WEC第6戦アメリカ決勝詳報:レース序盤の主役はアウディ。しかしポルシェが大逆転3連勝

WEC第6戦アメリカの決勝が行われ、1号車ポルシェが優勝を果たした。

 FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦COTA6時間レースの決勝が行われ、1号車ポルシェ919ハイブリッドが優勝。2位には8号車アウディR18、3位には6号車トヨタTS050ハイブリッドが入った。

 レースはアメリカ・テキサス州オースチンの、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で現地時間の午後5時にスタートした。

 ポールポジションの7号車アウディは絶好のスタートを決め、序盤から猛烈に飛ばして2番手以下との差を広げていく。その2番手はスタートで8号車アウディが出遅れ、1号車ポルシェ919ハイブリッドが前へ。しかし、8号車アウディはすぐに1号車ポルシェを交わして1-2体制を築く。

 先頭の7号車アウディは一時4秒以上の差を8号車アウディとの間に築くが、10周を過ぎるとこれが縮まり、特に15周目にもなるとその差は1秒あまりに縮まる。とはいえアウディ2台のペースは他を圧倒しており、1分47秒台で推移。ポルシェ、トヨタはこれよりも1周1秒遅く、レース序盤にして非常に大きな差をなっている。

 26周を走りきったところで、7号車アウディが上位勢の先陣を切ってピットイン。翌周8号車もこれに続き、同じ周で2号車ポルシェもピットへ。28周終了時点で1号車ポルシェと5号車トヨタが同時ピットイン。この作業で5号車トヨタが1号車ポルシェの前に出る。

 ただ、コース復帰後の5号車トヨタのペースが上がらず、1号車ポルシェが31周目にオーバーテイク。3番手のポジションを奪い返す。5号車トヨタには、2号車ポルシェも近づいてくる。そしてレース開始から1時間が経過した31周目、2号車ポルシェが5号車トヨタを交わして4番手に浮上する。5号車トヨタを操るアンソニー・デビッドソンは、必死の抵抗を見せるが、コーナー立ち上がりでの加速はポルシェ919ハイブリッドの方が勝っている。

 5番手に落ちた5号車トヨタはペースが上がらず、6号車トヨタがこれに迫り、そしてすぐに6号車が前へ出た。5号車トヨタのデビッドソンは、無線でステアリングの不調を訴える。一方、5号車を抜いた6号車トヨタは、小林可夢偉がドライブ中。GTクラスのマシンを抜く際にフロントが接触するが、大事には至らなかった。

 2度目のピットストップで、首位に変動があった。8号車アウディが先頭に立ったのだ。アウディ勢に続いてポルシェ勢、トヨタ勢もピットイン。各車が2度目のピットインを終えた時点で、3番手の1号車ポルシェですら先頭の8号車アウディから44秒の遅れ。トヨタに至っては、約1分も遅れてしまっている。

 なおこの頃、88号車アブダビ-プロトン・レーシングのピットで火災が発生。給油時に燃料が漏れ、これに引火したのだ。マシンは消化剤まみれになったものの、大事には至らず、コースに復帰していく。

 レーススタートから2時間を過ぎた頃、先頭を行く8号車アウディが5号車トヨタを周回遅れに。この状況にトヨタ陣営は、「ポルシェ勢との戦いに集中する」とコメントする。一方、ポルシェのロマン・デュマは「我々のクルマは涼しくなると速い。これから夜になれば頑張れるはず」と含みを見せる。

 午後7時22分、LMP2マシンがコース脇にストップしたことでフルコースイエローコーション(FCY)が宣言される。この間に各車がピットインする。このピットストップのタイミングで、7号車アウディが再び8号車の前へ出る。

 ただ、先頭の7号車アウディにはマシントラブルが発生。ファスラーが「フロントのダウンフォースが失われている」と無線で訴え、アンダーステアの症状が出ている。これで8号車アウディが先行し、すぐに2台の差は10秒まで開く。

 COTAがすっかりと闇に包まれた午後8時、レースはようやく半分を経過した。LMP1クラスはアウディ2台、ポルシェ2台、トヨタ2台の順。LMP2クラスは36号車シグナテック・アルピーヌが先頭を走り、LM-GTE Proクラスは95号車アストンマーチン・レーシングが、LM-GTE Amクラスは98号車アストンマーチン・レーシングが首位を行く。

 おのころ、首位を行く8号車アウディが、コース上に突然ストップ。しかし、すぐに何事もなかったかのように走り始めた。これで8号車が失ったタイムは約50秒。7号車アウディに33秒の先行を許してしまった。この8号車のトラブルに、アウディのディートリッヒ・ウルリッヒ代表は「原因は分からないが、突然エンジンが止まった。すぐに元に戻り、今は完調だ」とコメントする。

