ハイパーカー激増のWEC、シーズンエントリー台数を40台まで増加か。1ガレージを2台で使う可能性もある?

WECのシーズンエントリー枠は、現在の最大36台から40台ほどまで拡大される可能性があるようだ。

Race start

 FIA世界耐久選手権(WEC)はハイパーカークラスのエントリー台数が大幅に増加する見込みであること、来季からLM-GTE Amクラスに代わって新設されるLMGT3に複数メーカーが参戦できるスペースを確保するため、シリーズエントリー台数を現在の36台から増やす意向であることが明らかになった。

 来季からはBMWやアルピーヌ、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニといったマニュファクチャラーが参戦を見込んでいる他、キャデラックが1台、ポルシェが2台を追加する可能性もあり、ハイパーカー・クラスには20台以上のマシンが参加することになりそうだ。

 WECを共同で運営するACO(フランス西部自動車クラブ)とFIAは、LMGT3クラスのエントリー枠を最低16台確保し、8メーカーがそれぞれ2台ずつマシンを走らせることを目指しているようだ。

 ACO会長のピエール・フィヨンは、今年よりも多くのマシンをエントリーさせる試みについて、”現在進行形”だと述べている。

「サーキットによっては、ガレージの数に制限がある」

「だから、何ができるか検討中だ。だが、40台まではいけると思う」

 ACOとFIAはLMGT3のチームにひとつのピットで2台のマシンを走らせることを検討しているのかと尋ねられ、フィヨン会長は次のように答えた。

「我々はあらゆる解決策を検討している。細かいところに落とし穴があるかもしれない」

 フィヨン会長は、今週開催されるFIAの耐久委員会で計画が固まる可能性があることを明らかにしている。

 来季WECでシボレーの新型コルベットZ06 GT3.Rを走らせる予定の、TFスポーツを率いるトム・フェリエは「現時点では、それが何を意味するのかを理解しようとしている」と語った。

「例えば、2台のマシンが燃料リグを共有するのか、それとも1台ずつなのか?」

「しかし、それが議論されている理由は理解しているし、選手権のために行なわれることを受け入れなければならない」

 今季のWECは37台がエントリーしているが、事実上のエントリーは36台だ。LM-GTE Amクラスに参戦していたプロトン・コンペティションが、LMDh車両であるポルシェ963がデリバリーされたモンツァ以降、ハイパーカークラスを戦っているためだ。

 FIAとACOは、LMGT3へのエントリーについてハイパーカークラスに参加しているメーカーが優先されるとしている。つまりフェラーリやポルシェ、BMW、ランボルギーニ、そしてトヨタ(レクサス)とシボレー(キャデラック/コルベット)は、多かれ少なかれ出場枠を保証されているということだ。

 現在はハイパーカークラスに参戦していないアストンマーチンは、WECのLM-GTEクラスに長年参戦しており、LMGT3クラスへのエントリー枠が用意される可能性は高いだろう。

 フォードも新型マスタングGT3で2枠を獲得することが確実視されており、エントリーが実現すればプロトン・コンペティションがWECでマシンを走らせることをすでに発表している。

 他にもメルセデスを含め、LMGT3に興味を示しているメーカーはある。そのため、LMGT3のエントリー枠を巡る争いは激しくなりそうだ。

 2025年にはハイパーカーへのエントリーがさらに拡大し、状況が複雑になる可能性もある。アストンマーチンがヴァルキリーLMH計画を再始動し、アイアンリンクスがランボルギーニを1台増やすかもしれないためだ。

 一方で、ACOは来季からWECの通常戦では廃止されるLMP2クラスについて、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、アジアン・ル・マン・シリーズ、IMSAウェザーテックスポーツカー選手権を含む”耐久ピラミッド”の重要な一部であると述べている。

 来年のル・マン24時間には、最低15台のグリッド枠がLMP2クラスに割り当てられるため、WECにフル参戦していないチームのル・マン24時間へのエントリーもハードルが高くなると言えそうだ。

 

前の記事 アストンマーチン、2025年からやっぱりWECハイパーカー参戦? 「このクラスを注視している」LMH投入計画の復活近づく
次の記事 トヨタ、フェラーリとの最大の違いはドライバーの安定性?「彼らのレベルに少し問題があると思う」

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本