WECプロローグ:テスト初日はLMP2がトップ3独占。ハイパーカーは苦戦、トヨタ7号車にトラブル発生
スパ・フランコルシャンでWECの公式プレシーズンテストがスタート。初日はLMP2クラスのユナイテッド・オートスポーツUSAの22号車がトップタイムをマークした。
WEC(世界耐久選手権)の公式プレシーズンテスト”プロローグ”が、スパ・フランコルシャンでスタートした。2日間のテスト初日は、LMP2クラスのユナイテッド・オートスポーツUSAの22号車が午前・午後ともにトップタイムをマークした。
本来は3月19日にセブリングで開幕する予定だったWEC。その後、ポルトガルのアルガルヴェ・サーキットに開催地が変更された。さらに、ル・マン24時間レースが6月中旬から8月中旬に延期されたことから、ポルトガルでのレースが6月となり、元々は第2戦として予定されていたスパでの6時間レース(5月1日決勝)が開幕戦となった。
そしてシーズン開幕まで1週間を切り、開幕戦が行なわれるスパ・フランコルシャンで2日間のテストがスタートした。
そのテスト初日、最速タイムを記録したのは今季から規定が新しくなったトップカテゴリー”ハイパーカー”クラスではなく、LMP2クラスの22号車だったのだ。
LMP2クラスのマシンは、昨年よりもパフォーマンスが下方調整されている。これはハイパーカークラスのマシンがLMP1時代よりも遅くなることを受けた変更だ。約600hpのパワーが536hp(400kW)に抑えられ、最低重量も950kgと、昨年より20kg重くなっている。
実際、22号車が午後のセッションで記録したベストタイムである2分4秒822は、昨年8月にスパで行なわれたレースのプラクティスと比べると、1.5秒以上遅くなっているのだ。
ハイパーカーより速かったのは22号車だけではなく、LMP2クラスのレーシングチーム・ネーデルランド29号車、チームWRTの31号車が初日のトップ3となった。
3台がエントリーしているハイパーカークラスは、トヨタGR010 HYBRIDの7号車が電気系や油圧のトラブルに見舞われたようだ。午前のセッションでは2回のインスタレーションラップをこなしたのみで、タイムを残せなかった。午後のセッションでは、マイク・コンウェイが終盤に1回だけフライングラップを実施。2分10秒101を記録したが、その後に赤旗が出てしまい、それ以上のタイム更新はならなかった。
僚友8号車は、午前にブレンドン・ハートレーが2分6秒896を記録。このタイムは、22号車から約2秒遅れ、午前のセッション8番手だった。午後は中嶋一貴が2分5秒413をマーク。約1.5秒のタイム更新を果たしたが、午後のセッションでは6番手となった。
昨年はレベリオンR-13として参戦していた36号車アルピーヌA480は、午前は2分7秒586で総合13番手。午後はセッション開始50分のところで2分5秒230をマークし一時トップに。最終的に総合4番手となった。
トヨタ8号車のタイムは、昨年のスパでのフリー走行でTS050が記録したタイムより5秒以上遅くなっている。また、性能調整により100kg以上のバラストを積んでいるアルピーヌ36号車も、昨年レベリオンが走っていた時と比べ、トヨタ勢とほぼ同じだけタイムが落ちている。
パフォーマンスの落ち幅がLMP2クラスよりも大きかったことで、LMP2クラスの方が速くなる下剋上状態となってしまっているわけだ。これがハイパーカーの実力なのか、テスト2日目にハイパーカークラスがLMP2クラスを上回れるのか、ひとつの注目ポイントだと言える。
LM-GTE Proクラスは、ポルシェ92号車のケビン・エストレが午前・午後ともにトップタイムをマーク。AFコルセ・フェラーリが僅差でそれに続いた。
LM-GTE Amクラスは、午前はチェティラー・レーシングのフェラーリ47号車、午後はチーム・プロジェクト1のポルシェ56号車が、Proクラスの間に割って入る速さを見せた。
今回のテスト初日は、2セッションで合計5度の赤旗が出る展開となった。午前のセッション開始から1時間弱が経ったころ、TFスポーツのアストンマーチン33号車を駆るベン・キーティングがオールージュ~ラディオンで挙動を乱しクラッシュ。赤旗が掲示された。セッション再開後、今度はTFスポーツがオペレートするD'station Racingのアストンマーチン777号車も、左リヤタイヤがパンクし、同じ場所でクラッシュを喫してしまった。
キーティングも、777号車をドライブしていた星野敏も幸い大きな怪我はなく、歩いてマシンから降りている。
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