【WEC】motorsport.comが選ぶ2016年のトップ10LMP1ドライバー:Part 2
motorsport.comのジャーナリスト/エディターが今年のLMP1ドライバーのトップ10を選考した。今回はそのPart 2をお届けする。
写真:: Vision Sport Agency
2016年の世界耐久選手権(WEC)において、サム・スミスとジェイミー・クラインが特に活躍したと思われるLMP1のパフォーマーをトップ10で選出した。
今回は、トップ5をお届けする。
前半:【WEC】motorsport.comが選ぶ2016年のトップ10LMP1ドライバー:Part 1
5. セバスチャン・ブエミ
Toyota Gazoo Racing, Car #5
2016年のブエミはこれまで以上に好調だったが、昨シーズンと同様5号車トヨタの彼と彼のチームメイトはほとんどパッとしなかった。
今シーズン、トヨタの中で何かが間違っており、それがいつもトヨタ5号車に影響を及ぼしたが、時にブエミが不満を感じていたことは驚きだった。しかし、彼は決してチームやマシンへの信頼を失うようなことはなかった。
おそらく、出来事は”ル・マンで起こった間違いを正していこう”というチーム全体の決意から生まれたのだろう。フォーミュラEでタイトルを獲得したブエミは、ル・マンでの悔しさや怒りの一部がそこで消化されていたのであろうが、トヨタの緊密なチームの理念の中で、その感情は尊厳を持って扱われていた。
メキシコ前のマニ・クールで行われたテスト時にアンソニー・デビットソンがクラッシュしたことでメキシコを欠場した時、ブエミが奮闘したことも印象的だ。
チーム内では、終盤のレースでブエミが更に成熟したレースを展開していると語っており、少しの運があれば、WEC上で最高のオールラウンドドライバーである彼が再びチャンピオンになる日も、そう遠くないだろう。
4. アンドレ・ロッテラー
Audi Sport Team Joest, Car #7
2016年は彼のWECキャリアの中で初めてフラストレーションの溜まるレースが多かった。しかし他の何よりも、R18が何度も改善に失敗していたことの方がはるかに酷いものだった。
確かにロッテラーのペースは速く、これまでの4シーズンも7号車アウディの中で信頼の置ける中堅的な存在だった。しかし勝てたはずのシルバーストン(7号車はスキッドブロッグが磨耗で外れ失格となった)やメキシコ(ブレーキトラブル)で勝利が指から滑り落ちていった瞬間、彼は自分たちの不幸を呪っただろう。
確かに今季は2台のアウディが深刻な状況に追い込まれた。また長年レースエンジニアを務めてきたリーナ・ゲイドがル・マンの後でアウディ陣営から離れたことも、トラブルの解決に苦しんだ要因のひとつだ。
今季は序盤にタイトル争いから脱落してしまったことで、ロッテラーが常に最大限プッシュしてはいないという印象がついてしまっているかもしれない。2017年にポルシェへ移籍することが決まっている彼は、ニール・ジャニ、ニック・タンディと共に、3度目のル・マン優勝を果たすために全力を尽くしてくれることだろう。
3. ニール・ジャニ
Porsche Team, Car #2
世界チャンピオンの2号車ポルシェのトリオのうち、ジャニは2017年でタイトル防衛に挑む唯一のドライバーになる。
予選ではジャニが良いタイムを出し、リーブとデュマいずれかが2号車ポルシェのコンマ数秒アベレージタイムを下げ、足を引っ張るというのが平常運転だった。
そこから言えることは、2号車ポルシェが年間のレースでポールポジションを取れるのは、予選でアベレージタイムシステムを唯一使用しないル・マン24時間レースの時だけということだ。
ジャニがル・マンウィークの水曜日夜、ラ・サルトの一番前のグリッドにマシンを置くことは、かなり印象的な出来事だった。
同様に注目に値するのは、レース中の彼の最終スティントだ。”あの悲劇”が起きる前までレースをリードしていた5号車トヨタとの差を劇的に短縮した。
その勝利と、シルバーストンでのアウディの失格で拾うことができた優勝はほぼ偶然だった。しかし、ジャニは自分が世界タイトルを受賞するのに値するドライバーであることは疑いの余地もないことだ。
来季、新たなチームメイトのロッテラーとタンディとともに、彼がどのようにレースするのかが見ものだ。
2. Brendon Hartley
Porsche Team, Car #1
ハートレーは良いペースを保ち、一貫性のあるレースをしていた2016年を誇れることが出来るだろう。
シルバーストン以外で彼は実質的にエラーフリーだった。常にポルシェの安定したベンチマーク的なパフォーマンスを発揮していた。チームメイトのウェーバーをはじめ、ポルシェチームのメンバーは、3シーズン目で彼の実力がかなり高いレベルまできていることを認めた。
シルバーストンでの最初のスティントや、ニュルブルクリンク、メキシコ、オースティン、上海での彼のパフォーマンスはとても高いレベルにあった。それでも彼のエンジニアであるカイル・ウィルソン・クラークは、彼が今よりもはるかに徹底したコミュニケーションを行なっていくことを信じている。
シーズンの間に彼のスキルは大いに育った。27歳の若手は今後耐久レースでの名声と運を手にして、歴代のビッグネームに名を連ねる可能性はとても高いように思われる。
1. ルーカス・ディ・グラッシ
Audi Sport Team Joest, Car #8
ハートレーのように、WECに参戦して3シーズン目のディ・グラッシは、レースの最中にタイトル争いから脱落してしまった。
猛烈なペースを誇り、エンジニアリング的な思考と、ポジションを防衛するテクニックを持つディ・グラッシは、コックピット内外で一線を画したプロフェッショナルだ。
見事なまでにフラストレーションの溜まるアウディR18のせいで、その真の可能性を見ることはできなかったが、今季のマシンからできる限りのパフォーマンスを絞り出すことに関しては、アウディの6人のドライバーの中でディ・グラッシが最も優れていた。
スパでのブエミとの彼の決闘は、今シーズンの中でもハイライトのひとつだったといえよう。彼は片輪を芝生に落としたままブランシモンを全開で走行し、ブエミとバトルをしていたのだ。
それは爽快感に溢れた瞬間であり、ディ・グラッシがシーズンを通して見せた勝利に対する責任と信念の表れであった。
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