7号車独走優勝でトヨタ勢1-2。厳しいサクセスハンデ乗り越え、レベリオンを下す
バーレーン・インターナショナル・サーキットでWEC(世界耐久選手権)第4戦バーレーン8時間レースが行なわれ、トヨタTS050の7号車が独走優勝。8号車も2位に入り、トヨタ勢が1-2フィニッシュを果たした。
#7 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050 - Hybrid: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez, #8 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050 - Hybrid: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Brendon Hartley
Toyota Racing
WEC(FIA世界耐久選手権)の2019-2020年シーズン第4戦バーレーン8時間レースの決勝が行なわれ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 Hybrid 7号車が優勝した。
8時間の長丁場となったこのレース。しかしスタート直後から、波乱の展開となった。
フロントロウにつけたのは、1号車レベリオンと5号車ジネッタだったが、スタート直後のターン2で両車接触。大きくコースオフしてしまった。これは、5号車ジネッタが1号車レベリオンのインを突こうとした際にスピンをしてしまったことがきっかけ。これにより5号車は5番手、1号車は25番手にまで落ちてしまった。また3番グリッドスタートだった8号車トヨタもこの事故を避ける形でタイムをロスし、10番手まで後退してしまった。
これにより、7号車トヨタが首位に浮上。LMP2クラスの22号車ユナイテッド・オートスポーツが2番手、3番手には26号車G-ドライブ……という隊列になり、事故の処理のためにセーフティカーが出動した。
10分ほどのセーフティカー走行を経てレース再開。5号車ジネッタは、レース再開と同時にピットに戻り、修復を受けた。
後退してしまった1号車は、次々にLM-GTEクラスのマシンをオーバーテイク。ただサクセス・ハンディキャップを科されている8号車トヨタは、LMP2クラスのマシンを抜いていくのに苦労した。
開始から40分ほどが経過した頃には、8号車が3番手、1号車が4番手まで復帰。しかも1号車は8号車の真後ろに迫った。ハンデキャップが違う2台はストレートスピードに大きな差があり、メインストレートで1号車が8号車をオーバーテイクすることになった。
この頃から各車が最初のピットイン。先頭の7号車は、25周目を終えた時点でピットストップを行なった。同じ周回で8号車もピットストップし、ダメージを負っていたフロントカウルを交換した。
最初のピットストップを終えた段階で、7号車トヨタは2番手の6号車ジネッタに対して40秒ほどのリード。その3秒後方に1号車レベリオンが浮上し、さらに9秒後方に8号車トヨタという隊列となった。
33号車ハイクラス・レーシングの山下健太は、最初の2スティントを担当。LMP2クラス6番手からのスタートだったが、コース上でオーバーテイクを見せるなど躍動。同クラス3番手までポジションを上げ、一旦マシンを降りた。
先頭を行く7号車トヨタは、50周を走り終えたところでピットイン。小林可夢偉がマシンに乗り込んだ。また6号車ジネッタを抜いた8号車も同じタイミングでピットインを行ない、セバスチャン・ブエミからブレンドン・ハートレーへとドライバーを交代した。
レース開始から2時間を迎えようという頃には、サーキットには徐々に夜の帳が降り、コース脇のカクテルライトに灯が入れられた。この2時間を経過したタイミングでは、7号車トヨタが2番手の1号車レベリオンに対して、38秒のリードを築いていた。
ただレース開始から2時間半が経過しようかという頃、1号車レベリオンがイレギュラーのピットイン。ギヤボックスのトラブルのようで、ガレージにマシンを入れ、修復作業に取り掛かることになってしまった。これでトヨタが望外の1-2体制となった。
レベリオンのチームは迅速な修復作業で1号車をコースに送り出したが、4周遅れとなってしまった。
スタートから3時間を経過した後、トヨタの2台がドライバー交代を実施。8号車には中嶋一貴が乗り込んだ。