 ただその8号車アウディのペースは優れず、1号車ポルシェが急接近。しかし周回遅れのマシンを避けようとしたことで2台は再び離れることになった。

 トップに立った7号車アウディを駆るマルセル・ファスラーは、クルマが酷いバイブレーションを起こしていると報告が入る。ただその直後、5号車トヨタの左リヤタイヤがパンク。この交換のためにピットに戻ってくる。ドライバーのセバスチャン・ブエミは、相次ぐトラブルに閉口する。

「なんで俺たちだけに色々起こるんだ!? 信じられない! 言葉がないよ」

 しかし、トヨタ陣営には希望の光も見えてきた。マイク・コンウェイがドライブする6号車トヨタが、ニール・ジャニが乗る2号車ポルシェを抜き、4番手に浮上したのだ。抜かれたジャニはすぐにピットへ。彼らも、パンクに見舞われていたのだ。

 間も無く午後9時を迎えようという頃、アウディの2台が予定のピットインを消化したことで、1号車ポルシェが先頭に立っていた。すると、66号車フォードGTが44号車マノーに追突されてスピン。これでこのレース3回目のFCYが宣言される。1号車ポルシェはタイミングを逃さず、すかさずピットインし、首位でコースに復帰することに成功。ついにポルシェが先頭に立った。

 レース距離の2/3を消化した頃、1号車ポルシェが7号車アウディを18秒リード、3番手には6号車トヨタがつけている。なお、5号車トヨタはトラックリミット違反で審議対象となっており、7号車アウディにも警告が与えられた。

 午後9時18分、2番手を走行中だった7号車アウディが、LM-GTEクラスの66号車フォードGTに追突されてクラッシュしてしまう。7号車をドライブしていたブノワ・トレルイエは「フォードに追突された! グラベルから出られない!」と無線で訴える。なんとかグラベルから脱出し、ピットに戻った7号車アウディだが、ボディワークが大きく損傷してしまっている。

 これでトップの1号車ポルシェに次ぐ2番手に浮上したのは、6号車トヨタ。レース序盤からすれば、信じられないような展開だ。

 午後9時34分、7号車アウディは10分間の修理を経てコースに復帰。この時点で、7号車アウディは、表彰台すら絶望的な状況となってしまった。

 先頭に立った1号車ポルシェは、マーク・ウェーバーがドライブして2番手を走る6号車トヨタとの差を確実に広げていく。その6号車の後方からは8号車アウディが急速に迫る。

 レース残り1時間を切っても、8号車アウディの追い上げは凄まじい。そのギャップをどんどん減らしていき、6号車トヨタが最後のピットインをしたことで順位が逆転。首位1号車ポルシェ、2番手8号車アウディという隊列となった。

 上位2台も最後のピットインを行い、順位そのままでコースに復帰。あとはチェッカーフラッグを受けるだけだ。しかし、8号車アウディの後方からはステファン・サラザンがドライブする6号車トヨタTS050が接近。8号車をドライブするルーカス・ディ・グラッシは「クルマが激しい振動に見舞われている!」と訴える。

 結局、1号車ポルシェがトップでチェッカーを受け、ニュルブルクリンク、メキシコに続き、3連勝を果たした。2番手には8号車アウディが入ったが、6号車トヨタとの最終的な差は僅か2秒にまで縮まっていた。4位には2号車ポルシェ、5位には結局トラックリミット違反で10秒ストップペナルティを科せられた5号車トヨタが入った。

 レース序盤、圧倒的な速さを見せつけたのはアウディ陣営だった。しかし、終わってみればポルシェ勢に主役を奪われてしまった格好だ。

 なお、LMP2クラスは36号車シグナテック・アルピーヌ、LM-GTE Proクラスは95号車アストンマーチン・レーシング、LM-GTE Amクラスは98号車アストンマーチン・レーシングがそれぞれ優勝を果たした。

 LMP2クラスは36号車シグナテック・アルピーヌ、LM-GTE Proクラスは95号車アストンマーチン・レーシング、LM-GTE Amクラスは98号車アストンマーチン・レーシングがそれぞれ優勝を果たした。

 WECの次戦は、いよいよ日本に上陸する。舞台は富士スピードウェイ。10月16日決勝のWEC第7戦富士6時間レースである。

WEC第6戦COTA6時間レース決勝順位はこちら

#1 Porsche Team Porsche 919 Hybrid: Timo Bernhard, Mark Webber, Brendon Hartley takes the checkered flag
#1 Porsche Team Porsche 919 Hybrid: Timo Bernhard, Mark Webber, Brendon Hartley takes the checkered flag

Photo by: Vision Sport Agency

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 オースティン
サブイベント Saturday race
サーキット サーキット・オブ・ジ・アメリカズ
記事タイプ レースレポート