【WRX,WTCC】「”ジョーカーラップ”をF1にも導入すべき」とWRX王者
2016年WRX王者のエクストロームは、ジョーカー・ラップを取り入れるメリットについて語った。














先日、世界ツーリングカー選手権(WTCC)は、来季のスペインラウンドとマラケシュラウンドでジョーカーラップを取り入れる予定であり、現在はFIAの承認待ち段階にあることを発表した。
『ジョーカーラップ』とは、世界ラリークロス選手権(WRX)で取り入れられており、レースの間にコース外に設けられた別ルートを走行するルールである。WRXのジョーカーラップは通常のコースより遠回りをするレイアウトになっており、各ドライバーは1回だけジョーカーラップをする義務を課されている。走行しない、もしくは2回以上走行するとペナルティの対象になる。一方、ジョーカーラップを走るタイミングはドライバーたちに委ねられているので、混戦化しないタイミングで消化してタイムロスを小さくするなど、様々な戦略を立てることができる。
2016年WRX王者であり、DTMを2度制した経験を持つマティアス・エクストロームは、ジョーカーラップがレースを面白くするための”自然な”スパイスであり、他のカテゴリーも導入を検討するべきだと語った。
ウィーンで行われたFIA表彰式で、エクストロームは語った。
「ジョーカーラップは、現代のモータースポーツにとって最高に面白いルールの一つだと思う。レースを争う上位層ならばタイム差もかなり小さくなる」
「コンマ数秒は誰も可視化することができない、でもジョーカーラップなら一目瞭然だ。コーナーで物理的なアタックをしなくとも、少なくとも1回はアタックを仕掛けるチャンスができる」
「僕はそこにもう少しスパイスを加えることができると思っている。ジョーカーを早く消化することで守りに入ることもできるんだ。また別の戦略もあると思うし、その場から離れるということもできる」
「WTCCだけでなく、多くのモータースポーツで取り入れられてもいいのではないかと僕は思う。ラリークロスの専門家だけでなく、僕を見に来てくれる一般のファンもこのルールを面白いと感じてくれている。そこで起きることは、自然なことなんだ」
またエクストロームは、ジョーカーラップがピットストップ義務に代替する、”ギャップをさらに大きくする”良い手段になり、現在のスポーツカーレースのパフォーマンスのバランスよりをはるかに良くさせるものだと主張した。
そして、マシンが密集しており、ライバルに追いつくためにコーナーで戦っている現代のF1にも、効果的であることを示唆した。
「F1は多くのレースが接近戦になることがあるが、オーバーテイクすることが難しいと思う。もし誰もがジョーカー・ラップを消化する義務を持っていれば、消化するタイミングをずらすことで、数周の間、前に誰もいない状況を作り、そこでアタックすることができる」と彼は説明した。
「ラリークロスやWTCCだけじゃなく、他のカテゴリーでもうまくいくと僕は思う」
”新たな試み”を歓迎
これまで7回WTCCタイトルを獲得しているシトロエンのホセ・マリア・ロペスとイヴァン・ミュラーは、2016年のドライバーズチャンピオンシップで1−2位を占めた。ふたりは来季に取り入れられるジョーカー・ラップを歓迎していると話した。
「賛成だよ。つまりMAC3(マニファクチャラー・アゲンスト・ザ・クロック/2016年よりWTCCに導入された制度)のようなものだろう。みんなが『ああ、クレイジーだね』って話しているよ。それほど悪くないし、新たな試みだ。新しくなったり何かが変わることは、いつだって良いことだよ」とミュラーは話した。
「フランツ・リベイロ(WTCCの代表)が2~3年前に話していたことを、誰もが『ああ、彼はクレイジーだ』と思っていた。でも3年後にはそれが普通のことになっているんだ。僕たちは新しいものを試して、モータースポーツを積極的に動かしていかなければいけない。それは良いアイディアかもしれない」
またロペスは次のように付け足した。
「僕は一般的なモータースポーツファンだ。でもモータースポーツは常に新しくなければならないとも思う」
「時にファンは僕らに対し、もっとたくさん戦ってほしいと思っている。彼らは面白いレースが見たいんだ。僕はそれが全てだと思う。僕らは今とは違うものを試してみる必要があるし、それを少しでも継続していかなければならないんだ。ファンが気に入り、コンストラクターズも気に入るようなものをね」
「僕はアルゼンチンのスーパーTC2000(ツーリングカーシリーズ)でジョーカーラップを見たことがある。その年はその1レースだけだった」
「そうだね、もしうまくいって、みんなが楽しめるようなものだったのなら、それが僕らのほしいものだ。僕たちはモーターレースを成長させたいし、レースに新たなファンが欲しいと思っている」
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