |
Rebellion R-One | LMP1 | 178 | 16 laps |
8 | 36 | ![]() ![]() ![]() |
Alpine A460 | LMP2 | 178 | 36.256 |
9 | 43 | ![]() ![]() ![]() |
Ligier JS P2 | LMP2 | 178 | 52.734 |
10 | 31 | ![]() ![]() ![]() |
Ligier JS P2 | LMP2 | 176 | 18 laps |
11 | 42 | ![]() ![]() ![]() |
Gibson 015S | LMP2 | 176 | 0.071 |
12 | 44 | ![]() ![]() ![]() |
Oreca 05 | LMP2 | 176 | 17.836 |
13 | 37 | ![]() ![]() ![]() |
BR01 | LMP2 | 175 | 19 laps |
14 | 35 | ![]() ![]() ![]() |
Alpine A460 | LMP2 | 175 | 28.842 |
15 | 27 | ![]() ![]() ![]() |
BR01 | LMP2 | 175 | 1'06.488 |
16 | 30 | ![]() ![]() ![]() |
Ligier JS P2 | LMP2 | 172 | 22 laps |
17 | 12 | ![]() ![]() ![]() |
Rebellion R-One | LMP1 | 171 | 23 laps |
18 | 51 | ![]() ![]() |
Ferrari488 GTE | LMGTE PRO | 170 | 24 laps |
19 | 71 | ![]() ![]() |
Ferrari488 GTE | LMGTE PRO | 170 | 29.730 |
20 | 95 | ![]() ![]() |
Aston Martin Vantage V8 | LMGTE PRO | 170 | 47.394 |
21 | 66 | ![]() ![]() |
Ford GT | LMGTE PRO | 169 | 25 laps |
22 | 97 | ![]() ![]() |
Aston Martin Vantage V8 | LMGTE PRO | 169 | 44.003 |
23 | 77 | ![]() ![]() |
Porsche 911 RSR (2016) | LMGTE PRO | 169 | 1'11.303 |
24 | 98 | ![]() ![]() ![]() |
Aston Martin Vantage V8 | LMGTE AM | 166 | 28 laps |
25 | 83 | ![]() ![]() ![]() |
FerrariF458 Italia | LMGTE AM | 166 | 1'02.201 |
26 | 50 | ![]() ![]() ![]() |
Chevrolet Corvette C7-Z06 | LMGTE AM | 165 | 29 laps |
27 | 88 | ![]() ![]() ![]() |
Porsche 911 RSR | LMGTE AM | 164 | 30 laps |
28 | 86 | ![]() ![]() ![]() |
Porsche 911 RSR | LMGTE AM | 164 | 1'16.498 |
29 | 67 | ![]() ![]() ![]() |
Ford GT | LMGTE PRO | 155 | 39 laps |
30 | 45 | ![]() ![]() ![]() |
Oreca 05 | LMP2 | 149 | 45 laps |
31 | 4 | ![]() ![]() ![]() |
CLM P1/01 | LMP1 | 98 | 96 laps |
32 | 26 | ![]() ![]() ![]() |
Oreca 05 | LMP2 | 74 | 120 laps |
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