【WEC】トヨタ村田技術責任者「全体の士気が素晴らしく上がっている」

トヨタ村田久武パワーユニット開発総責任者は、開幕戦シルバーストン予選について語った。

 415日、WEC(世界耐久選手権)開幕戦シルバーストン6時間レースの予選が行われ、ポールポジションを獲得したのは7号車トヨタだった。2番手にも8号車トヨタがつけ、フロントロウはトヨタが独占した。

 モンツァでの公式テスト”プロローグ”初日から、シルバーストンのフリー走行3回目まで、すべてトップタイムを記録してきたトヨタ。開幕戦予選も順調に軍配を上げた。

 トヨタのパワーユニット開発総責任者である村田久武は、その快進撃ぶりを讃えた。さらに予選で唯一137秒の壁を破った小林可夢偉のパフォーマンスを賞賛した。

「可夢偉、絶好調だったと思います。(彼のタイムは)計算を超えていました。他の3人のタイムはほとんど変わらなかったけど、可夢偉は一人だけ突き抜けていた」

「どちらかというと7号車は予選に合ったセッティングだったので、8号車よりも基本的にはダウンフォース値は多めでした。だから予選でタイムが出やすいセッティングになっていると思います」

 一方の可夢偉は、決勝に向けたマシンのセッティングについて憂いており、「コーナーでは速いが、ストレートでそのお釣りをもらう」と言及している。それに対して、村田は次のようにフォローした。

「そのせいで(可夢偉のチームメイトであるマイク・)コンウェイは、ターン9で外に飛び出していました。あれを可夢偉は回りきってしまうので、彼は大したものです」

 今回の予選では、78号車間でセッティングの違いによって結果が分かれたようだ。それはトヨタのレース戦略のうちかと思いきや、村田は興味深い事実を明かしてくれた。

「お互いに情報の共有はしているのですが、レースエンジニアのプライドというものがあって、78号車で微妙に性格が違うんです」

「ドライバーの好みというのもあるけど、やっぱりレースエンジニアのプライドじゃないでしょうか。ドライバーとレースエンジニアはお互いのプライドにかけてずっと話し合いをやっているです」

「みんな”押せ押せ”の集団なので。終わったあと、ドライバー全員が全部チャートを見直していました。『なんであいつの方が速いんだ』って言い合って、『あーここか』と反省したりして」

 村田は8号車の中嶋一貴についても取り上げ、今回の予選担当のオーダーについて触れた。予選は中嶋とアンソニー・デビッドソンが担当、セバスチャン・ブエミはレースのスタートを担当するため、予選は走らなかった(WECの予選は2人のドライバーが担当し、その平均タイムで争われる)。

「今朝の走行でアンソニーがまだ濡れている路面のところで苦しんでいたのですが、(中嶋の場合)ああいうところに行ってもちゃんとタイム出せるんですよね。ひとりひとり強いところがあって、いいと思います」

「予選で使ったタイヤは本戦で自分で使わなければいけません。1レースに使用出来るセット数は決まっているので、1つのセットで2人走らせなければならないと思っていたのですが、今回はそれぞれ新品に交換させました。『これはお前のね』と(新品タイヤをドライバーにそれぞれ振り分けるというやり方にしました)。他人が使ったタイヤを履くのは嫌ですもんね」

“新人ロペス”はラテン系

 和やかにドライバーたちについて語る村田。その中、フリー走行中にトヨタ7号車のホセ・マリア・ロペスが、スローパンクチャーを喫した話が出た。ロペスはWTCC(世界ツーリング選手権)で3度チャンピオン獲得を果たした確かな実力を持つドライバーだ。

「ホセは一生懸命攻めたあと、スローパンクチャーになりました。決勝レースでそれがあったら御仕舞いだからね。だからみんなどれだけアグレッシブにかつ冷静にやれるか次第かですね。基本のパフォーマンスが勝っていても、問題がひとつ起こると終わりですから」と村田。

「ロペスはラテンの血が騒いだんだと思いますよ。彼はアルゼンチン人でしょう? ラテンの血が入っている人はスイッチが入っちゃうんでしょうね。走行後、相当怒られていました。レースエンジニアにも『落ち着け、お前は!』って言われていましたし、お仕置きを食らって、チームスタッフに首っこ摘まれて連れて行かれていました。あれは面白かった」

 村田は、すでにロペスのキャラクターを掴んでいる様子。しかし彼の実力はすでにお墨付きのようだ。テスト時の練習量からすると、トヨタは彼に大きな期待を寄せているには違いない。

1発のタイムも相当速い。初めて乗った時から速いです」

「冬のテストでは死ぬほどの距離を走らされていたようです。(テスト走行距離の)35000kmのうち、相当の距離です。1台単独で相当練習させられていたようです」

「今年のレースは完全にアベレージ重視で議論されています。1人だけ速くても駄目なんです。可夢偉もずっと頭を抱えていたほどです。『アベレージなんだよね』と(笑)。それでも、雨だろうが夜だろうが、全部アベレージで出していました」

シーズン前半で地盤を固める

 フリープラクティスで約2秒差ついていたポルシェとのタイムは、予選でもさほど縮まることはなかった。

「そんなに縮まりませんでしたね。スペックは我々トヨタがハイダウンフォース、ポルシェがローダウンフォースという差がありますけど」と村田。

 シルバーストンは高速コーナーが多いために、ハイダウンフォースのトヨタにはアドバンテージがある。村田は、ひとつひとつのレースを重視しながらも、シーズンを通して着実に好成績を残すことが重要だと考えている。それがタイトル獲得の唯一の方法だ。しかし、何と言っても最大の目標はル・マン制覇。

 決勝レースの後、笑顔の村田の話を聞きたいと言うと、彼は次のように語った。

「でも良いよね。ドライバーもメカニックも含めてチーム全体のテンションが素晴らしく上がっている。予選を走らなかったブエミでさえ僕を捕まえてレース作戦について熱く語っていました」

 WEC開幕戦シルバーストン決勝レースは、416日・正午(日本時間41620時)にスタートする。

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 シルバーストン
サーキット シルバーストン
記事タイプ 速報ニュース