【WEC】国本雄資「ようやくここまで来た」。夢だった欧州レースに挑戦
Toyota Gazoo Racingに加入し、スパ6時間とル・マン24時間に挑む国本雄資は、欧州でのレースに参戦するのは”夢”だったと語る。















今シーズンのトヨタは、悲願のル・マン24時間制覇に向け、本気の体制を整えてきた。WEC(世界耐久選手権)のフル参戦する7号車と8号車に加え、スパ6時間レースとル・マン24時間に、3台目のTS050ハイブリッドを走らせることを決めたのだ。
3台目のTS050ハイブリッドのカーナンバーは9。この9号車に乗るのはベテランのステファン・サラザン、トヨタ復帰となるニコラ・ラビエール、そして国本雄資だ。
国本は昨年、スーパーフォーミュラでチャンピオンを獲得。そこからの大抜擢となった。彼に声がかかったのは、トヨタのレース関係者が一同に集う、会合でのことだったという。
「去年の12月に、TS050のテストに参加しないかと言われて、参加することになりました」
それまで国本は、まさかル・マン参戦に向けた声がかかるとは思っていなかったという。
「思っていませんでしたよ。『よっしゃー! ついに来た!』と思いました」
そう、当時の喜びを国本は表現した。これまで、彼は海外のレースに挑戦したことはほとんどない。しかし、ヨーロッパでレースをすることは、彼にとって長年の夢だったという。
「すごく楽しみですよ。小さい頃からヨーロッパでレースをしたいという想いがありましたし、自分の夢でした。ようやくここまで来れて、スパとル・マンがすごく楽しみです」
初めて乗るLMP1-Hクラスのマシンについて、「楽しかった」と国本は表現する。
「すごくパワーがあって、楽しかったです。スーパーフォーミュラやスーパーGTと比べると色々と複雑でしたが、それも含めて楽しいです」
ただ、スイッチなどを覚えるのには、とても苦労しているという。
「大変ですね。ホント、(スーパーGTやスーパーフォーミュラ)の100倍くらい(覚えなければならないことが)あると思います。誇張じゃなく、スイッチの数だけでも100倍あるんじゃないでしょうか。今は(説明を書いた)紙をもらって勉強したり、シミュレータに乗ったりしています」
ダウンフォースはスーパーフォーミュラの方が感じると、国本はその印象を語る。
「一番身体にキツイのはスーパーフォーミュラですね。ダウンフォースもスーパーフォーミュラの方が感じます。とはいえ、このクルマ(TS050)もダウンフォースはしっかりありますし、しかも四駆なんで、安定していると思います」
またWECといえば、複数クラスの混走レースである。こればかりは実際のレースになってみなければ分からないものの、すでにマシンには慣れたと国本は語る。
「レースになればトラフィックがあったりするんでしょうけど、一人で走る分には慣れました。台数が多いし、スピード差があるクルマと、そんなに無いクルマがいるというレースは、僕はまだやったことありません。でも、クルマの特性はつかめてきたんで、問題ないと思います」
「(小林)可夢偉選手や(中嶋)一貴選手、そしてチームメイトから色々なアドバイスをもらいました」
国本は今年、スパとル・マンでTS050に乗る他、スーパーGTとスーパーフォーミュラにもフル参戦するという、非常に忙しい1年を過ごすことになる。
「このレースに出たからといって、日本のレースが疎かになるわけじゃなりません。今は色々なクルマに乗って、経験を積むというのは、レーシングドライバーとしてプラスになると思いました」
”夢”だった欧州でのレースに初めて本格的に挑む国本は、インタビュー中に何度も「楽しい」という言葉を口にした。彼はWECでどんなレースを見せるのか? その初戦は5月4日〜6日にかけて開催される、スパ6時間レースだ。
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この記事について
シリーズ | WEC |
イベント | Toyota TS050 Hybrid launch |
執筆者 | 赤井邦彦 |