インタビュー:マーク・ウェーバー①「これをやる必要があるのかと思う割合が増えた」
今季限りでレーシングドライバーを辞めることを決めたマーク・ウェーバーにその心境を訊いた。
Mark Webber, Porsche Team, Fritz Enzinger, Vice President LMP1, Porsche Team
Porsche Motorsport
今季限りでレーシングドライバーを引退することを発表した、マーク・ウェーバー。彼は2013年までF1で活躍し、その翌年からはWEC(世界耐久選手権)に活動の場を移して輝いてきた。
そのウェーバーが、引退を決めた経緯など、赤裸々に語ってくれた。その彼のインタビューを、3回にわたってお届けする。
ーー引退について
「WECに来てからも、去年は良い走りができた。そういう時に止める方がいい。役に立たなくなってから自分の力が落ちたのを突きつけられて知りたくない。過去2〜3年を振り返っても、素晴らしいレースを経験できたと思っている。いつまで続けるかって考えて……たぶん2〜3年かなと思ってた。最初からそう考えていたわけではなく、これまで実に多くのクルマを運転してきて、F1もポルシェ919も運転できて幸運だったと思っている。でも、来年のことを考えると、運転するのに燃費だとかなんだとかに少し疲れている自分がいる」
ーーでも、楽しんで仕事ができた?
「もちろんティモ(ベルンハルト)とかブレンダン(ハートレー)等と一緒に仕事をしたことは最高の経験だった。特にティモの経験には助けられた。だから引退の決断で一番辛かったのは、チームのことを考えた時だ。2人とは他にはない素晴らしい関係だった」
ーーいつ、引退のことを考え始めましたか?
「チームに話したのスパの時だ。その時には100%決めていたわけではないけれど、年末までには心を決めるという話をしていた。ここ2カ月ほどの間に決定的になったという感じだ。実は4月のバーレーンのF1の時、ニキ・ラウダと話をした。彼は非常にオープンに人生のことを話してくれた。自分を第一に考えるべきだとか、止めるときには躊躇しないで止めた方がいいと言ってくれた。何も悪いことをするんじゃないんだから、と。彼やジャッキー(スチュワート)からとても良いアドバイスをもらった。大きな決断だけど、自分以外は決めることはできないことだ」
ーー家族の希望もあった?
「僕は一昨年のブラジルのWECで大事故にあって、家内のアンは心臓が止まりそうだったと言う。彼女にとって最悪の経験だった。母親も僕にもうレースをして欲しくない、僕のレースを見ても楽しめなくなったと言うんだ。僕らの仕事はすごく自分勝手な仕事なんだ。いろんなことを次々と考えて、最後にはどうして僕はクルマに乗っているんだろうと思った。そういうことを考え始めた時こそ、辞め時だろう。レースをやりたいという衝動よりも、これをやる必要があるのだろうかと思う割合が多くなったんだ」
ーーF1引退と今回のレース引退でどちらが難しい決断だったか?
「両方とも似たような感じだった。F1も面倒だったけど、その後にどこか他のF1に乗ってレースを続ける選択肢もあった。実際他のF1チームからのオファーもあったしね。そして、今回のようにポルシェからも誘いがあった。今は、もうこれ以上汗をかくことはなくなる。ヘルメットを被って汗をかいて走るのは大変なことなんだ」
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