3時間40分を経過した頃、レースディレクターから信じられないような無線が入る。最終コーナー付近で雨が降り始めたというのだ。砂漠地帯にあるバーレーンで雨が降るのは、非常に珍しいこと。しかも前日(金曜日)に続く、2日連続の降雨だという。ただ、雨脚が強まることはなかった。
その直後、LM-GTE Amクラスの88号車デンプシー-プロトン・レーシングが最終コーナー手前でクラッシュ。これによりコース上に多くのパーツが散乱してしまったことで、フルコース・イエロー(FCY)が宣言された。
4時間半が経過した後、5号車ジネッタが突如駆動力を失ってコース脇にストップしてしまった。チームの説明によれば、バッテリーの電圧が下がってしまったことが原因だったようだ。5号車ジネッタはこれでリタイアとなった。
残り時間が2時間を切った頃には、7号車トヨタが8号車トヨタに対して1周以上の差をつけ、トップを独走する状態となった。そしてその後、4番手を走っていた6号車ジネッタにトラブルが発生。マシンがガレージに入れられてしまう。そのガレージでは、リヤカウルを外して作業……刻一刻と時間は経過していき、ポジションも落としていってしまう。結局6号車は、コースに復帰することができなかった。
レースの残りがまもなく1時間になろうという段階で、7号車トヨタがピットイン。ロペスがマシンに乗り込んだ。8号車には中嶋一貴が乗り込み、チェッカーを目指した。また33号車ハイクラス・レーシングには山下健太が乗り込んだ。
残り時間45分というところで、このレース2回目のFCYが宣言された。これは、メインストレートにボラードが転がってしまったためだ。この間に上位勢も含めて多くのマシンが最後のピットストップを実施。またコース上の各所で、落ちたデブリの清掃が行なわれた。
FCY直後、激しいバトルが展開されたのはLM-GTE Proクラスの首位争い。95号車アストンマーチン(マルコ・ソレンセン)と71号車フェラーリ(ミゲル・モリーナ)が、サイド・バイ・サイドを繰り広げた。この2台はレース序盤からずっと接近戦。ピットストップもほぼ同じタイミングで推移してきた。また同クラスの3番手争いも、51号車フェラーリと97号車アストンマーチンの間で戦われた……奇しくもフェラーリとアストンマーチンという同じ組み合わせだ。
ただ71号車フェラーリには、非情なるペナルティが科されてしまう。ピットストップから発進した際に、WECのレギュレーションでは禁止されているホイールスピンを起こしてしまったのだ。71号車にはストップ&ゴーのペナルティが出され、順位こそキープできたものの、97号車アストンマーチンからは大きく遅れてしまった。
また51号車には、97号車をコース外から抜いたとして、ポジションを戻すように指示が出された。
首位の7号車トヨタはレースを通じて単独走行。危ないシーンを見せることなく、レースを走りきった。2番手には8号車がつけ、トヨタ勢が1-2フィニッシュを果たした。3位には1号車レベリオンが入った。
LMP2クラスは22号車ユナイテッド・オートスポーツが優勝。山下健太が乗った33号車ハイクラス・レーシングはクラス8位となった。
LM-GTE Proクラスは95号車アストンマーチンが優勝。LM-GTE Amクラスは、57号車チーム・プロジェクト1が入った。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | マイク コンウェイ 小林 可夢偉 ホセ・マリア ロペス |
257 | ||||
2 | セバスチャン ブエミ 中嶋 一貴 ブレンドン ハートレー |
256 | 1 lap | |||
3 | ブルーノ セナ グスタボ メネゼス ノーマン ナトー |
254 | 3 laps | |||
4 | Philip Hanson Filipe Albuquerque Paul di Resta |
249 | 8 laps | |||
5 | ロベルト ゴンザレス アントニオ フェリックス・ダ・コスタ アンソニー デビットソン |
249 | 8 laps | |||
6 | ホーピン タン Gabriel Aubry Will Stevens |
248 | 9 laps | |||
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